財閥の三男坊と貧乏女優の恋物語。ベルの可憐さに魅了され、二人のなかなか進展しない関係にワクワクしながら、大正期の生活風俗と豊かな文化の薫りを存分に愉しめます。

・ベル、紫太郎(したろう)、㐂代(きよ)、伊之助だけでなく、他の登場人物のファッションも気になるところ。観劇する市井の人たち、デパートに集う若い男女、横浜と帝都を闊歩するモダン・ガール(この表現はまだ早いか)。大正中期~後期の「時代の粋」が伝わってくる。
・豆腐を使った「洋食」には笑わせてもらった。
・枠外下の「貧乏ベル飯」(笑)シリーズが、哀愁あって良し。
・”幕間”のコラムと舞台衣装の紹介が楽しい(髪型と帽子、女学生スタイル、戦前の女性の職業、松井須磨子のカチューシャの唄、ラムネ、シュークリーム、ハガキ、等々)。

ただ、貧富の絶望的な格差、小学校中退→セル人形色塗り稼業→女優(㐂代)、女性の識字率の問題など、この時代の負の側面を隠すことなく物語に盛り込み、愉しく華やかな世界観に昇華させていることは特筆されるべきと思います。
それにしても、作中に盛り込まれた大正時代のうんちくがすごい。作者は何者!? ツイッターを見ると……1922年生まれでしたか (^_^;)
続巻も楽しみにしています!
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