当時の世界的イベントであった万博、カフェ・コンセール、色彩豊かに街を彩るポスター群、音楽、劇場、そしてパリジェンヌ。現代人の想像を突き放してはるかに輝くきらびやかな世界が、ベル・エポックのパリに実在した。
本書は、20世紀の幕開けとなる1900年パリ万博を軸に、絵画・音楽・文学などの芸術と社会風俗を題材に、カラー図版を含む350枚ものビジュアルとあいまって、著者の雅やかな文章により見事に時代を活写する。

・フォリー・ベルジェール、スカラ座、オランピア、そしてアンバサドゥール。光り輝くパリの夜でカフェ・コンセールはディナーと"今宵の出し物"を提供する。ロイ・フラー、ジャヌ・アヴリル、コーディユー、ユージェニー・ビュッフェ、マイヨール、アリスティド・ビュルアン。彼らを観て満足するは、着飾った女性とエスコート役の口髭のダンディだ。当時のポスター(p18~23)に20世紀初頭のパラダイスがうかがえる。
・「不滅の女性、なかば神格化され、この芳醇な時代をもっとも特徴的に表現」(p29)したサラ・ベルナール。本書でも7ページに渡って彼女の魅力があますことなく伝えられる。まさに芸術家の生涯!
・本書前半ではルノワール、ドガ、ロートレックもさることながら、、同時代のパリ・ジェンヌと街の情景を描いた作品としてジャン・ペローの作品が際立って目立つ(p49,58,59,62,67,70,71)。華やかな時代の「パリで生きる喜び」(p57)、そして人の動きが良く描き出されていると思う。
・当時の非常識かつ先駆的なポスト印象派やモダンアートの作品群、ミュシャ、ルイ・ルグランなど新進作家のポスター芸術に触れると、伝統的な「サロン」の作品は退屈に見えて仕方がないな。

中盤までは楽しく読めるが、最終盤は美術史に詳しい向きでないと難解だと思う。それでも盛りだくさんの図絵・写真と雅やかな文章により、ベル・エポックの雅やかな雰囲気を堪能できた。

図説ベル・エポック 1900年のパリ
著者:Florent Fels、藤田尊潮(訳)、八坂書房・2016年12月発行
2019年1月2日読了
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図説 ベル・エポック―1900年のパリ
フロラン フェルス
八坂書房
2016-12-01