男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2016年04月

Dsc_2177

2016年1月10日(日)、晴れ
ホテルの朝食は合格点。
歩く時間がない。竹原駅のロッカーにふたたび荷物を預け、タクシーで竹原港へ向かう。

「たけはら海の駅」はターミナル港にふさわしく設備が充実&土産物が豊富。たまゆらグッズも多し。
ただ、ひと気は少ないな。やっていけるのかな、と余計な心配をする。

竹原~大長感高速船の運賃は片道1,380円。

しまなみ海運の高速船「かがやき1号」が滑り込んできた。いいぞ。
9時3分、大崎下島・大長港へ向けて出港。客は4人ぽっちだ。
Dscn3900

Dscn3903


速力24ノットでぐんぐん進む。瀬戸内の景色は良いなぁ。
Dscn3904

Dscn3906

大崎上島のめばる港などを経て、9時46分に大長港へ到着。島の港って感じ。
ここから御手洗の町へと歩くのだ。
Dsc_2173


■御手洗(みたらい) 江戸情緒とモダン建築の同居する旧港町

ゆっくり歩くこと20分、御手洗の入り口に到着した。
Dsc_2177_2


潮待ちの寄港地として、やがて中継貿易港として栄えた小さな町。
開発の波から取り残されたことで、皮肉にも江戸時代の街並みが保存展示されることとなった。
Dscn3941

Dsc_2179

伊能忠敬、シーボルト、吉田松陰、三条実美……。
男立ち寄る町につきものの「色屋」跡も残されている。
Dsc_2184

天満神社の看板によると「御手洗 ミタライ」の地名は、かの菅原道真が九州の大宰府に流される途中、海路この地に立ち寄り、井戸で手を洗ったことに由来する、とある。由緒正しいってやつか。
で、これが菅公の井戸。
Dscn3913

天満神社。
Dscn3911


神社の真下にあるトンネルをくぐると、願いが叶うそうな。あやかろうかね。
Dscn3912

住吉神社の横にある、江戸時代の防波堤を海側へ渡り、高灯籠と御手洗の町を望む。良いです。
Dsc_2209
(スマホ写真はボケボケだな。)

■乙女座
1937年開業の演劇・活動写真場。
ここを観たかったんです。
予想外に小さく、しかも無人。入場料200円を投入箱に入れる。
昭和の雰囲気バツグンです。麻音の看板も良し。
Dscn3943

Dscn3924

Dscn3919


楽屋は狭いですね。
Dscn3923

周囲の景観も素敵です。
Dsc_2185

Dscn3928

Dscn3925

Dscn3942

■七卿落遺跡
のどか亭のモデル。一階の一部だけ公開。残念ながら二階へは上がれませんでした。
Dscn3929


■歴史の見える丘公園
きつい階段をひーひーと登ると、そこからは御手洗の町と瀬戸内を一望できた。
Dscn3938

Dscn3939

この素晴らしさを綺麗な写真に収められないのが悔しい。

昼食は脇坂屋。あなご重をいただいた。
Dsc_2212

Dsc_2213

名残惜しいけれど、14時2分に大長港を出発。
(これを逃すと、次は17時20分発なので。)

■たまゆらラッピングフェリー
14時46分に竹原港に戻ると、たまゆらラッピングフェリーに遭遇。

高速船がちょうど真横に接舷したので、桟橋から見えない舷側を撮影できた。
Dscn3956

Dscn3957

こちらは桟橋から。
Dscn3958

Dscn3961

いつまでも続くといいなぁ。
Dscn3960


竹原港で小休止の後、ちょうど駅行きのバスが待機していたので乗る。
15時16分に竹原駅に戻り、もうひとめぐり。
あいふる316商店街の洋服屋さんの店内がイカシテマス。
Dscn3963


