男ひとり旅の美学

[旅の恥は書き捨て]ってことで。あと、BMWと読書感想文も。

2009年09月

2005年11月公開作品。恥ずかしながら、いまになって観賞した。
茶川竜之介、古行淳之介、星野六子、鈴木オート……。青森からの集団就職、東京都電(広島市電は現役ですね!)、透明の指輪、オート三輪(ダイハツ・ミゼット)、そしてゴールデン座(笑)。
懐かしくも遠くなってしまった、高度成長期初期の日本の風景。
1958年(昭和33年)、焼け野原から復興しつつある東京庶民の生活。東京タワーだけが突出して聳える背景に、鮮やかな夕焼け。

ラスト付近の淳之介との再会はベタと言うか、興ざめだったが、ラストはまぁ、よかったんじゃないだろうか。
……小雪、いいなぁ。

2003年、ブッシュ政権のネオコン最盛期から、米国世論に厭戦気分が蔓延し、英国軍など「有志同盟」が解体しはじめた時期に朝日新聞系のメディアに発表された論評集。

中国に配慮しすぎではないの? と余計な口を挟みたくなるが、熟練の筆だけあって、安心して読める。

米国衰退、朝鮮核半島、中国標準、文明衝突、強制戦略。
400頁にもおよぶ本編のテーマは多岐に渡り、どれも読み応えがある。だが中核は「日本孤立」に関する危機感だ。
そして全篇に通底するのは、多様な意見を聞き、議論し、妥協を探ることの価値を説いていることだ。

■民主主義の活力の弱体化
小泉政権が登場し、孤立化、右傾化、そして何より、他者への非寛容さが加速した。著者の親日派の友人-米国人、韓国人が懸念し、非難し、半ばあきらめ顔で語るのを、著者は苦い思いでいたに違いない。
歴史問題では、靖国神社参拝反対者への言論テロ、そして暴力が放置されてきた。
拉致問題では、あろうことか東京都知事が、外務審議官に対する脅迫を"擁護"し、"あおる"ような発言をしたにもかかわらず、非難する者はいない。
民主主義が云々の問題ではなく、道徳の問題とも言える。寄らば大樹の陰、長いものには巻かれる日本社会の特質か?

自由と民主主義と市場経済は、日本一国主義ではなく、国際社会で生きる大前提だ。少数の尊重と多様性の保障(保証ではなく、暴力からの"保障")、透明性と言論の自由の確立が、あらためて問われる。

■早期英語教育無用論
「小学校は日本語優先。英語教育など不要」(伊吹文相:当時)
この国際化社会にあって、英語教育は早いに超したことがない、これは海外旅行で苦労した僕の経験からも言える。なにせ、話せないと、相手にされない。
著者は力説する。英語は世界に生きるための糧である、と。
「言葉は社交のために学ぶ。社交とは人間が社会でよりよく、より豊かに生きていく術である」(395頁)
「英語が事実上の国際共通語である以上、それをよりよく使いこなすことが国際社会で自らの機会を追求し、自らの可能性を発見し、自らの志や夢を表現する上で決め手になる」(396頁)

■日本外交レインボー・ブランド
21世紀、日本文明は米国文明と中国文明の狭間に位置する。これを危機ととらえるのではなく、持ち前の融合力で調合することで、新たな発展が期待できる。その力の源泉として著者は七つの力を提唱する。
経済力と技術力(モノづくり)、民生力(民主主義に基づき国際ルールを築き使命を果たす力)、地域安定力(日米同盟と東アジア諸国の地域協力を結びつける力)、文化力(文明の"与え方")、海洋・森林力(土建国家からの脱却)、共感力(途上国の境遇と挑戦への想像力)、そして融合力(新しい日本文明。そして普遍的な世界文明)。

■それにしても……。
2000年代以降のプチ国粋主義とでも言おうか。戦後政治、戦後教育の全否定。国連の否定。日本国中心主義。"勇ましい"右傾化。この風潮には不快さを感じていた。
昔は愛読していたSAPIO誌はその流れに乗ったから、とっくに読むのを止めたし。
グローバリズム経済にはくらいついているが、政治・社会交流、文化交流の面ではどうだろう。日本中心主義、「日本人、サイコー!」と陶酔している間に、世界中から見放された。そんな感じ? 

