男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2010年03月

地中海の宝石、チュニスには以前から興味があったのだが、京都で大規模なカルタゴ展があるという。京都「えき」訪問のついでに足を伸ばした。(2010年3月27日)

鑑賞の前に一休み。珈琲サロン、阿蘭陀館へ入る。旧日本銀行京都支店の金庫室を改装したそうな。調達品も明治時代のものらしく、素晴らしく趣味が良い。
で、ここは高級喫茶だ。普通のブレンドコーヒーが「ブルマンです」って……。なるほど美味だ。内装に負けていないな。

では、鑑賞開始。

ローマに敗北した後、文字通り全土が灰になるまで破壊されたカルタゴだが、墓地の副葬品などは「消失」を免れた。その装飾からは、フェニキア起源の神々への信仰を基本としつつ、ギリシア、ローマの影響を受けた多神教国家の姿が浮かんでくる。
石碑にはバルメット文様なる装飾が多い。
スフィンクスとメドゥーサはギリシャ神話の影響か。

圧巻は「有翼女性神官の石棺」だ。フェニキア、ギリシア、ローマの美術様式の集大成とされているが、その造形美も秀逸だ。
高位の神官、政治家の棺にのみ埋め込まれた、黒大理石のプレートも観る価値あり。ポエニ文字が読めれば、なお良し。(無理。)

金銀のコインは、表面は女神の顔で、裏面は馬の図形で統一されている。ロンドンの銀行博物館で観た古代ヨーロッパの貨幣よりも美麗だぞ。

しかしカルタゴ、とんでもない海軍基地を持っていたんだな。長く地中海の覇権を握っていられたわけだ。

ローマ占領後は、本国のローマ、エジプトのアレキサンドリアと並び、帝国の三大中枢都市にまで発展する。その大事業の中心にいたのが、かつてローマ軍と死力を尽くして戦ったハンニバルだというから驚きだ。(戦死または殺害されたと思っていた。)

富裕市民の邸宅とモザイク芸術には、あまり興味を引かれなかったなぁ。

ますますチュニジアに行きたくなったぞ。

THE LEGACY OF CARTHAGE:A journy Across the Mediterranean
チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 きらめく地中海文明の至宝
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_carthage.html
2010年4月4日まで!

19世紀末のヴィーン・セセッションに、鉄骨直線文明に反旗を翻すパリ・アール・ヌーヴォー。20世紀初頭の生活文化と芸術の融合が顕わなポスターが、遠くチェコの博物館から大量に輸送されてきたそうな。
ベル・エポックの香り。これは行かねばならない。(2010年3月27日)

神戸から京都まで、JR西日本の新快速で約一時間。遠いなぁ。
遠いけど、行った甲斐がありました。

歴代の分離派展ポスターのいくつかは、いま観ても刮目させられる。当時は極めて斬新だったんだろうな。

お気に入りの1枚は……1905年の「リエージュ万国博覧会」ポスターだな。ベルギー王国の特徴を随所にあしらい、女性の肩から腰にかけての服飾デザインが秀逸だ。ミュシャやロートレックに比べると扱いは地味だが、それでも気に入った。。

旅行会社のポスターは、20世紀に入っての大衆社会へのレジャーの浸透が感じられる。1927年の「寝台特急北極星号」のポストカードを購入したぞ。

物販ポスターや雑誌表紙も、当時の風俗が感じられて面白い。

KIRIN ~美の巨人たち~で2010年2月に放映されたアルフォンス・ミュシャの「ジスモンダ」も展示されていた! 現物を観ることができて最高だ。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/100206/

なるほど、当時の設備では縦長ポスター原版1枚ものの印刷が難しく、2枚を重ねていたんだなぁ。
ミュシャの作品では、同じサラ・ベルナールを描いた「ハムレット」が僕は大好きなんですが、レプリカ、手に入らないかなぁ?

