先進的な売れっ子作家の母を持つミッションスクールの女学生、花村茜14歳の青春にちょっとした変化が生まれる物語。三つ編みに断髪に、裁縫に、"お姉さま"。"少女の友"に、高畠華宵に、フランス出身の尼僧、"僕っ娘"な夏我目潮の軍人の"兄"との邂逅……。和洋折衷文化が花開く「昭和6年」と「マツオヒロミ」の表紙画に反応して店頭で買ってしまったが、序盤の内容は期待をグンと高めてくれる。
・ふとした事件から探偵団が結成される第一話「少女探偵ごきげんよう」は導入編。第二話「ドツペンゲンゲルスタイルブツク」から物語は大きく動き出す。「なんとかするのはわたしでしょう!」(p97)と、放蕩者の父を持つ茜の労苦。そして中原純一を思わせる挿絵画家に対しての探偵団の面々のセリフは「誰だそいつは」「名前だけは認知しているわ」(p99)。いやぁ、おもしろいぞ。そして父親を巻き込んだハートフル・ストーリーも良い。ラストの「チェホフ」(p150)には笑わせてもらいました。
・もう一人の団員、よく喋り「茶菓子をもりもりと食べ、お茶をずずっと」すする(p182)社長令嬢の工学系女子、丸川環。その友人の子爵家長女の登場する第三話と第四話「満月を撃ち落とした男」前後編はミステリー風味がぐっと増す(まぁ答えは見えているんだけど)。精神病院での一大活劇。『臨機応変』とは無鉄砲(p213)。良いなぁ。……第四話のラストは一気に盛り上がり、実に読み応えがあった。そして、暖かい。満月の「金色の光」(p275)に包まれる二人の件が実に良い。

キャラもストーリーも立っている。戦前昭和の良き時代、1931年の女学校の華やかさが実に良く醸し出されていた。昭和恐慌の話も盛り込まれている。
潮嬢の"兄"の正体は、後半まで伏せておいて欲しかった気もするが、それは良しとするか。
続編にも期待です!

昭和少女探偵團
著者:彩藤アザミ、新潮社・2018年12月発行
2018年12月12日読了
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昭和少女探偵團 (新潮文庫)
彩藤 アザミ
新潮社
2018-11-28