男ひとり旅の美学

[旅の恥は書き捨て]ってことで。あと、BMWと読書感想文も。

平成18年度~20年度 NHK経営計画なるものが公表された。
http://www3.nhk.or.jp/pr/keiei/keikaku/index.htm

WEBではひっそりとpdf形式だが、TVは違った。
1月24日19時のニュース。他の重大ニュースをさしおいて、この関連だけで延々と3分以上も報道する異様さ!
「H2A型ロケット8号機打ち上げ成功」なんて20秒で終わりのくせに!

やれ、経営計画をまとめた、関係省庁に提示された、放送のスクランブル化には反対の立場だ。予算はこれだけ、受信料未払い者には法的手続きを取る、等々。

これのどこがニュースなんだ? NHKの予算は日本国民の予算だとでも言いたいのか? 自分たちの組織を守るための戯れ言なんて誰も聞きたくないし、自己弁護に終始する映像なんて見たくないぞ!

さらには1月25日、ゴールデン枠の21時から22時の時間を贅沢に使って放映されたのが
「NHKはこう変わります~3か年経営計画」
だ。
このヘッポコ番組も、受信料を湯水のように使って作られてるんだから。
何考えてるんだか。

いちおうフォローしておきましょう。
クローズアップ現代、毎日欠かさずに観ていますよ。高い受信料を払……(略)。

この映画、近年の「無理矢理こじつけたような右煽動おぼっちゃまマンガ」路線に便乗したような、イヤらしい意図が感じられます。
また、「目の肥えた映画人」ではなく、1stガンダム世代か、その下の20歳代がターゲットなんでしょうね。

まぁ、その辺りをまったく考えないで観ると、やはり戦争物! 男には実に面白いですね。
(女性にはいまひとつかもしれませんね。恋愛要素も「おまけ」みたいなものだし。)
キャスティングも絶妙です。艦長を演じる役所広司もハマリ役ですが、柳葉敏郎演じる副長が良いですね! 「ついて行きます!」と言いたくなります。

それでも、つっこまずにいられないなァ。
1.原爆
どうして投下された午後に、海軍予備役士官(艦長ね)だけでなく、回天搭乗要員の一般兵まで「原子爆弾」の名を知っているのか?
米軍内でも極秘開発された兵器であり、当時の日本では一部を除いて「新型爆弾が投下された。破壊規模は不明」レベルの認識だったはず。
(実態と把握するため、わざわざ東京から幹部が視察に飛んだ、と記憶しています。)

2.女
ナチスの取得した「被験体」にもかかわらず、どうしてあのヘアスタイルなのか? 髪も立派な資源なんで、本当は丸坊主のはずだ!

どうしてあのボディなのか? ろくに食事も与えられなかっただろうから、もっとガリガリにやせこけていたはず。

ナチス・ドイツの囚人であるなら、あんな綺麗で健康な美女でいられるハズがないことは、ホロコーストの文献や映画で十分に認識されるはずなのですが。
(それじゃ、エンターテイメントに不足か。仕方がないですね……)

3.艦砲
旋回式主砲塔を有する最新鋭の潜水艦。それは良いのですが、あの主砲の「蓋」は、どうやって開閉されるのでしょうか?
劇中では二本同時に開放されていましたが、砲身の外部にそれらしき機械・電気装置は見あたりません。不思議だ。

4.魚雷
ローレライがあるとはいえ、どうして百発百中なのか? それもスクリューにピンポイント! ……命中率は五〇%に満たなかったはず。

もっと突っ込みたいのですが、やめておこう。

なお、原作者(福井晴敏「終戦のローレライ」)によれば、この作品はガンダムを意識して創られたそうです。大人の始めた戦いに引きずり込まれる子供たち。物語を通じて、一人の少年が大きく成長する姿を描く、等々。なるほどなぁ。
(引用:こっそりと買ったガンダムエース(角川書店刊))

国境をたやすく越えられる時代に生き、その恩恵を享受する日々の中、毎日のように報道される国家間紛争、内戦とその影で絶命する無数の人々の声なき声……。
そもそもナショナリズムとは、国民国家とは何なのか? その発祥の地とも呼べるフランス、ドイツ、連合王国の地政学的経緯と国民概念の違いが明らかにされます。