LIFE WITH POSTERS 1890-1920
LIFE art nouveau
チェコ国立プラハ工芸美術館、チェコ国立モラヴィア・ギャラリー所蔵
アール・ヌーヴォーのポスター芸術展 ~クリムト・ミュシャ・ロートレックなど~
http://www.wjr-isetan.com/kyoto/floorevent/index_7f.html
http://www.kyotodeasobo.com/art/exhibitions/poster-of-art-nouveau/
2010年3月28日まで!(って、終わりか。)

地元、兵庫県神戸市で開催されているので行ってきた。これが最後みたいだし。(2010年3月27日)
10ヶ月前に訪れた、美術館「えき」KYOTOに続き二回目だ。神戸の会場のほうが広いようで、一刻館の玄関と管理人室の再現モデルもちゃんと展示されていた。(例の"桃色電話"も。)グッズ販売コーナーも別のフロアで広く、京都で売っていない品もあった。
http://gaslight.way-nifty.com/on/2009/05/its-a-rumic-wor.html

めぞん一刻の原稿を見る。五代と響子の結婚式だ。衣装の黒は濃淡表現が活きているが、墨の重ね塗りだったのか。

犬夜叉の最終回近くの原稿も良いが、やはり最終回の下絵(ネームっていうのか?)、特に骨喰の井戸からかごめを抱き上げるシーンは何度見ても良い。下絵の段階で、表情とポーズが生き生きとしている。神業だ。

展示ケースには外国語版のコミックスも。前回は気づかなかったが、香港版のめぞん一刻(相聚一刻)10巻の帯に、"WARNING!"と英文で何か書いてある。読んでみると……「販売、貸与、映像上映などのいかなる手段に関わらず、18歳未満の人物の目に触れないよう注意しなければならない」って、アダルト漫画じゃないんですがっ。(さすが中共……。)

大丸ミュージアム・神戸店
高橋留美子展~It's a Rumic World~
http://www.daimaru.co.jp/museum/kobe/takahashi.html
2010年3月31日まで!

高橋留美子さんインタビュー : 高橋留美子展~ It's a Rumic World~ : 特集 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/feature/takahashi_r/fe_tr_08070901.htm?from=nwla

ロンドン旅行からの帰路、パリ発関西国際空港行きの機内で鑑賞した。(2010年3月13日)

SFX(死語か)はさすがだ。NHKのクローズアップ現代で観たが、この特殊効果映像を制作したのは若い日本人らしく、誇りに思える。

自然災害に立ち向かう若い地質学者は、一方でヒューマニストだ。アメリカ大統領の言葉「若い科学者は年老いた20人の政治家に勝る」は、その通りか。

大統領首席補佐官は最初は良い感じだったのに、中盤「箱船」のあたりからエゴが顕わになった。彼は排斥される運命にあるが、実は誰もが持つ願望であるだけに、辛いものを感じた。

ハードなSF設定と「家族」を巡るドラマの両立。ラストはありきたりだが、まぁ良作だろう。
しかし、日本は完全に水没か。ハリウッド制作だから仕方ないが、悲しいものがあるな。

エールフランス機のビジネスシートに備え付けのLCDモニタは、まだ10.4インチサイズ。映画鑑賞には迫力不足だった。数年後に大画面+ブルーレイで再鑑賞しよう。

http://bd-dvd.sonypictures.jp/2012/

最も先進的な大都市、ロンドン。その19世紀の面影を残すベイカー・ストリートをはじめ、シティ、ウェストミンスター、ウェスト・エンド地区を中心にホームズとワトソンに縁のある地域を巡る旅行指南書となっている。

3月7日から13日にかけてのロンドン旅行に備えて読んだ。

現在も多くの人で賑わう大通り、駅舎、美術館等、ホームズ物語の登場人物が関与した場所や関連する施設の1850~80年代と1990年代初頭の写真が多数掲載され、実に興味深く読むことができた。

ホームズのヴィクトリア朝ロンドン案内
著者:小林司、東山あかね、新潮社・1993年3月発行
2010年3月5日読了

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