フランス、イタリア、ペルー等々、旅先での出会いと非日常を綴ったエッセイをはじめ、2016年7月31日の絶筆『老いて悠に遊ぶ』まで、単行本未発表文章を収録。
・パリ16区への深い愛情、中国偽物ブランドパワー、男と女のセカンドステージ、三菱一号館美術館などなど、密度の高い雅やかな文章にどんどん引き込まれてゆく。「げにうらぶれは男の魅力」(p77)って、嬉しい言葉だ。
・「最新流行と歴史が交錯して共存する魔都パリのなせる業」(p50)、「カフェひとつとっても、自分を見せるための演技的空間」(p110)、国語と文学を大切にする伝統(p232)、フランス文化の演劇性、成熟した都市文化の証、「劇場感覚」(p152)、等々。フランスの魅力、たまらないな。
・「彼方にきらめきたって、魂があこがれいでてゆくような」(p79)はるかなもの。「月の音に聞き惚れる」(p198)。著者の文章からは月の不思議な魔力が伝わってくる。なるほど、静かに夜の訪れを待つってのも良いものだな。
・日常に潜む非日常的な経験をとらえること(p259)。これは内田義彦氏の人物論の一文であるが、「世界認識」「学問と芸術」「天の非情さ」など、五章には啓蒙される内容が多い。

「言の葉の贅沢」を満喫。ワイングラス片手に愉しく読ませてもらった。

都市のエクスタシー
著者:山田登世子、藤原書店・2018年12月発行
2019年4月5日読了
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都市のエクスタシー
山田 登世子
藤原書店
2018-11-22