「ドイツ語を話すドイツ人」がドイツ国民の条件であるのに対し、自由・平等・博愛(友愛)の精神を有し、フランス領生まれである者は無条件にフランス国民となるのです。この違いが、サッカー・ワールドカップのメンバー構成に現れます。(フランスチームは金髪ラテン系、北アフリカ系、メラネシア系有り、ドイツチームは全員がゲルマン民族)

フランスの特徴とも呼べる啓蒙文明主義は、18世紀に欧州の国家体制の変革をリードした一方で、それがやがて植民地主義に転じようとは、1789年当時には予想すらできなかったでしょう。まさに歴史の皮肉といえます。
連合王国(ブリテン)の場合は「外に帝国、内にも従属国家」を抱えるイングランドの場合、世界帝国を維持している間は内政も安定しますが、帝国が瓦解するに従い、アイルランドを筆頭にスコットランド、ウェールズの自治・独立の動きも激しくなります。しかし、危機的状況になる前に、EUに加盟したことにより「三重のアイデンティティ」すなわちEU、連合王国、アイルランドのおのおのに属することとなり、かえって国内政治が安定したことが明らかにされます。
より大きな連合体に属することで、ローカルが安定するとの逆説。近い将来の東アジア、特に中国の動向を考える上で、参考になりました。

国民国家とナショナリズム
著者:谷川稔、山川出版社・1999年10月発行
2005年12月20日読了

タイトルの"通貨"の範囲を超過した、膨大な情報が詰まっています。
アメリカ、EU、中国、そして日本の通貨政策と、その政治・軍事との関係が明らかにされます。
ビルダーバーグ・グル-プ、イギリスのしたたかさ、中国の老獪さ、日本のひ弱さ……

1997年のアジア通貨危機についても、ジョージ・ソロス氏が悪者扱いされていますが、その黒幕はEUであったとは……

それにしても、中国で急速に開発が進む電磁波ミサイル兵器は脅威です。
いくらイージス艦、弾道ミサイル防衛を進めたところで、これらを無力化されてはたまったもんじゃありません。本気で対処しないと危ないですし、この辺に、新たな技術開発の芽が見いだせるのかもしれません。
その前に中国=北朝鮮同盟のテポドン"中性子爆弾"ミサイルを本州・九州に打ち込まれて「お陀仏」ですか……。
どの近未来予測の書籍を読んでも、「米中の狭間に埋もれて消えてゆく日本」の姿が浮かんできます。悲しいことですが。

将来、東アジアで日本が生き残るには、中国を牽制できる軍事・政治力を保持した上で、彼の国と友好関係を築くしか、手がないように思います。
(バカの一つ覚えよろしく形だけの「日中友好」を進めると、なめられて、奪われて、消されてしまう。)

通貨バトルロワイヤル
著者:浜田和幸、集英社インターナショナル・2003年1月発行
2005年12月15日読了

[かつて携帯の無い時代があった]
大人にとっての「携帯できる電話機」も、子供にとっては「ケータイできるITツール」、ですか。なるほどなぁ。この認識差が世代間の隔絶につながるわけですね。
思い返すこと13年前、仕事で初めて触れた「携帯できる特殊な」無線電話機は、本体が百科事典1冊分の大きさのショルダータイプで、送受話器が昭和の映画に出てくる「黒電話」そのもののカタチでした。初めて通話した感想は「高速道路の高架橋の上から電話できる。スゴイ!」の一言でした。もちろん、ノイズ混じりのアナログ方式で、連続通話時間は1時間に満たなかったと思います。
それがいまや、300万画素・光学ズーム式のデジカメを内蔵し、フルカラーLCDで動画もOK、着ウタ・WEBブラウジング、GPS内蔵、指紋認証機能まで実現するとは、想像すらできませんでした……。
僕の世代(30台後半)にとっては、携帯の普及は「便利な世の中になったナァ」なのですが、いまの中高生にとっては物心ついたときから存在したものであり、このあたりにジェネレーションギャップを感じます。

