1928年(昭和三年)発行の日本郵船『渡欧案内』と『欧州大陸旅行日程』を買ってみた。
当時の金満家が鼻高々に「ちょっと欧州迄」と言い放つ気分? いや、貧乏新進芸術家が身一つでパリへ渡る気分で眺めてみる。
B6サイズは携帯には便利だが、文字と地図が見にくい。やはりA4サイズくらいはないとなぁ。
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・ベデカーやマレー以外にまともな旅行案内書のなかった時代、邦文のガイドブックなど皆無。『渡欧案内』には乗船経路、使用船舶その航海日程と距離、乗船運賃、旅券、旅の服装・携帯品、乗客のための内地鉄道無料乗車券、寄港地案内、注意事項、保険案内等が細かく書かれ、旅行者にとっては必携品だったろう。
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・記述の半分を占めるは「寄港地案内」だ。上海、香港、シンガポール(マレー半島のゴム栽培は見る価値ありとある)、マラッカ、ペナン島、コロンボ、アラビア海、アデン、紅海、スエズ運河(カイロ観光)、ポートサイード、地中海、ナポリ、カプリ島、マルセーユ、ジブラルタルとビスケー湾、そしてロンドン。博物館などの観光地、ホテル案内、食事、歴史、気候、風習、現地通貨、郵便電信料金など、いま読んでも実に興味深い内容となっている。
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・巻末の航路図はみていて楽しい。
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・『欧州大陸旅行日程』は、ロンドンまたはマルセーユで下船した旅客が欧州各国を歴訪するための30日~150日での漫遊(と書いてある)日程について、合わせて8つのプランを示している。例えば30日間の場合だとロンドン発、ブリュッセル~ハーグ~アムステルダム~ベルリン~ローザンヌ~ミラノ~ヴェニス~フロレンス~ネープルス~ローマ~ミラノ~ベルン~ジュネーブ~パリと周り、ロンドンへ戻って船で帰国する。この場合の旅費は一等28ポンド、二等19ポンドとあるが、これだけじゃ心もとない。汽車の具体的な時間などは駅で訊けってことか。

当時は神戸からマルセーユまで42日、ロンドンまで50日かかる時代だ。豪華客船での優雅な船旅は、さぞかし良かったんだろうなぁ(一等船客、二等船客に限られる。貧乏新進芸術家なら三等・船底で地獄の旅か……)。