男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

神戸新聞より
電力需要の長期低迷から、関西電力が現在運転を休止している高砂発電所(高砂市梅井)を二〇〇六年度上期にも廃止することが十三日、分かった。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000006949.shtml

僕の家(JR朝霧駅の北の方)から明石と西明石方面を抜け、加古川、高砂へのドライブコースを快走するのが週末の楽しみでもあります。
加古川を渡るころ、天空に突きだした煙突からすべてを覆い隠すような濃密な灰色の煙がモクモクとはき出されるのを見るのは圧巻です。
時代の趨勢とは言え、これがなくなるのか……。寂しくなるなぁ。

無くなる前にじっくりと見ておこう。
(こう決意した週末に限って、突然の出張が入ったりするのです……)

1999年、強姦致死事件の被告、当時18歳だったクソ野郎の弁護人が欠席したそうな。
死刑廃止論者? 何を考えているんだ?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060314-00000113-yom-soci

腹が立って仕方がありませんね!
被害者の方の「法曹が死刑にしないなら、私が彼の命を奪うまでだ」の発言は、ズバリ本音でしょう。誰もが思うことを、勇気を持って公の場で発言する。それも理路整然と。頑張って欲しいです。

弁護士資格は一度取得すると、更新されることはない?
非人道的な対応を公に行っても、違法でなければ剥奪されることもない?

どうも法曹関係者の常識というのは、一般社会の常識と大きく乖離している気がします。これで市民社会の守護者を自任されても、困惑するだけです。
(もちろん、ピンキリなんでしょうけれど。)

実にわかりやすいキーワードが散りばめられています。
働く上流と踊る下流
上流は女性らしさ、下流は自分らしさを大切にする
ミリオネーゼ系キャリアウーマンの闊歩する日本橋
渋谷(センター街)はすでに下流の街
下流は自民党とフジテレビ、スポーツ観戦が好きで「ぷちナショナリズム」的である
等々

マーケティングを専門とする著者によれば、本人の上昇志向/現状志向、仕事志向/趣味志向の違いにより、女性は1)ミリオネーゼ系、2)お嬢様系、3)かまやつ女系(ストリート系)、4)ギャル系、5)普通のOL系に分類されるそうです。周囲の女性を見回すと、何となくそんな気もしますが、本当かなぁ?
ちなみに男性は1)ヤングエグゼクティブ系、2)LOHAS系(いまハヤリのヤツね)、3)SPA!系、4)フリーター系だそうです。
自己分析結果:最も平凡なSPA!系でした。トホホ……。

途中、食傷気味となる箇所が多数見受けられるのですが、団塊ジュニア世代を中心に消費動向・意識調査から格差社会の実態を暴き出したという意味で、会心の作と言えましょう。
(食傷気味……細かい数字を並べて分析するのは良いのですが、同じような解説が続くのはいただけません。)

現在の政府の少子化対策は正社員の女性をターゲットにしているが、彼女たちに比べて年収が低いために出産を決意できない派遣社員・契約社員を対象にしない限りは、少子化に歯止めがかからない、と言う指摘はさすがです。
(猪口大臣はどのようにお考えなんでしょうか?)

自分なりの本書の結論ですが、結局、上流と下流の決定的な差は「当たり前の生活態度、こどもの頃からの躾」である。これにつきます。

下流社会 新たな階層集団の出現
著者:三浦展、光文社、2005年9月発行
2006年3月10日読了

なんで入場料を300円も取られるんだ!
と思いきや、中に入ると昭和30年代の町並みが拡がるのでした。
心地良いノスタルジア! 昭和33年だから生まれていないのですが、高度成長期の日本の活力が伝わってきます。
ラーメンだけではなく、小規模ではありますが当時の裏路地(?)が楽しかったりします。
(連れ込み旅館もあるぞ! 入れませんが)
今回は出張のついでに立ち寄っただけでしたが、また来たいな!
(ラーメンは少し高め。でも美味。)

写真は映画「地球防衛軍」看板から。20060307_1

紛争世界で積極的に平和維持に活躍する世界のPKO部隊。その歴史と部隊編成、現状と将来、アルバニア(1997年)、マケドニア(1998年)、コソボ(1999年)、ボスニア(1998~1999年)での活動実態、自衛隊初のカンボジアPKO派遣の評価、それに、人道的な国際救援活動の哲学(?)が語られます。
よくある「頭でっかちな学者先生」本とは違い、ルポを中心とした構成で、非常に読みやすいです。
国際連合(国連)、ダグ・ハマーショルド氏の理念と行動力、ブライアン・アークハート氏の情熱、自衛隊(防衛庁、情報本部、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊)に興味と理解のある方は、ぜひ読むべきと思います。

