男ひとり旅の美学

[旅の恥は書き捨て]ってことで。あと、BMWと読書感想文も。

2009年08月

サンデーモーニングでアフガニスタン大統領選挙が取り上げられていた。(2009年8月30日) 現職のハーミド・カルザイ氏が得票率41%、対抗馬のアブドゥッラー(アブドラ)氏は39%。大規模かつ組織的な不正が次々と報告される中、決選投票が行われる見通しだ。

問題は何か?
番組によると、カルザイ氏はパシュトゥーン人で国の南部が支持基盤。対するアブドゥラ氏はタジク人で、母体政党は統一国民戦線=旧北部同盟だから、北部が基盤だ。

伊勢崎賢治氏=昨日読んだ「自衛隊の国際貢献は憲法九条で」の著者が出演していた。彼によると、
「最悪、国家が南北に分断される可能性もある」
いっそ、そっちの方がうまくいくのでは? パシュトゥーン側は、パキスタンに併合されたりして。

で、アブドゥラ氏は2002年の暫定政権時の外務大臣。と言うことは、旧軍閥とつながりがある? 悪名高い腐敗の源? カルザイ政権そのものも腐敗が糾弾されているし。

表面的な統一国家を保つか、分裂するのか。どっちに転んでも、腐敗した極貧国家のままか。アメリカが出て行き、他の先進国も手を引き、残るは発展途上国ならぬ「絶望途上国」。世界が見捨てるであろう破綻国家寸前の石油の出ないこの国に日本が介入し、公平な民主国家に仕立て直すのか?
もしかして、ババを引かされる?

【ウイークリーワールド】不正と暴力に悩まされたアフガン大統領選 3日に暫定結果
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090829-00000539-san-int

<アフガン大統領選>米が第2回投票を要請 カルザイ氏激怒
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090828-00000118-mai-int

そうそう、日本では今日、衆議院選挙か。こっちは"絶望先進国"だが、投票権だけ行使しておこう。

日英凋落 戦略描けず影響力喪失
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090829-00000039-san-int

膠着した紛争の出口を求めるのは容易ではない。
どこまでも正義を追求するのか。それとも、平和を求めるのか。

戦争被害を被った者から見て、妥協による平和はありえないし、戦争犯罪人の"恩赦"などとんでもないことだ。一方で、この先、数十年の紛争と混乱に耐えられるほど、人間社会は盤石ではない。

破綻国家に陥る恐怖が、大国主導による和平を受け入れる土壌を育む。平和と新生国家の演出。そこでは、数十人を虐殺した戦争犯罪人でさえ許されるという、とんでもない代償がバーターされる。いったい、戦争被害者の人権はどうするのか。

戦後60年。形骸化した憲法九条だが、しかし、その前文と九条こそ、現代日本人の精神の骨格となった。諸外国が見た「日本人の姿」も、英米のように武力を振りかざすことのない、中立した、信頼できる経済大国の人々、と映る。

シエラレオネ、東ティモール、アフガニスタンで紛争処理、武装解除を指揮した著者は、この「美しい誤解」こそ、日本の資産であり、外交上の最大の武器であると説く。

焦燥となっているアフガニスタン。出口の見えない対テロ戦争。2003年には考えられもしなかった「タリバンとの和解」が真剣に議論されている。それも和解の是非ではなく、いつ実行に移すか、が議論の中心だという。中立イメージを持つ日本のイニシアチブ、か。なるほど、イラクへの自衛隊派遣より、よほど世のためになりそうだ。

自衛隊の国際貢献は憲法九条で
国連平和維持軍を統括した男の結論
著者:伊勢崎賢治、かもがわ出版・2008年3月発行
2009年8月29日読了

6月頃から、運転席側(開閉率高し)の窓の動きがおかしい。モーターに負荷がかかっているようで、すんなりと開閉しない。ギリギリギリ、と動き、途中で止まることもある。「バキッ」ってデカイ音を立てることも。ビックリするじゃないか!

ネット検索すると、ウィンドウレギュレータなる部品を交換しなければならないようだ。
E46型で頻発しているらしい。
修理に出そう、出そうと思いつつ、2ヶ月経過。そろそろヤバそうだ。で、ディーラー工場へ電話し、愛車を持ち込んだ。
(2009年8月8日の話。)

「ウィンドウレギュレータの在庫がありますので、即日、修理できます」って、やはりそうなのか。
「リコールじゃないの?」と言いたいところだが、大人なので、グッとガマンだ。

作業は60分で終了。VISAカードで25,410円。嬉しくないなぁ。

店内のBMWマガジンをパラパラめくっていたら、7シリーズのハイブリッド車が販売されるらしい。ハイブリッドの3シリーズが発表されたら、考えよう。
ハイブリッド車か。猫も杓子もプリウス。乗る気がせんなぁ。
インサイトの実車を見たが、これはこれで良い。ハイブリッド車の機能・性能としては、プリウスに劣るようだが。

で、わが愛車。あらためてフロントマスクを眺めると、ウン、いい顔をしている!
まだまだ乗り続けるぞ!
(来年9月は9年目の車検だ。また20万円超の出費か……。)

池澤夏樹さんの紡ぎ出す、ことばの力。
生きている実感を切り取ったハース氏の風景写真からは、鼓動が伝わってくる。

一級の美しい文章と写真のコラボレーションは、気持ちを穏やかにさせてくれた。
「蛍の木」と「フラミンゴたち」が良かったな。

きみが住む星
著者:池澤夏樹、エルンスト・ハース、文化出版局・1992年10月発行
2009年8月19日読了

ドイツ、欧州連合諸国だけでなく、アメリカでは200万部のミリオンセラーとなった。2009年には日本でも映画が上映されたな。

「ぼく」が15の年に関係を持った21歳年上の女性、ハンナ。謹厳な父親と4人の兄弟に挟まれ、「甘い」暖かさに飢えた主人公にとって、母親のような彼女は、かけがえのない存在となった。
大人の世界を知った優越感。のめり込む自分に酔う日々が続く。
物語の朗読を求められた主人公は、ベッドイン前の1時間の朗読が日課となった。オデュッセイア、老人と海、エミーリア・ガロッティ、罪と罰……。