[メディア・リテラシー]
公立の小中学校にIT環境を整備する2000年の「eJAPAN構想」のもと、ハードウェアは国の威信をかけて急速に整備された。しかしモラル、リテラシーをはじめとするソフトウェアに関しては、国としての方針がハッキリと示されることなく、結局は民間の後追いとなってしまった。
しかもハードウェアにしても、アメリカのように個々の教室に整備するのではなく、コンピュータ教室にまとめて設置されることが多いそうだ(私立は違う)。昭和の枯れススキ頭脳を持つ年寄リーマン教諭にしてみれば、ネットやPCは「われわれには関係のない、特別な何か」でしかなく、オーディオや自転車と同じく「あって当然のもの」である子供の感覚とかけ離れていることが問題と言えます。

ネット王子とケータイ姫 事故を防ぐための知恵
著者:香山リカ、森健、中公新書ラクレ・2004年11月発行
2005年9月11日読了

2種類の公衆電話が存在することが「お客様に不便をかけて」おり、公衆電話維持のための「コスト面から考慮して」廃止するそうな。
やれやれ。平成11年には利用者のことを考えずに勝手に登場させておいて、今度は「利用者が少ない」から一方的に廃止ですか。当時は「はやくICカードに変えなさい。磁気カードは使えなくなる」と脅していたことは、すっかり忘れて……。
民営化されたと言っても、元々は親方日の丸の組織。この辺りが、まだまだですね。

http://www.ntt-east.co.jp/release/0501/050120.html

そのうち、「公衆電話の料金はおサイフケータイで払え」なんて言い出すかも(それは無いか)。

日本のモノやスタイル(生活)に憧れ、日本の現代文学、アニメ、J-POPをこよなく愛するいまどきの中国の若者たち。その一方で教科書問題、靖国神社参詣による「反日」の態度を隠そうともしない彼らの心情を、在日30年の中国人学者が解き明かしてくれる。

[国家と個人]
われわれ日本人は日本、または日本政府を指して「国」と呼ぶ。中国人は「国家」と呼ぶらしい。
日本は武士道の国だ。対して彼の国には儒教の精神が根付いており、頂点に国家、その下にそれぞれの首長、地域の長、家族の長に連なり、個人が存在する。国家に代表される組織と個人の関係が根本的に異なるのだ。

[歴史認識]
日本で揉め事が起こった後、片方が誤りを認め、それを素直に謝罪すればたいていのことは片が付く。過去のことは「水に流す」とする。ところが中国にはこの概念は乏しい。過去の加害者が被害者と関係を保つには、いつまでも謝り続けることが重要らしい。
これは中国人同士のみならず、日本国と中国との関係にもあてはまるそうだ。
つまり「過去の戦争については、すでに謝罪した」と発言するだけで「日本人は信用できない」と、こうなるわけだ。
中国の小学校では、週に2回は粗末な昼食を摂らせる。かつて貧しかった時代を忘れないために。また親は、かつて自身やその親の食した貧しい食事の光景を子供に言い伝える。二度と貧しさを体験しないために。過去のことを振り返らず、なるべく美味な食事を我が子に与える日本の家庭とは、根本的に異なる。

これまでの2000年がそうであったように、これからも日本と中国はお互いを無視できない。傲慢にならず、卑屈にならず、良き隣人としてどのように振る舞うべきなのか。そのヒントを与えてもらった気がする。

ほんとうは日本に憧れる中国人 「反日感情」の深層分析
著者:王敏、PHP新書・2005年1月発行
2005年12月4日読了

SEIKOの電子辞書、IC Dictionary SR900を愛用して5年になる。こいつは軽量・コンパクトで、鞄の中に入れるのにも、電車の中で使うのにも苦にならず、まさに快適そのものだった。色は黒で、快適でした(理由は後述)。
1ヶ月くらい前から、液晶画面に表示されないラインが出てきた。いきおい、他の機種に興味が沸く。WEBや店頭で調べると、いつの間にか機能が盛りだくさんの電子辞書がたくさん販売されている。これは「買え」と言うことだな?