世界のPKO部隊
著者:斎木伸生、大久保義信、他、アリアドネ出版、2000年6月発行
2002年11月13日読了

兵庫県は西脇市にある旧来住家(きしけ)住宅へ行ってきました。
正確にはドライブの最中に立ち寄っただけなのですが、大当たりでした。
http://www.city.nishiwaki.hyogo.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1128582449572&SiteID=0

大正7年当時の価格で8万円、現在なら50億円にも達する金額を費やした民家は、これぞ「戦前日本ブルジョワ階級のお屋敷」といった趣で、見所がたくさんです。
敷地は390坪あります。個人の民家です。犬養毅首相や宮家の面々も宿泊したそうです。
間取りその他の解説は公式HPに譲るとして、特定方向に反った松の木を数本、ふんだんに使用した梁が印象に残りました。

だだっ広いだけでなく、調達品その他も豪華なものです。庶民の掘立て小屋とはまったく異なるものです。でも、使用人の部屋は八畳一間、女中部屋は四畳半……こんなところに戦前の階級社会が垣間見えます。主人と客は夕方から夜更けにかけて贅を尽くし、下々の者は狭いところへ押し込める、と。やがて来るであろう未来の日本住宅事情を暗示するようです。

戦後、住宅都市整備公団の設計した2DK、3DKからはじまり、近年の流行である3LDKや4LDKの間取りには、何か物足りない思いがします。それは「客間」です。20年くらい前の一戸建て住宅には応接室なるものがあり、一番良い調達品を揃えていた、そんな記憶があります。いまではリビング中心の間取りとなってしまい、来客に「家族の居間を見せる」ことが当たり前となってしまいました。それがイヤなら茶店かファミレスを利用するしかないわけで、ゆとりの無い生活を助長するように思えてなりません。(借家よりは、コンパクトでも良いからマイ・ホームを獲得する。その夢を実現するためには贅沢は言っていられませんが。)

ひとつ問題が……。駐車場が無いのです。無いのですが、ガイドさんによると、目の前にある西脇市コミュニティセンター駐車場か、コープの駐車場に停めてOKとのことでした。
(それならそうとパンフレットに書いて欲しかったですが。)

不器用でも真っ直ぐな駅長、佐藤乙松。この男には「定年後の人生」なんて無い。そんなことは考えない。

鉄道員として生きて、生きて、死んでゆく。

仕事一筋の男をここまで真摯に演じてくれるとは……。やはり高倉健は本物です!

クライマックス近く、原作がフラッシュバックされるせいか、思わず涙が"じわっ"と。

「雪子か?」の場面は実に良いですね。良いのですが……所詮、広末涼子はアイドルなんだ、と再確認しました。(すでに過去の人でもあります。)

それにしても、浅田次郎です。「蒼穹の昴」、映画化しないかな?(5年くらいかかりそう。)

平成18年度~20年度 NHK経営計画なるものが公表された。
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/keikaku/index.htm

WEBではひっそりとpdf形式だが、TVは違った。
1月24日19時のニュース。他の重大ニュースをさしおいて、この関連だけで延々と3分以上も報道する異様さ!
「H2A型ロケット8号機打ち上げ成功」なんて20秒で終わりのくせに!

やれ、経営計画をまとめた、関係省庁に提示された、放送のスクランブル化には反対の立場だ。予算はこれだけ、受信料未払い者には法的手続きを取る、等々。

これのどこがニュースなんだ? NHKの予算は日本国民の予算だとでも言いたいのか? 自分たちの組織を守るための戯れ言なんて誰も聞きたくないし、自己弁護に終始する映像なんて見たくないぞ!

