男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2006年03月

兵庫県の明石更新センター。前回の日曜と異なり、平日だけあって比較的空いていた。
システムも改善されたようだ。
例の悪評高い「兵庫県交通安全協会」への勧誘が事実上、無くなったぞ!
「安全協会入会申し込み窓口」なる場所が新たに設けられ、免許更新申請窓口では「良かったら安全協会への加入をお願いします」と言われて薄いパンフレットを渡されただけ。
5年前は半ば強引とも言える「入るべきです!」の口調だったのに。
やはりマスコミで叩かれた影響は大きいな!
(交通安全の役に立てると言いつつ、そ割合は支払額の4割未満。実際には更新センター職員の人件費と、県警天下り職員の飲み食いに費やされていたそうな。加入を拒む更新者には嫌がらせが行われたとも報道されていた。毎日放送"報道特集"さんのおかげですね!)

それにしても優良ドライバーへの講習は……。交通事故防止のためのビデオ閲覧、道路交通法規の大きな変更点が解説されるなど、前回の「ただ掲示物を見て回って終わり」よりは改善されたのは良しとしよう。講師の方は自己満足のひとり語りではなく、もっとわかりやすく話をするべきです。
僕は同じ早口人間としてよく理解できたが、大勢を占める女性、特におばちゃんにはわかりにくかったことでしょう。
まぁ、これで5年間は安泰です。

再放送(第2回目)を見た。
現代では想像もつかない、戦前の庶民の悲惨な暮らしぶりが描写され、見るのが辛かった。
でっかい夢を抱き、人生のすべてを賭けて渡ったはずのブラジルでは、プランテーション農園主に好きなように搾取される生活が待っていた。早朝5時から18時まで働き詰め、唯一の"ボッタクリ"小売店(これも農園主が経営)でのクレジット消費が、収入を上回る現実。騙されたとわかったときには帰国の目処も立たず、絶望に打ちひしがれた生活を続けるしかない。辛い労働と膨れあがる借金。それでも「日本にいるよりもまし」だったとは……。
日本に残された女の子も「おしん」がまだ幸せに見えるくらいの悲惨な生活を強いられます。目を背けたくなるくらい。結局、預けられた家の"人格"がすべてなんだな。
現在の"飽食の"生活に不満を言ってはイケナイのですね。

戦後、地主が没落し、小作農家は土地を与えられ、生活レベルを大幅に上げた。太平洋戦争でアメリカに負けたことは国としては屈辱だけど、庶民にとっては良かったのだと、この視点からは言えそうです。

橋田壽賀子さんて80歳なんですね。それでも次々に沸き上がる素晴らしい作品の数々。スゴイ人もいるものです。

祖母が入院していた、そして最期の夜を過ごした兵庫県の吉川病院では、外国人従業員の多いことに驚いた。車椅子に乗るもまだ元気の残っていた祖母を見舞うとき、そこで働く東南アジア系の女性を幾人も見かけた。看護に付くのではなく、食事の準備と配膳が主な仕事のようだった。いまでもそうだろう。
ハッキリ言って下働き。
顔つきからして出身地はフィリピンだろうか? インドネシアだろうか? 一時的な出稼ぎではあるのだろうけれど、その待遇は? 地位は? 社会保障は? 手厚く報われているとは思えないなぁ。
史上例を見ないほどに贅沢になった21世紀ニッポン。3K職に就く日本人は少なく、代わりに需要を満たすのは外国人である。冷徹な現実ではあるが、後ろめたい気持ちもある。

さてさてさて、本書では「となりの外国人」にスポットを当てつつ、現代日本の抱える様々な「外国人」問題が取り上げられます。
少子高齢化する日本と移民受け入れ問題、日本のフィールドで活躍する外国人スポーツ選手とタレント、外資系企業の経営者、世界中から非難を浴びても開き直った難民政策、合法的な、そしてイリーガルな外国人労働者、等々。
英字新聞編集部の筆によるだけに、抑えられた記述とされていますが、その内容は怒りすら憶える深刻なものでした。
たとえば、中小企業を救うべく政・官・財トライアングルの思惑が一致して制度化された「外国人技能研修制度」ですが、その実態は「文句を言わない安価な労働者の提供手段」でしかなく、実際に酷たらしく搾取される"研修生"の実態が静かに、しかし熱く暴かれています。
「彼らは研修生であり、労働者に非ず!」との法の建前から、タダ同然でいくらでも働かせる中国人、インドネシア人。パスポートも取り上げられ、所定の給料の8割も「必要経費」としてピンハネされ、日本人の嫌がる残業を押しつけられて! これでは反日感情が高まるのも無理ありませんネ。

ヘンな国、困った国ニッポン ドキュメント外国人
編著者:デイリー・ヨミウリ、中公新書クラレ、2002年10月発行
2006年3月22日読了

戦後例を見ないほど強力・強大となった会社に対し、弱体化したサラリーマンは失業率5%を意識しつつ、ただ黙々と働き続ける……。
過酷な会社社会と、それでも生き延びようとするサラリーマンの姿を描き、ますます蔓延する社内イジメ、パワハラ、うつ病、リストラ解雇への処方箋が示されます。
さまざまな事例のうち、銀行出身の役員や外資系コンサルタント会社の好きなようにされ、最後は破綻した大手老舗食品商社の実例が印象に残りました。
経営トップのあり方ひとつで会社は簡単に沈むこと、そして個人は、常に最悪の事態を想定しておく必要があると言うことですね。

