ハートフルな物語が13編。どれも気楽にサクサクと読み進められる。
内容の濃さではボリューム的にも『アンサンブルコンテスト』(p278、質量を持った達成感!)だが、心に響いたのは、最終章の『飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)』だ。卒業式の朝の"ほろ苦さ"と"友情への感謝"。手紙に託す思い。涙は語るためにある。喜びを語るためにある。
そして冒頭の『飛び立つ君の背を見上げる(Fine)』を再読すると、みぞれの笑顔の意味の深さがじんわりと伝わってくる、素晴らしい仕掛けとなっている。
「ほんまアンタら仲ええなあ」(p19)そう、彼女たちのこの関係が長く続くことを願って、本書を閉じることとしよう。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話
著者:武田綾乃、宝島社・2018年4月発行