戦前昭和の良き時代、1931年の女学校の華やかさが実に良く醸し出されていた『昭和少女探偵團』の待望の続編。表紙画はマツオヒロミさんです。
・第一話「雨傘のランデ・ブー」は、校内で忘れ物を発見した主人公がミステリアスな友人の家を突然訪ね、その佇まいに驚き、そこで二本の濡れた傘を発見し……な、前作の紹介を兼ねたライトミステリ。頭脳明晰な友人ならずとも謎の答はわかるのだが、鈍感な主人公、花村茜嬢の推理につきあうもまた楽し。くつくつと笑う"僕っ娘"夏我目潮嬢のしぐさも実に魅力的だ。でも、「読書もまともに出来なんだ」(p44)って、どうかなぁ。(出来ないんだ……ならわかるが。単なる脱字?)
・"制服"は、当時は"校服"と呼ばれていたのか(p50)。
・茜の親友には"エス"のお姉さまがいて……第二話「すみれ色の憂鬱」は"うぶ"で華やかな女学校生活と隣り合う、昭和の貧民の姿が垣間見える。「彼女は空腹よりもずっと、孤独に苦しんでいたのです」(p111) ミス・クサカベの苦悩は心に残った。
・第四話「D坂の見世物小屋 嫉村興行舎の愉快な仲間たち」は、まずタイトルに興味を惹かれるが、子爵令嬢・紫も登場する大活劇となっている。しかし「ずべ公」って、すごい言葉が飛び出すな(p206)。……そして顕現する〇〇共産党の工作員……。「……は、どうしてそう何から何まで無茶苦茶なんだ!」(p278)
・昭和七年、きな臭くなる国際情勢。「正しい」とはなんなのだろうか(p307)と少女は思わずにはいられない。

第三話「群青に白煙」は、作風ががらりと変わり、前作で登場した警視庁部長刑事、鬼頭の視点で物語が進められる。昭和恐慌(大学は出たけれど……)、エロ・グロ・ナンセンス、不純異性交遊、人生経験の重み。「世俗に染まれぬのなら心の中で理想を飼い続けたとて」(p181) うん、良いな。このエピソードがシリーズで異彩を放ち、完成度はピカイチだと思う。(ちっとも昭和少女していない話ではあるが。)
さらなる続編を希望します。

謎が解けたら、ごきげんよう
著者:彩藤アザミ、新潮社・2019年9月発行
2019年10月5日読了
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