男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2007年06月

ビートたけしのTVタックルを見たぞ。

http://www.tv-asahi.co.jp/tvtackle/

テレビ朝日のHPから引用します。
5000万件の記録焼失にとどまらず、次から次へと出てくる社保庁のずさんな管理の実態、そして不祥事。タックルでもおなじみの森永卓郎さんも10年分の年金が未納扱いだったというのですからホント他人事ではありません。政府もあわてて「年金問題検証委員会」や領収書以外の証拠も認めるための「第三者委員会」の設置を決定したものの、果たして国民の不安はどこまで解消できるのか!?消えた年金の被害者は本当に救われるのか?悪行三昧の社保庁を改革することは本当にできるのか?参院選の公示を直前に控え、最大の争点となる年金問題を徹底討論します!消えた年金問題追及の最先鋒である民主党・長妻議員&山井議員の激しい突っ込みに、自民党・大村議員らはどう答えるか?長年、年金問題と戦っている谷沢弁護士が訴える、信じられない社保庁の実態に会場の全員が思わず絶句…!今夜のタックル、見逃せません!!

……ひどい、ひどすぎる!
25年ルール? 24年11ヶ月の間、まじめに保険料を支払ったのに、年金が一円ももらえないだって?

わざわざ交通費を払って社会保険事務所まで足を運び、エアコン完備の快適な事務所内で偉そうに構えている下っ端事務員に保険料を納めたのに、領収書が発行されない? 「年金手帳があるから領収書はいらない」と騙し、自分の懐に収める?

社会保険庁職員、まさに非道の輩たち。

国家公務員、地方公務員の一部の連中が、制度を台無しにしている。
黙っていたらわからない? 人間の屑だ。

国や地方自治体の制度は利用するが、彼らを信用してはいけない。
自分たちの身は自分たちで護る。そういうことだな。

2004年2月、陸上自衛隊イラク派遣部隊第一陣が出発。そのとき密かに、1名の民間人が覆面で同行していた……。異文化コーディネータとして通訳・交渉に当たった著者による、サマワ宿営地稼働までの活動の日々が綴られる。
派遣はイラクのためでなく、第一に防衛庁の"省"昇格のため、第二にアメリカのためであった。
現場の自衛官には何も知らされず、東京からの「命令」だけが下される実態。
"血尿"は当たり前。屈強な歩兵が倒れるほどの悪環境下、昼夜を問わず任務を遂行する現地の隊員たちの姿。
マスコミには過剰に敏感だが、「日本の政治・軍事・民事」を諸外国並みにすることを目標とする隊員たちは、自らを日本軍と呼んでいる。
大マスコミの取材は最初の3ヶ月のみ。その後に報道されるサマワの姿と実態の、天地ほどの隔たり!

史上最強と呼ばれる米軍だが、イラク派遣軍の三分の一が予備役州兵だ。ろくな訓練も受けずに現地へと派遣された彼らには、イラク人すべてが敵に見え、近づく者を容赦なく射殺する。イラク人の憎悪は増大し、米軍の恐怖とスパイラルとなって悪化してゆく。

内戦状態に陥ったイラクから、米軍は逃れられない。

「本当の意味での国際貢献」について、著者はこう述べる。
アメリカ追随、または戦争反対を唱えるだけでは、何も変わらない。パレスチナ問題の解決=アメリカの二枚舌外交の克服こそが問題だ。実際に困難であれば、穏健派のイスラム指導者を支援し、その影響力を拡大させ、過激派の勢力拡張を阻止しなければならない。
欧米式の民主主義を押しつけても反発するだけ。文化を尊重しながら、斬新的に制度を変えていくしかない。

