男ひとり旅の美学

[旅の恥は書き捨て]ってことで。あと、BMWと読書感想文も。

2011年11月

"まんまる猫"のポヨと飼主の佐藤萌、家族と友人たちのファミリー・ギャク&猫萌コミックが、ついにアニメ化される。

樹るうさんの原作が面白い上、監督が大地丙太郎さん!
特上の作品になること間違いなし!
(こどちゃ、十兵衛ちゃん、フルーツバスケットをまた観たくなった。)

キャストも○
・ポヨ……大谷育江さん
・佐藤萌 姉さんは……三森すずこさん
・父さんは……神谷明さん

楽しみ!
で、なんでテレビ東京だけの放送なんだ?
……"DVDを買え"ってことだな。もちろんそうするけど。
(森田さんは無口。も楽天ブックスで買ったし。)

公式HP
http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/poyo/index.html

ポスト印象派の大家、Gauguin ゴーギャンの生涯に暗示を受け、1919年に発表されたモームの代表作。
文化的な社会生活どころか、健康も顧みずに芸術を追究した男、チャールズ・ストリックランド。欲望をひた隠し、一般家庭人の生活を送るロンドン時代。家族も富もすべてをうち捨て、40歳から画家としてスタートするパリ極貧時代。放浪の末、"地球の裏側"で理想郷を見いだしたタヒチ時代。そのすべてで、周囲の人々の人生を破滅させ、自分勝手で壮絶な人生を送る。

ハンセン病に冒され失明しても、芸術への渇望は止まない。死の間際に神との接点を発見し、死とともに、その完成された作品を炎に葬り去る。

ストリックランド氏の剛胆な人生には脅威を感じるが、ストルーフェ氏の性格にも驚かされる。最愛の妻を寝取られ、その妻も最後は自殺に追い込まれる。それでも、彼の絵を"最高の芸術"と讃えることを止めない小心なオランダ人は、完全な道化だ。彼も芸術の狂気に取り憑かれたうちの一人にすぎない。

やはり恐ろしいのは、ストリックランド氏の妻だろう。捨て去られた自分たち家族が生きるためとはいえ、夫失踪のあらぬ噂を立て、職を確保する。亡き夫が世界的に有名になった後は、その貞淑な妻として、彼への理解をインタビュワーに顕わにする。
生き残った人間のしたたかさこそ、本物の強さなのだ。

The Moon and Sixpence
地球人ライブラリー
月と六ペンス
著者:ウイリアム・サマセット・モーム、大岡玲(訳)、小学館・1995年9月発行
2011年11月19日読了

大正から昭和初期にかけての時代、特にその文化に興味が沸いたので出向いてきた。(2011年11月16日)

姫路・書写山の麓にある美術工芸館。ここを訪れるのは初めてだ。建物の外観は庭園と相まって、竹藪に囲まれた日本家屋を想わせる。
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会場は大きく三つだが第1会場へのアクセスは階段のみ。当日は車いすの観客が多かったようで、階段昇りを手伝う警備員はご苦労さんでした。
……バカでかい太陽光パネルの予算で、リフトを設置すれば良かったのに。(せめてスロープ)

■竹久夢二
まずは夢二。肉筆画やスケッチも良いのだが、やはり雑誌の表紙画と挿絵、ポスター等の印刷物こそ素晴らしい。ひとの愛憎、郷愁を描く抒情画の第一人者として絶大な人気を得たのも肯ける。
・版画「港屋絵草紙店」が良い。バーバリーコート着用の夢二(本人)、タマキ(妻)、彦乃(19歳の愛人)を描くこの絵、後日の波乱を予感させる雰囲気……ではないな。
・雑誌"婦人グラフ"の表紙画はよく見る。挿絵は本文と相まって、これも良い雰囲気だ。「星合」が気に入った。
大正13年創刊の"婦人グラフ"は15年まで夢二人気にあやかり、昭和3年に廃刊、とある。看板作家を失ったらそうなるな。
・「少女十二ヶ月双六」(昭和3年) 12月の花の日會の装画が好みだ。
・SenoW セノウ楽譜の表紙を250種も描いたのか。版画「サラオーりょう歌」「ボガボガ・ベルラ」が良い。
・若き日の写真。すごくダンディじゃないか! 県立神戸第一中学校に入学したとは知らなかった。オリエンタルホテル(神戸の外国人専用ホテル)、北野異人館街、メリケン波止場の夜霧と汽笛、すずらん街灯といった風物が彼の作品に影響を及ぼしたのなら、何か嬉しい気分だ。
・恋愛、結婚、別離を繰り返し、49歳で孤独死か。寂しい最後だ。

