日ロ国交回復50周年記念として「ロシア文化フェスティバル2006 IN JAPAN」が日本各地で開催されているそうな。全然知りませんでしたが。その一環として、ロシア発の劇映画から、2005年度の最高作品までの27本を一挙に上映するイベントが、昨日2006年10月21日より大阪・九条のシネ・ヌーヴォで始まりました。
なんと言っても目玉は、日本未公開の新作「宇宙を夢見て」と「死という名の騎士」でしょう。「宇宙を夢見て」が気になり、ロシア映画・文学の専門家、扇千恵さんのスペシャル・トークも本日だけ行われると言うことなので、早速行ってきました。
シネ・ヌーヴォーって、小規模映画館だったんですね。
http://www.cinenouveau.com/
扇千恵さんのお話によると、全体主義への批判メッセージを内に秘めたものがソ連映画の特徴であり、何かにつけて哲学的である、と。帝政ロシアの圧政に続くスターリン支配が終止符を打ち、1957~1959年にフルシチョフ"雪解け"時代が始まっても、体制批判は御法度。その後の政治思想締め付け(ブレジネフ氏ですな)の時代を経て、ゴルビーのペレストロイカ時代までオリジナルの姿で上映することの許されなかった作品が何本も存在したそうです。
さてさてさて、「宇宙を夢見て」です。1962年を舞台にした本作品、社会の不安感から、脱出への希望と自由への希求がテーマです。そして隠されたテーマが「世代の継承。」
素晴らしいカメラワークと友人に影響される主人公の描写が見事。モスクワ国際映画祭で金賞を受賞したことも納得です。
内容には触れませんが、最後のガガーリンによるフルシチョフへの「人類発の宇宙飛行報告」の晴れがましいこと! あまりにも奔放な「自由」が放置され、その実、有無を言わせぬ全体主義の浸透しつつある現代の日本からすると、均整のとれた社会の姿は、ある意味うらやましい限りです。
ロシア文学も、あの重厚さがたまりません、ゴーゴリの「外套」とか好きですね。
話は飛びますが、九条の街の雑然として自転車が暴走して無法駐輪のまかりとおること! なんとかならないんでしょうか? 「これが大阪や!」と言われれば、それまでなんでしょうか? (これだから、神戸と大阪を一緒にされたくないのです。)