「まだまだ自分の職場は恵まれているなぁ。いちおう大企業だし」と思いつつ、いつ何時零落するかわからない不安感は払拭できません。

最後に「時間=命」という当たり前のことを再認識させてくれたことは、本書の最大の収穫でした。

サラリーマン残酷物語 起業か、転職か、居残るか
著者:風樹茂、中公新書クラレ、2004年7月発行
2006年3月18日読了

やりたいと思ったらすぐに実行する(後悔することを避ける)、人生のバランスシート(死ぬときは貯蓄0円)、身軽さが一番(家は買わない)等、いろいろと示唆を与えてくれる本書ですが、特に印象に残ったのは次の2点の人生訓です。
・四つの責任を自覚するべし
 自分に対する責任、家族に対する責任、社会に対する責任、日本国に対する責任
 (あとは好き勝手にすれば良い。)
・いつ死んでも良いような人生を送るべし。
 死の瞬間に後悔の念の生起しないような生き方をする。

しかしこの先生、肉体派だったとは知りませんでした。
(自衛官や防大生を相手の腕相撲勝負で、負けたのは一度だけらしい。)

やりたいことは全部やれ!
著者:大前研一、講談社、2001年12月発行
2006年3月17日読了

カバーには「怒りの哲学」と表されています。
なるほど、達観です。人生において降りかかるあらゆる災いは、これを逆利用して人生の糧にするべし、と。
怒りが蓄積して"腐る"とどうなるか? キレる若者たち、「おとなしい善人だった」無差別殺人犯等の事例が述べられます。
恐怖の対象から逃げ惑うのではなく、鮮度を保つうちに対処しておかねば人格が変わる、とも。

最後に「怒る技術=怒らないための技術」であることが明らかにされ、納得です。

怒る技術
著者:中島義道、PHP研究所、2003年2月発行
2006年3月16日読了

神戸新聞より
電力需要の長期低迷から、関西電力が現在運転を休止している高砂発電所(高砂市梅井)を二〇〇六年度上期にも廃止することが十三日、分かった。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000006949.shtml

僕の家(JR朝霧駅の北の方)から明石と西明石方面を抜け、加古川、高砂へのドライブコースを快走するのが週末の楽しみでもあります。
加古川を渡るころ、天空に突きだした煙突からすべてを覆い隠すような濃密な灰色の煙がモクモクとはき出されるのを見るのは圧巻です。
時代の趨勢とは言え、これがなくなるのか……。寂しくなるなぁ。

無くなる前にじっくりと見ておこう。
(こう決意した週末に限って、突然の出張が入ったりするのです……)

1999年、強姦致死事件の被告、当時18歳だったクソ野郎の弁護人が欠席したそうな。
死刑廃止論者? 何を考えているんだ?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060314-00000113-yom-soci

腹が立って仕方がありませんね!
被害者の方の「法曹が死刑にしないなら、私が彼の命を奪うまでだ」の発言は、ズバリ本音でしょう。誰もが思うことを、勇気を持って公の場で発言する。それも理路整然と。頑張って欲しいです。

弁護士資格は一度取得すると、更新されることはない?
非人道的な対応を公に行っても、違法でなければ剥奪されることもない?

どうも法曹関係者の常識というのは、一般社会の常識と大きく乖離している気がします。これで市民社会の守護者を自任されても、困惑するだけです。
(もちろん、ピンキリなんでしょうけれど。)

実にわかりやすいキーワードが散りばめられています。
働く上流と踊る下流
上流は女性らしさ、下流は自分らしさを大切にする
ミリオネーゼ系キャリアウーマンの闊歩する日本橋
渋谷(センター街)はすでに下流の街
下流は自民党とフジテレビ、スポーツ観戦が好きで「ぷちナショナリズム」的である
等々

マーケティングを専門とする著者によれば、本人の上昇志向/現状志向、仕事志向/趣味志向の違いにより、女性は1)ミリオネーゼ系、2)お嬢様系、3)かまやつ女系(ストリート系)、4)ギャル系、5)普通のOL系に分類されるそうです。周囲の女性を見回すと、何となくそんな気もしますが、本当かなぁ?
ちなみに男性は1)ヤングエグゼクティブ系、2)LOHAS系(いまハヤリのヤツね)、3)SPA!系、4)フリーター系だそうです。
自己分析結果:最も平凡なSPA!系でした。トホホ……。

途中、食傷気味となる箇所が多数見受けられるのですが、団塊ジュニア世代を中心に消費動向・意識調査から格差社会の実態を暴き出したという意味で、会心の作と言えましょう。
(食傷気味……細かい数字を並べて分析するのは良いのですが、同じような解説が続くのはいただけません。)

現在の政府の少子化対策は正社員の女性をターゲットにしているが、彼女たちに比べて年収が低いために出産を決意できない派遣社員・契約社員を対象にしない限りは、少子化に歯止めがかからない、と言う指摘はさすがです。
(猪口大臣はどのようにお考えなんでしょうか?)

自分なりの本書の結論ですが、結局、上流と下流の決定的な差は「当たり前の生活態度、こどもの頃からの躾」である。これにつきます。

下流社会 新たな階層集団の出現
著者:三浦展、光文社、2005年9月発行
2006年3月10日読了

なんで入場料を300円も取られるんだ!
と思いきや、中に入ると昭和30年代の町並みが拡がるのでした。
心地良いノスタルジア! 昭和33年だから生まれていないのですが、高度成長期の日本の活力が伝わってきます。
ラーメンだけではなく、小規模ではありますが当時の裏路地(?)が楽しかったりします。
(連れ込み旅館もあるぞ! 入れませんが)
今回は出張のついでに立ち寄っただけでしたが、また来たいな!
(ラーメンは少し高め。でも美味。)

写真は映画「地球防衛軍」看板から。20060307_1

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