本書は、イギリスで1900年に刊行された写真集に、個別写真の具体的な説明、日本人向けの解説を加えたものである。著者は19世紀の建築史家で、105枚になる写真は1896年頃に撮影されたらしい。
・巻頭の出口保夫さんによる「悠久の都市ロンドンの2000年」では、ロンディニウムからルンデンウィック、そしてロンドンへの変遷とその繁栄の様相、生活・文化・芸術を含めて都市と人々の歴史を展望でき、近代・現代を含めるとローマをもしのぐロンドンの歴史の凄さがわかる。一読し、そのままヴィクトリア時代の光景へと誘われる感覚も心地よい。
・ウェストミンスター橋、ロンドン塔、国会議事堂、イングランド銀行、セントポール大聖堂、古代ローマ市壁……個々の大判写真には原著者の説明に加え、現在の視点からみての解説文が記される。よって19世紀の風景写真を眺めつつ、ガイドを受けながらロンドンを旅する気分が味わえる。
・いまでは失われたセシル・ホテルやクイーンズ・ホール、セント・トマス病院の古の建物の美しい姿を拝むことができる(p129)。
照明を落とし、ワインを味わいつつページを繰ると、かつて実在したロンドンの光景に足を踏み入れ、気ままに逍遥する気分に浸ることができた。(酔っただけ?)
確かに価格は張るが、それに見合う内容の豪華本。買って正解だった。

THE DESCRIPTIVE ALBUM OF LONDON
写真集 よみがえるロンドン―100年前の風景
著者:ジョージ・H・バーチ、出口保夫、柏書房・2005年11月発行
2019年3月1日読了
DSCN4188

写真集 よみがえるロンドン―100年前の風景
ジョージ・ヘンリー バーチ
柏書房
2005-10-01