報道できなかった 自衛隊イラク従軍記
著者:金子貴一、学習研究社・2007年5月発行
2007年6月9日読了

インターネットの出現により、日常生活が変わると言われて久しい。1998年頃まではネットはそれまでの常識の延長上にあり、新聞、テレビなど既存媒体に併存するものとして扱われてきた。
それが突如、変わった。グーグル、ウィキペディア、ユーチューブが変えたのだ。
マイクロソフトがそれまでのコンピュータ社会を変えたように、何でもありの表示画面から選択する時代から「必要な情報だけを提供する」グーグルが、ネット社会への接し方を変えた。
大学教授やエリートメディア従事者等が「上から与えていた」権威づくしのエンサイクロペディアから「参加者みんなで情報を出し合い、修正し、より正確な内容へ修正された」ウィキペディアが、百科全書への取り組み方を変えた。
そして2006年に出現したユーチューブは、既存メディアが提供するヴィデオ情報に頼らない、万人が欲する映像情報への接し方を変えた。
要は、従来のエスタブリッシュメントの既得権益構造が崩壊しつつあるのだ。
大学教授が学位と序列を支配する。あるいはその教授は、米国のように画期的な発明ではなく、点数化された論文の数によって評価される学者の世界に依存する。経済界では、旧来の既得権益を手放さない企業が新参者を排除し、あるいは談合体制の内部に取り入れてきた。これからネット社会が急速に進化すると、これまで常識とされてきた世界は崩壊に向かう。
急進的とも思えるが、テクノロジーが大衆の要望をかなえてきた現実を考えると、そのように変わってゆくのだろう。

フューチャリスト宣言
著者:梅田望夫、茂木健一郎、ちくま新書・2007年5月発行
2007年5月18日読了

18世紀から続くグローバリゼーションの変遷、奴隷貿易、人権侵害と補償問題等、朝日新聞社の花形コラムニストの筆が、縦横に冴え渡る。

[新しい戦争]
テロリストは、自らは戦士であり、その行動は戦争であり、少なくとも戦争捕虜の待遇を求める。しかし、人質を取り、非戦闘員を殺傷する彼らは、明らかに犯罪者である。
しかし、それは国内法規の範囲を超え、国家・社会の安全保障上の脅威となっており、今後は平時と戦時の境界が曖昧になり、イスラエルが直面している内戦状態が、途上国では常態となるだろう。

[包括的核実験禁止条約 米国の一国主義]
第一次世界大戦後、国際連盟の設立に奔走したルーズベルト。そのベルサイユ条約の批准が、自らが大統領を務める米国で否決されるという悲劇に見舞われた。ウィルソンの悲嘆を目の当たりにした海軍次官補こそ、かのフランクリン・ルーズベルトだった。彼は、ベルサイユ条約の不備(ドイツに対する厳しすぎる取り立て)がナチス政権を育んだことを教訓とし、第二次世界大戦後、敗戦国への戦後補償要求を行わないことを決めた。
そして日本とドイツは連合国(国際連合)の一員となり、現在に至った。
クリントン、ブッシュ両政権の「米国一国主義」は奢りの表れであり、国家ナルシズムは綻びを生む。彼らはルーズベルトの成果、すなわち「歴史に学ぶ」ことを覚えなければならない。

[グローバリゼーションとは何か]
理念でも構想でもなく、それは過程であり、インターネットも英語も道具でしかない。
「グローバリゼーションとは、かけがえのない自分や共同体の多様な価値観をなみなみと注ぎ、それを通じて世界に向けてそれを発現し、表現するために役立たせる容器と心得るべきものなのだ」
なるほどなぁ。

日米同盟と米英同盟についての比較論功も興味深いものがあります。それにしてもイージスシステム、MDシステムの情報が海自内で漏洩し、その一部(全部か?)が中国へ渡ったであろうと予想される事件は、米国軍部に計り知れない衝撃を与えたと思う。安保強化を目指すこの時期には痛い。、自衛隊の情報管理への不安感、否、日本国への不信感が、今後のF22獲得交渉に暗い影を落とすことは間違いない。

グローバリゼーション・トリック
著者:船橋洋一、岩波書店・2002年12月発行
2007年5月31日読了

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