と言うわけで、CASIO EX-WORD DATAPLUS2(XD-WP6800)を買いました。
ネット通販だと、店頭販売より1万円も安く買えるんですね。なんか得した気分。
広辞苑、英和・和英、ビジネス・経済用語、家庭の医学・食の医学、等々、50種類もの辞書を内蔵しており、これも長く使えそうです。
特筆すべきは、ブリタニカ百科事典(小項目版)。当の百科事典は日本市場から撤退してしまいましたが、小項目版は電子版のカタチで残っているわけです。百科事典(19巻。大きくて重い)は書棚にあるので、深い知識の探求はそれに頼るとして、日常はこいつで十分です。なんといっても、複数の辞書で検索できるのが面白いです。
でも、どんなに良い品にもやはり短所はありまして、こいつの場合は、その大きさなんです。新書版並のデカさです。液晶画面が大きく見やすいので、やむを得ませんか……。

それにしても、電子辞書は揃って銀色ですね。ITのイメージからして仕方ないのかもしれませんが、個人的には艶消しの黒色がベストです。蛍光灯の反射が無く、安心して机上に置けるからです。メーカーさん、よろしく。

人生の分岐点・35歳へ向けての準備として「萎えたオヤジにならないためのやるべきこと全部」が書かれているそうです。
年収、フリーターだけではない安サラリーマンの危機、結婚、出産、転居、親の介護、ガン予防、投資とその前提としての貯蓄、等々。
すばらしくわかりやすく書かれています。まぁ、若者向きの指南書としては及第点でしょう。
実践的な内容は、それ相応の実用書(できれば専門書)を読め、と言うことですね。

28歳からのリアル・マネー編
著者:人生戦略会議、WAVE出版・2004年8月発行
2005年10月23日読了

古い大陸欧州の知性。読了後、とっさに浮かんだ言葉でした。

事象から距離を置き、深く呼吸し、沈思黙考する姿勢。歴史の中枢は新大陸に移ったとは言え、過去(劣悪なものも含めて)の蓄積に研磨された感性と怜悧な問題意識が、力で押し通す現在の米帝国とは異なる新鮮な論説を生み出してゆく……。
フランスの国際評論誌、ル・モンドに1998年から2002年の間に掲載されたなかから、厳選された記事が収録されています。
米国の外交専門誌、FOREIGN AFFAIRSと読み比べると面白いのかもしれません。

最後の植民地から未練がましく撤退させられたアルジェリア戦争。栄光の祖国に染みついた、この恥辱の記憶を歴史から抹殺しようと、フランスは国を挙げて取り組みます。驚くべきことに、中学・高校の歴史教員自身が「教育されなかったために」詳細を知らず、また「知らなくて良い」との国の方針に唯々諾々と従っているのです。過酷な植民地行政・「土民」弾圧・虐殺の事実すら「そんな些細なこと!」と片づけられてしまう現実……。一方でナチスについては、生徒の脳髄に徹底して叩き込まれるのです。
なんか現在の日中、日韓関係が穏やかに思えてきました。(双方に多々、問題はありますが。)

最大のタブー「ワーグナー演奏」を実行した世界的指揮者を国家レベルで弾劾する"民主主義国家"イスラエルの恐ろしい姿と、対するパレスチナ・アラブ社会の矛盾を突き崩すのは、あの故エドワード・サイードです。(合掌)

他にも、違う視点から探求した1989年の天安門事件(資本主義遂行のために当局が仕組んだ!)、世界銀行の「第三世界にとってありがたくない」現実、アフリカや中央アジアの資源国家を紛争へと導く「多国籍企業」の実態、等々。
読めば興奮間違いなしの記事が満載です。

実は、これらの記事はすべてWEBサイトで公開されたものであり、その気になれば読破することも可能です。それでも、紙媒体で読む意義があるとの認識に立ち、出版するに至ったと説明されています。同感です。

力の論理を超えて ル・モンド・ディプロマティーク1998-2002
著者:ピエール・コヌザ、ジャン=イヴ・カミュ、エドワード・サイード、他
NTT出版・2003年8月発行
2005年10月22日読了

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