「ホ・ジュン」が終わった。大往生だった。
いまから400年前、正しいと思うことを行動に移し、悔いのない人生を歩んだ男の物語。
その死に、曇りのない人格に惹かれた多くの仲間が涙した、李氏朝鮮時代の医師の物語。
その生涯に使命を課し、明朝の文献に劣らぬ医書を遺した、仕事人の物語。
90年代のトレンディドラマ(死語)や、月曜夜9時のキムタクものには見向きもしなかったのに、兵庫県のU局、サンテレビジョンで放映されていた韓国ドラマには、はまってしまいました。
「韓流だって?」 これまで、マスコミに仕掛けられた「流行もの」に弱い羊たちを哀れに想い、ヨン様ブームなるものを脇から冷笑していたのに、これです。
何が良かったのかなぁ?
テンポが早い。あくびの出るネタ切れNHK大河ドラマのようにダラダラせず、人生のポイントを力を入れて描写するのが新鮮だった。
主人公の気骨に惚れた。チャラチャラ恋愛物語と違い、伴侶と親、息子に犠牲を強いながらも、強靱な意志を持って仕事を完遂する姿に魅せられた。
自らの悲惨な境遇にもめげず、どこまでも弱者(病院)を救済する使命感が、胸を熱くさせた。
絶対王政、貴族と平民の身分制、誠意を尽くしても報われず、それでも自己犠牲の精神を忘れない"本物"の人格を、そこに見た。
サンテレビのホームページを見ると……。
「韓国では1999年に放送され、大河ドラマ史上初めて60%の視聴率を記録し、現在でも歴代視聴率4位に君臨する国民ドラマである」
納得だ!
些細な罪と理不尽な罰、儒教精神に縛られた封建社会の窮屈さ。親の死に目にもあえない地獄の境遇……。
人生の最後のシーンなんて、もう……。涙が滲んだ。
DVDが出ていたら、最初から全部見るぞ!