思えば、小泉(アメリカべったり、他国の心情無視の靖国神社参拝)、安倍(美しい国。その実、アメリカ賛美と戦前日本の美化)、福田(よくわからない)、麻生(ローゼンメイデンを愛読? 国民生活の破綻を尻目にアニメの殿堂?)と、それこそ、とんでもない時代だったな。
で、この4人って世襲政治家なんだな。まぁ鳩山政権もそうだけれど。

民主党政権になって、この流れが大きく変わる予感がする。矢継ぎ早の新政策の発表と、国連総会での地球温暖化防止策。米中が沈黙する中、EUには歓迎されたし。
日本政治だけでなく、日本社会も変わるかな。これまで期待していなかった分、刮目しようか。

日本孤立
著者:船橋洋一、岩波書店・2007年7月発行
2009年9月19日読了

「袋小路の男」
芥川賞受賞作の前作に当たるのかな? 川端康成文学賞受賞作だ。
女主人公は高校生時代から酒とタバコに溺れ、大学でそれなりの経験を積んでいるんだが、こと、高校の一学年先輩「袋小路の男」とは、指一本触れない関係が12年も続く。

「小田切孝の言い分」は続編だ。
知り合って18年間の二人の関係。純愛は続く。友情を越えてはいるが結婚の意思なし。男女の関係を抜きにした恋愛の姿。

この二編を通じて、純愛のひとつの姿が、それも人生の姿が突きつけられる。

若いうちに好き勝手やっておいて、言い寄る女を手元に残し、定職にも就かず夢を追う男。浮気しながらも、決して報われることのない愛に生きる女。順調に家庭を築く周りの友人とは違った人生を歩むこと。それはもう、辛辣だ。

「アーリオ オーリオ」
30代理系独身男と、姪っ子中学生の手紙のやりとりが微笑ましい。ケータイメールではなく、手紙。片道3日間の距離は姪っ子の想像力をかき立てる、安心して読めた。

袋小路の男
著者:絲山秋子、講談社・2004年10月発行
2009年9月14日読了

19世紀末から第一次世界大戦にかけ、まさにイギリスの世紀に、時代の寵児として名声を獲得した、ラドヤード・キップリング。日本ではジャングル・ブックの著者として知られるが、他の著作は、意外にも多く出版されていないのが実情だ。

本書は、インド、インドネシア、南アフリカ……。首都、ロンドンを遠く離れ、大英帝国の辺境で働く男たちの物語を中心にした短編集だ。キップリング="帝国主義文学の第一人者"としての作品を気軽に味わえた。

「領分を越えて」(印度の窓)Beyond the Pale(1888年)
19世紀の大英帝国インド植民地。統治する白人は租界地に住み、現地人社会とは隔絶した社会を形成している。その"領分"を侵した若いイギリス人男子とインド女性の逢い引きが社会に知れることとなり……。伝統的な、その実、残酷な現地社会の掟。女性のあまりにも悲しい運命が、辛い読後感をひきずる。

「めえー、めえー、黒い羊さん」Baa, Baa, Black Sheep(1888年)
自伝的小説。若くして才能を開花させた秘密が、本作から垣間見える。インドでの小皇帝の生活から一変、イギリスで親戚の家に預けられた幼いキップリングは、厳格な宗教的規範と、除け者にされる毎日に絶望する。読書こそ唯一の避難所であり、文学的才能を培ってゆく。