■高畠華宵
大正から昭和にかけて夢二と人気を二分した。自らの理想とする男女を作品に具現化したが、理想の女性には巡り会えなかったようで、78年の生涯を独身で終えたそうな。
・「娘二十まで」 雑誌"婦女会"の挿絵だが、8枚でストーリーがわかるような秀品だ。その中のメガネ青年にピン、ときた。現在でも通用しそうな男性のファッションは見本になる。
・「七転八起開運出世双六」 雑誌"講談倶楽部"の附録だ。振り出しは店員、学生、女性事務員から、上がりは華族と富豪と実にわかりやすい。

■蕗谷虹児
・昭和9年の雑誌"令女界"の表紙画も良いが、"少女倶楽部"の挿絵に魅せられた。薄く紅づく自然な頬と傘を並べてのポーズが、実に可憐だ。
・大正12年の関東大震災。その災厄と復興への歩みを描いた絵はがき集には瞠目させられた。「夜に迷ひし鳥の如(バラック屋への帰途)」に遺族の癒されない悲しみと不安感がありありと描かれている。

■多数の魅力的な作品からお気に入りをピックアップ
・川西英「サロメ」 黒布に金文字で"SALOME"、ビアズリーをオマージュした人物像も○。
・川西英「短冊 四図」 第一次世界大戦前に深く根付いた"国際化"が感じられる。当時は日米戦争に突入するとは信じられなかったに違いない。
・山村耕花「踊り」 日本国内とは思えない1924年の舞踏場に、ドレス女性の華やかさが踊る。
・瀧秋方「近代麗人画譜・港町の日本娘」 異国の港町で笑みを浮かべる日本女性。碧い着物、断髪にパーマ。外国慣れした表情。洋行モダンガールだな。
・小早川清「近代時世ノ粧内六 口紅」 モダンガールを描いたシリーズ。見ようによっては"ケバイ"が、最先端を行く女性たちだ。この絵は入念に化粧する女性が題材。高級懐鏡に映る自らの唇に紅い紅を塗る。短い髪。カールさせたもみあげ。モダニズムな和装美を纏い、華やぐ色香をかもし出す。

http://www.city.himeji.lg.jp/kougei/
姫路市書写の里・美術工芸館
大正ロマン・昭和モダン展 竹久夢二、高畠華宵とその時代
2011年11月20日まで開催

蕗谷虹児「キューピッドを飼ふ人」の一筆箋、高畠華宵「薔薇の夢」等のポストカード、展覧会図録を購入した。

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先日注文したタイヤが入荷したので、交換作業に出向いてきた。(2011年11月14日)

嬉しいので記念写真を。
・MICHELIN Pilot Sport 3
Fは225/45ZR17 41W、Rは245/40ZR17 91Y
新品はいいな。
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・交換前のミシュランPS2
ひび割れ、縁石擦り傷、小亀裂……
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・交換作業中
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・左フロントタイヤハウスを後方から見る。
フロントダクトからのエアーをブレーキ冷却に利用する仕組みだな。
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・交換作業完了。エアーはフロント、リアとも2.3に設定。
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愛車E46、まだまだ乗るぞ。

主に19世紀末ヨーロッパの名画を題材に、社会と人の意識の変遷、現代文明への連なりを解説し、新しい社会の転換期に生きるわれわれの在り方を問う。

"現代アート"なるものに僕はなじめない。壁面に石ころや機械部品を配置したりラインを引いた床面が"芸術作品"だと言われてもサッパリだし、二色のパステルで区切られた正方形が"○○賞を受賞した大作"だとしても、まるで理解できない。
ドガ、ロートレック、ルノワール、モネ、ゴヤ、ゴーギャン、等々。やはり西欧文明に育まれた中世絵画および近代美術に魅力を感じる。

・積極的に生きる意志を持った者とは、何よりも自分の足でしゃんと立つ者のことである。近代のブルジョワが市民革命を実現し、世紀末には労働者が立ち上がろうとしていた。人間としての誇りと自信の根拠がそこに現れる。(電気文明のダイナミズム)

・マネの「オランピア」は1863年の社会にあっては衝撃的だったと想像がつく。フランス帝国の栄光と勝利を暗示しているのは、その通りだろう。(白の交響曲)

・「グランド・ジャット島での、ある午後の日曜日」の二人の若い士官については、著者と見解が異なる。軍人だから、同時代をハッキリ見つめているとの解釈が成り立つのではないか。また、左中央のラッパ吹きが右向きであるのは、時代の先を照らす芸術家として、皆を鼓舞しているのではないだろうか。(p52)

個人的には、モネの「ラ・ジャポネーズ」に魅せられた。
違うな。衝撃を受けた。
カミーユ・モネ。夫の趣向に合わせるため、生来のブロンド髪を金髪かつらで覆い、妖艶かつ不敵な笑みを僕に向ける。誘う眼差し? 否、狩る目だ。(p85)

帝国主義時代をすぐそこに控え、未知の異国に楽しみと興奮を求める気持ち(p90)が、富の争奪戦へのフランスの参入を促す。アジア・アフリカへ向けられる探求心は悲劇をもたらすのだが、あとの祭り。

