芥川賞受賞作『広場の孤独』をはじめ、『方丈記私記』『若き日の詩人たちの肖像』『時間』『橋上幻想』など、まるで21世紀の混沌を予告するかのような「乱世に生きる強靭な文学作品」を遺した堀田善衛。
そうそうたるメンバー(みな1940年代生まれ)が堀田善衛の作品とその人を語りつくす。

・歴史を透視すること。繰り返し読み込むこと(p7,8)。
・池澤夏樹さんは『若き日の詩人たちの肖像』『方丈記私記』を題材に堀田文学を語る。かつてあった暗黒の時代、「最悪、ここへ戻る」(p25)可能性のある現代、何を頼りにして生きるか。それは個人の思想であり、世間の動きに一喜一憂しないこと(p33)。なるほど。
・国家から離れた時に自分はどこへ行き、何者になるのか(p49)。かつてベ平連に参加した吉岡忍さんの問いは、そのまま自問ともなる。『橋上幻想』の背景も見えてくる。
・異邦人の眼差し。それが鹿島茂さんと大高保二郎さんの文章から感じた重要な点のひとつだ。日本を、あるいは自分を客観的にみること。
・仕事の意味、あるは接し方を、「強靭な文学」(p161)堀田作品に裏打ちされた宮崎駿さんの言葉に見つけられたような気がする。
・世界を歩いて、見て、知る。歴史の重層性を知識のみならず体感として知る。その上で考える、か(p203)。

うすっぺらな人生を歩んでいるうちに、時間はどんどん過ぎてゆく。本書を読んで、密度の濃い生き方をしようと僕は心に決めた。

堀田善衛を読む 世界を知り抜くための羅針盤
著者:池澤夏樹、吉岡忍、鹿島茂、大高保二郎、宮崎駿、中西進、高志の国文学館・編、集英社・2018年10月発行
2018年11月25日読了
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