「交通の妨害者」The Disturber of Traffic(1891年)
オランダ領インドネシア、の海峡で、イギリス人の灯台守は孤独に堪え忍ぶ。徐々に精神は蝕まれ、静かな海峡に"無粋な横筋"を付ける船舶に対し、実力行使に出る。油を燃やしたブイを浮かべ、船舶の通過を妨害する事件は、オランダ海軍とイギリス海軍を巻き込む国際的事件となる。
強力な帝國と、その先兵の弱さが対照をなす。

「橋を造る者たち」The Bridge Builders(1893年)
インダス川に新設計の橋を建築する二人のイギリス人技師。協力的な現地人パートナーは建築者のうちには入らない。
「命より大切な名誉と信頼のために働く」(146ページ)
完成直前の橋を突然の洪水から必死に護る白人とインド人の姿には引きつけられるが、後半のヒンドゥーの神々が登場するくだりは興ざめだ。

「ブラッッシュウッド・ボーイ」The Brushwood Boy(1895年)
富裕な家に生まれてパブリックスクールで育ち、陸軍士官学校を卒業し、インド植民地軍で若くして中佐に出世した、典型的な帝國男子のジョージ。「人のやらないこと」を率先して行う彼に対する同僚と女性たちの評価は極めて高い。成功した現実世界とは別に、幼い頃から住み続ける夢の中の世界。そこで出会う女性こそ……。最後はファンタジーか?

「メアリ・ポストゲイト」Mary Postgate(1915年)
第一次世界大戦期のロンドンが舞台だ。空軍に志願した中流階級の"ぼっちゃん"の死。それを淡々と受け入れる家族。墜落して負傷したドイツ兵に対峙した、メイドである女主人公の意志の強さ。そこに、古き良きイギリスの姿が浮かぶ。

その他、初期のインド植民地を舞台にしたファンタジー「モウロビー・ジュークスの不思議な旅」、旧友への復讐と和解をテーマにした「損なわれた青春」が収録されている。
ボーア戦争期の鉄道マンと海軍水兵が語る完璧な未亡人「ミセス・パサースト」は実に魅力的だ。

キップリングの代表作とされる本格的長編「キム」や「グレートゲーム」を読んでみたいなぁ。

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キプリング短編集
著者:橋本槇矩(編訳)、岩波書店・1995年11月発行
2009年9月12日読了

今日は愛車E46型320i Mスポーツ(2001年型)の1年点検だ。
乗り出して8年目か。
で、代車はいつものマーチ(レンタカー)かと思いきや、現行型3シリーズツーリングワゴンだ!
走行1万キロでキズひとつ無し。ほとんど新車のMスポーツ。HYOGO BMWさん、気が利くねぇ。

最初は、気を遣って静かに運転していたが、慣れると高回転域のエンジン音を愉しんだ。
4気筒2000ccだから愛車(6気筒2200cc)より非力なハズなのだが、どうして、どうして! よくブン回ること! これは、次の車検前に買い替えろってことか???
電子制御ウインカーに慣れるのに手間取ったが、そこはマン=マシン・インタフェースに優れたBMW車。数回の操作で馴染んだ。
エンジン・スタートボタンは最近のトレンドか。国産車、外国車に限らず、電子化が進んでいるなぁ。

エアコンは……4席独立で温度設定できるのか!
ボディが大きいのには慣れが必要だが、まぁなんとかなるだろう。

カーナビは、リモコンで直接操作するのに慣れているから、Iドライブには馴染めなかったなぁ。

次のBMWは1シリーズと考えていたが……実用上、クーペは無理にしても、セダンなら考えてもイイかもなぁ。

イヤイヤ、3シリーズ・ハイブリッドかなぁ。
BMWは7シリーズ水素エンジン車を開発していたのだが、いかんせん、コストがかさみ、とても市販できるレベルではないとのこと。だから、2010年にハイブリッド車を市販することとなったらしい。

う~ん、迷うなぁ……。

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