世紀末泰西風俗絵巻
著者:木村尚三郎、文藝春秋・1989年5月発行
2011年11月13日読了

女は海~♪
ジュディ・オング。200万枚のセールスを記録した"魅せられて"が衣装とともに印象に残っている。
その彼女が女優業、歌手業のかたわら、25歳から始めた木版画の展覧会が開催されているので出向いてきた。(2011年11月9日)

10時頃に到着し、駐車場もギリギリ空いていた。
ふと気づくと、10時30分頃には入場行列が出来ていた。……12日と13日はとんでもない混雑になりそうだ。

1階展示場では"花"をテーマにした版画作品と、スケッチ下絵、版木等を展示。
目玉作品は2階に集められている。
力強く、繊細な60点もの版画はどれも魅力的だが、特に次の4点が気に入った。
・夏の涼夢:庭園の緑と屋内の朱。バランスと陰影が素晴らしい。
・銀閣瑞雪:雪の中であらたになる人の意志の強さと、大地との調和を感じ取った。
("瑞雪 ずいせつ"とは幸運の雪を意味するらしい。)
・桂林水遊:切り立つ岩肌の表現が見事。小さき人の遊ぶ河、赤い御堂。すべてを見下ろす構図はまさに絶景なり。
・鳳凰迎祥:灰色の空が青い池に映え、中央には金色の大佛が神々しい。

旅先でのスケッチをイメージングし、独自の感性で作品を昇華させる。
日展特選が1点、日展入選も多数。感服だ。

明石市立文化博物館
http://www.akashibunpaku.com/
2011年11月13日まで!

"夏の涼夢"、"銀閣瑞雪"、"花しょうぶ・その2"のポストカードを購入した。

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"明治への憧れ"と戦前昭和の見直しが数年前に流行った。現代と対比しての国家論を巡り様々な主張・議論が飛び交ったが、結局どうなったんだろう。
著者は江戸から戦前日本と、戦後日本の断絶こそが、現代日本の凋落を招いた要因であり、教養の変節がその背景にあると説く。

西郷隆盛。江戸無血開場を実現し、日本の近代化を導き、繁栄の礎を築いた第一人者だ。
恥ずかしながら、彼は武将であるだけでなく、道を究めた漢学者であったことを本書で知った。その鹿児島時代の勤勉刻苦の様相には驚かされる。

他に本書で取り上げられる勝海舟、福沢諭吉、陸奥宗光、安岡正篤も、現代では考えられない教養と実績の持ち主だ。そのルーツは江戸260年の平和が培った教養主義であり、旧制高校につながる。

「国家が存亡の危機に立つようなときに、国家利益に代わるような価値観とはなりえない」(p216)として、昨今の"地球市民"、"地球環境が云々"のきれい事が"平和な時代のあだ花"であると論破する。その通りだろう。
「日本民族を国際競争のなかで生き延びさせるシステム」(p212)の存在しない現在、思えば1990年代初頭の自民党総裁まで、エリート主義の良い点が日本政治を牽引してきたとわかる。

旧制高等学校に代表される充実した教養。均質的な義務教育とその延長線上の高等公教育のみ受けてきた僕としては憧れるな。

教養のすすめ 明治の知の巨人に学ぶ
著者:岡崎久彦、青春出版社・2005年7月発行
2011年11月7日読了

1920年代のヨーロッパおよびアメリカ旅行の様相を、小説、紀行文から紹介する。

第一次世界大戦が世界の姿を変えた。初めて旧大陸の地を踏んだ若い米兵は、戦後は恋と文化の香りを求める観光客となり、大挙して欧州を訪れる。アメリカ式と異なるパリやロンドンの伝統あるホテルの"マナー"に、とまどいつつ楽しむ姿が面白い。

リッツ、サヴォイなどの豪華ホテルにはリフト(エレベータ)とレストランが整備され、貴族の館に変わるパーティ会場として毎夜の賑わいを見せる。
オリエント急行に代表される豪華鉄道には、レストランに匹敵する食堂車が備えられる。1900年のフランスにわずか3,500台しかなかった自動車も、1920年代のモーターブームにより、スポーツ・カーで縦横無尽に駆ける若者が現れる。
欧州各地とアメリカ、アジアを結ぶ大洋航路船には中間層だけでなく、従来、旅行と無縁だった大衆の群れが見られるようになる。旅客機も営業を始めた。

新しい観光地、スイス、地中海、エジプト、北欧へフランス人やイギリス人が旅立つ。

従来は考えられなかった、"女性のひとり旅"が一般化する。新たなロマンスも生まれる。

サマセット・モームの言葉が気に入った。
「私は一つの場所から他の場所へと動くのが好きなので旅行し、旅行が与えてくれる自由感を楽しみ、…未知のものを私は愛好するのである。…」(p109)

本書で紹介された作品は絶版されたものが多いが、気長に探してみようと思う。

1920年代旅行記
著者:海野弘、冬樹社・1984年8月発行
2011年11月4日読了

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