地中海の宝石、チュニスには以前から興味があったのだが、京都で大規模なカルタゴ展があるという。京都「えき」訪問のついでに足を伸ばした。(2010年3月27日)
鑑賞の前に一休み。珈琲サロン、阿蘭陀館へ入る。旧日本銀行京都支店の金庫室を改装したそうな。調達品も明治時代のものらしく、素晴らしく趣味が良い。
で、ここは高級喫茶だ。普通のブレンドコーヒーが「ブルマンです」って……。なるほど美味だ。内装に負けていないな。
では、鑑賞開始。
ローマに敗北した後、文字通り全土が灰になるまで破壊されたカルタゴだが、墓地の副葬品などは「消失」を免れた。その装飾からは、フェニキア起源の神々への信仰を基本としつつ、ギリシア、ローマの影響を受けた多神教国家の姿が浮かんでくる。
石碑にはバルメット文様なる装飾が多い。
スフィンクスとメドゥーサはギリシャ神話の影響か。
圧巻は「有翼女性神官の石棺」だ。フェニキア、ギリシア、ローマの美術様式の集大成とされているが、その造形美も秀逸だ。
高位の神官、政治家の棺にのみ埋め込まれた、黒大理石のプレートも観る価値あり。ポエニ文字が読めれば、なお良し。(無理。)
金銀のコインは、表面は女神の顔で、裏面は馬の図形で統一されている。ロンドンの銀行博物館で観た古代ヨーロッパの貨幣よりも美麗だぞ。
しかしカルタゴ、とんでもない海軍基地を持っていたんだな。長く地中海の覇権を握っていられたわけだ。
ローマ占領後は、本国のローマ、エジプトのアレキサンドリアと並び、帝国の三大中枢都市にまで発展する。その大事業の中心にいたのが、かつてローマ軍と死力を尽くして戦ったハンニバルだというから驚きだ。(戦死または殺害されたと思っていた。)
富裕市民の邸宅とモザイク芸術には、あまり興味を引かれなかったなぁ。
ますますチュニジアに行きたくなったぞ。
THE LEGACY OF CARTHAGE:A journy Across the Mediterranean
チュニジア世界遺産 古代カルタゴとローマ展 きらめく地中海文明の至宝
http://www.bunpaku.or.jp/exhi_carthage.html
2010年4月4日まで!