突然の失踪。結婚しても彼女が忘れられず、離婚。自分の娘に「家庭の暖かさ」を与えてやれない罪悪感。
突然の彼女との再会は8年後。決して語られなかった「秘密」の暴露。彼女は、ナチス犯罪者の被告席にいたのだった。

隠されていた秘密。ユダヤ人強制収容所の看守。
いずれアウシュビッツに送られる囚人たちの中から、彼女は、体力のなさそうな少女を選び、そこでも「物語を朗読させて」いた……。

1960年代のナチズム裁判の複雑さ。正義と正当性を求める裁判の席で、不可解な言動を重ねる彼女は、他の被告者の罪をも背負い、無期懲役の判決を受けることになる。

煩悶する主人公。彼女の「本当の秘密」を推論の上に探り当てたとき、主人公「ぼく」は、法廷での不可解な言動の理由を、そのあまりにも悲しい理由を理解した。

希望を絶たれたハンナ。その最後の、戦慄の情景は、胸に痛い。

第一次世界大戦後、ナチスの擡頭するまでのワイマール共和国。1920年代後半の「デモクラシーの時代」は、果たして黄金の時代だったのか? 貧困層の生活の労苦が、ハンナの人生を狂わせた。人は強さと「安心」を求めるから、ヒットラーの成功も当然の帰結となる。
その代償が、ハンナをはじめ、多くの無名の一個人にのしかかったのが現実だ。

「歴史を学ぶということは、過去と現在のあいだに橋を架け、両岸に目を配り、双方の問題に関わることなのだ。……僕たちは過去の遺産によって形作られ、それとともに生きなければならないのだから」(171頁)

著者は、1990年に訪問した東ドイツの『灰色の光景』を見て、本作の構想を練ったと言われる。連合軍進駐直後の、廃墟と化したドイツの都市部の光景を思い出させた。それは、EUに一体化することを選択した、戦後ドイツの原風景……。
東京裁判を経験した敗戦国として、他人事とは思えない苦い読後感を残した。ぜひ、数年後に読み返してみたい。

Der Vorleser
朗読者
著者:ベルンハルト・シュリンク、松永美穂(訳)、新潮社・2000年4月発行
2009年8月13日読了

UNHCR関係から手に取り、そのまま購入した。
短篇が6編。自分の意志で職業やライフスタイルを選び、または勝ち取り、恋愛と仕事の狭間で悩むキャリアウーマンの姿が光る。

「器を探して」
プロポーズが予定されているクリスマスイブの夜、女社長=オーナーパティシエに命じられ、新作プディングに合う美濃焼を探す旅に出た弥生。
魔術的な洋菓子の才能に魅入られ、専属秘書となってはや10年。マスコミに持ち上げられ、有頂天になった社長を支えるのは自分しかいない。そんな自負があるからこそ、自分の恋愛運のなさをなすりつけてくる行為にも耐えてきたのだが……。

「犬の散歩」
ある日、使命に目覚めた専業主婦。その資金繰りのために始めた「夜のお仕事」から、翌日の夜のお仕事までの物語。
ビビとギャル、二匹の犬が少なからず人生観を変える、か。犬を飼いたくなってきたぞ。

「守護神」
一口に社会人学生と言っても、様々な職業と年齢、学業に費やせる時間の違いがある。残業に追われ、職場の理解を得ることもできず、志半ばに去ってゆく学生たち。そんな彼らの救いの女神が、ただでレポートの代筆を引き受けてくれる「彼女」だった。
単位を稼げず、必須レポートの期限も迫り、ようやくのことで「彼女」を探し出した30歳フリーターの社会人学生。だが、「彼女」がレポートを引き受けるのには、ある条件があった……。

「鐘の音」
類い希なる仏師の才能を有しながら、納得できる作品を生み出せない苛立ち。修復師として新たに出発した主人公は、ある仏像に出会う。不空羂索(ふくうけんじゃく)観音像。3ヶ月に渡る修復の過程で、観音像と一体になるのを悟る主人公。濁世から脱したとの思いが、ある事件を招いて……。
内容にグイグイ引き込まれた。この作品こそ、本書の最高傑作だろう。

[ジェネレーションX]
かつての新人類と、新しいケータイ世代の対峙。これは読み流しだ。

「風に舞いあがるビニールシート」
NHKでドラマ化されたな。
投資銀行からの転職先は、国連難民高等弁務官東京事務所。元上司であり、2年前に離婚した夫のエドがアフガンで死んで3ヶ月。放心状態の続く里佳に、上司のリンダは荒療治をしかける。
華やかな国際公務員だが、フィールド勤務の多いUNHCR職員の場合、1年のうち、夫婦が一緒に暮らせるのは、わずか10日あまり。そのわずかな「日常生活」でさえ、すれ違い、きしみ、夫婦の絆を保つことの難しさが浮上する。
なぜか、暖かな家庭生活を拒み、何もない生活こそ自分の居場所だと言い張る夫。その理由を里佳が知るのは、偶然にもアメリカ人の夫が命と引き替えに助けたアフガン人少女の言葉だった……。
結婚しても必ず肌を離して眠る夫の行動の理由が明らかになる。そして、里佳は決意する……。
感動作です。

風に舞いあがるビニールシート
著者:森絵都、文藝春秋・2006年5月発行
2009年8月8日読了

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