さらには1月25日、ゴールデン枠の21時から22時の時間を贅沢に使って放映されたのが
「NHKはこう変わります~3か年経営計画」
だ。
このヘッポコ番組も、受信料を湯水のように使って作られてるんだから。
何考えてるんだか。

いちおうフォローしておきましょう。
クローズアップ現代、毎日欠かさずに観ていますよ。高い受信料を払……(略)。

この映画、近年の「無理矢理こじつけたような右煽動おぼっちゃまマンガ」路線に便乗したような、イヤらしい意図が感じられます。
また、「目の肥えた映画人」ではなく、1stガンダム世代か、その下の20歳代がターゲットなんでしょうね。

まぁ、その辺りをまったく考えないで観ると、やはり戦争物! 男には実に面白いですね。
(女性にはいまひとつかもしれませんね。恋愛要素も「おまけ」みたいなものだし。)
キャスティングも絶妙です。艦長を演じる役所広司もハマリ役ですが、柳葉敏郎演じる副長が良いですね! 「ついて行きます!」と言いたくなります。

それでも、つっこまずにいられないなァ。
1.原爆
どうして投下された午後に、海軍予備役士官(艦長ね)だけでなく、回天搭乗要員の一般兵まで「原子爆弾」の名を知っているのか?
米軍内でも極秘開発された兵器であり、当時の日本では一部を除いて「新型爆弾が投下された。破壊規模は不明」レベルの認識だったはず。
(実態と把握するため、わざわざ東京から幹部が視察に飛んだ、と記憶しています。)

2.女
ナチスの取得した「被験体」にもかかわらず、どうしてあのヘアスタイルなのか? 髪も立派な資源なんで、本当は丸坊主のはずだ!

どうしてあのボディなのか? ろくに食事も与えられなかっただろうから、もっとガリガリにやせこけていたはず。

ナチス・ドイツの囚人であるなら、あんな綺麗で健康な美女でいられるハズがないことは、ホロコーストの文献や映画で十分に認識されるはずなのですが。
(それじゃ、エンターテイメントに不足か。仕方がないですね……)

3.艦砲
旋回式主砲塔を有する最新鋭の潜水艦。それは良いのですが、あの主砲の「蓋」は、どうやって開閉されるのでしょうか?
劇中では二本同時に開放されていましたが、砲身の外部にそれらしき機械・電気装置は見あたりません。不思議だ。

4.魚雷
ローレライがあるとはいえ、どうして百発百中なのか? それもスクリューにピンポイント! ……命中率は五〇%に満たなかったはず。

もっと突っ込みたいのですが、やめておこう。

なお、原作者(福井晴敏「終戦のローレライ」)によれば、この作品はガンダムを意識して創られたそうです。大人の始めた戦いに引きずり込まれる子供たち。物語を通じて、一人の少年が大きく成長する姿を描く、等々。なるほどなぁ。
(引用:こっそりと買ったガンダムエース(角川書店刊))

国境をたやすく越えられる時代に生き、その恩恵を享受する日々の中、毎日のように報道される国家間紛争、内戦とその影で絶命する無数の人々の声なき声……。
そもそもナショナリズムとは、国民国家とは何なのか? その発祥の地とも呼べるフランス、ドイツ、連合王国の地政学的経緯と国民概念の違いが明らかにされます。

「ドイツ語を話すドイツ人」がドイツ国民の条件であるのに対し、自由・平等・博愛(友愛)の精神を有し、フランス領生まれである者は無条件にフランス国民となるのです。この違いが、サッカー・ワールドカップのメンバー構成に現れます。(フランスチームは金髪ラテン系、北アフリカ系、メラネシア系有り、ドイツチームは全員がゲルマン民族)

フランスの特徴とも呼べる啓蒙文明主義は、18世紀に欧州の国家体制の変革をリードした一方で、それがやがて植民地主義に転じようとは、1789年当時には予想すらできなかったでしょう。まさに歴史の皮肉といえます。
連合王国(ブリテン)の場合は「外に帝国、内にも従属国家」を抱えるイングランドの場合、世界帝国を維持している間は内政も安定しますが、帝国が瓦解するに従い、アイルランドを筆頭にスコットランド、ウェールズの自治・独立の動きも激しくなります。しかし、危機的状況になる前に、EUに加盟したことにより「三重のアイデンティティ」すなわちEU、連合王国、アイルランドのおのおのに属することとなり、かえって国内政治が安定したことが明らかにされます。
より大きな連合体に属することで、ローカルが安定するとの逆説。近い将来の東アジア、特に中国の動向を考える上で、参考になりました。

国民国家とナショナリズム
著者:谷川稔、山川出版社・1999年10月発行
2005年12月20日読了

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