崩壊した家庭、昨日の親友たちが一転して敵性集団となる学校、傍観者から被害者への転落、転校、新たな悩み、母親への期待と、思い過ごし……。違う人種との邂逅、ふっきれた人生……。
「それほどお互いを好き合っているわけではないけどあたしたちは無意識下、青春のおままごとに憧れを持っていてありもしない友情に縋って仲良し劇を演じ……」
「あたしたちを動かしているものは本能ではなくいつも世間体だった。その中で唯一と言ってもいい、本能に従って自分の意思でしていることがいじめだ」
「怒り方も泣き方も笑い方も、人はどこまでもありふれている生きものだ。そんなあたしたちが世に放たれるとき、破壊されるものはなんだろう。あたしたちの心が守るものはなんだろう。この銃口はどこへ向かうのだろう」
現代高校1年生の重すぎる日常を描いた本作品、石原慎太郎が「太陽の季節」でデビューしたときも、こんな感覚を味わえたのでしょうね。
著者は1990年生まれ。本作で文藝賞を受賞したのが15歳ですか、期待できますぞ。
平成マシンガンズ
著者:三並夏、河出書房新社・2005年11月発行
2006年9月22日読了