やはり旧笠井邸が最高でした。
「cafe青」で一服し、日の丸寫眞館も見納めて……。

たまゆら聖地巡礼は楽しかったです。

■再びの呉線

さて、海軍町・呉へ移動です。
JR呉線・竹原駅は閑散としつつも、観光客がちらほら。駅の売店も開いていた。
17時12分、竹原駅を出発。二両の黄色い電車は満員です。
広駅で乗り換え、18時17分に呉駅に到着。

コンフォートホテル呉にチェックイン。
明日の観光場所を下見、下見と。

う~ん。困ったことに、駅なか以外には、店がないみたいだ。
呉駅一階の大規模な鉄板焼き店で「大和焼」なるお好み焼きを試す。牡蠣入り。ビールとマッチして美味だった。
Dsc_2242


ざっくり、続きます。

正月3日に思い立ち、前から訪れてみたかった竹原への男子ひとり旅を敢行した。
旅のテーマは『たまゆら』紀行、ついでに世界遺産・厳島神社への初詣だ。

Dscn3802



【参考データ】
2016/1/9土
新幹線 西明石09:07発~三原11:02着
JR呉線 三原11:19発~竹原11:53着

2016/1/10日
高速船 竹原港09:03発~大長港09:46着
高速船 大長港14:02発~竹原港14:46着
JR呉線 竹原17:12発~呉18:17着

2016/1/11月
JR呉線/山陽線 呉12:14発~宮島口13:28着
JRフェリー 宮島口13:40発~ 宮島13:50着
JRフェリー 宮島16:25発~ 宮島口16:35着
JR山陽線 宮島口16:59発~広島17:28着
新幹線 広島18:13発~西明石19:32着

竹原宿泊先:グリーンスカイホテル竹原(1泊)
呉宿泊先:コンフォートホテル呉(1泊)


■JR呉線 竹原駅の『おかえりなさい』を観る
2016年1月9日(土)

西明石9時7分発の新幹線は岡山乗り換え。車内販売のないレールスターには不満だが、通過列車待ちの間にホームで買い物ができるので、まぁ良しとしよう。

三原駅で新幹線からJR呉線に乗り換え。
二両編成の電車は満席。なんと驚いたことに、乗客の半数近くが若い外国人だ(中、韓、東亜)。
彼等は忠海駅で降車した。なるほど、うさぎパラダイスの大久野島が目当てなんだな。

JRでワンマンカー、って初めて経験したぞ。後ろの車両のドアは開かないのか……。(三原と竹原では開く。)
Dsc_2080

11時19分に出発後、ひたすら海岸線を走るのだ。素晴らしい景色だ。文庫本なんて読んでる場合じゃない。
Dscn3788

Dscn3791

11時53分に竹原駅に到着。コインロッカー(500円)にトロリーケースを預け、期待に胸を弾ませて竹原の散策を開始。
Dsc_2082

おお、コンコースを出ると、あの『おかえりなさい』の七文字が。良いね。
Dscn3798

Dscn3797

■浪漫てくてく「たけはら」
竹原駅を出て右手に観光案内所がある。『たまゆら』の大きな看板は嬉しいが、少し色褪せているので交換してほしいな。

観光目的地である「たけはら町並み保存地区」のパンフレットをもらう。初老の男性係員は先客の外国人との英会話に苦心されていた様子。大変ですな。

あいふる316商店街をてくてく歩く。おお、ももねこ様だ。
Dscn3799

ぽって「私が主役です」
Dscn3800


頼山陽先生の銅像。いつか『日本外史』を読んでみたいな。
Dscn3801

日の丸寫眞館! 感無量です。
Dscn3802_2

日の丸寫眞館の通りを北上して「たけはら町並み保存地区」に入る。おお、これが『マッサン』の竹鶴酒造ですか。
Dscn3807

Dscn3806


■旧笠井邸 ここは天国
ここに立ちたかったんです。
Dscn3812


靴を脱いで中へ入る。一階はオーソドックスな展示
Dscn3813

Dscn3815


で、急な階段を二階へ上ると……。
たまゆらワールドじゃないですか。
Dscn3965

Dscn3826

Dscn3970

Dscn3967

Dscn3968

卒業写真・第1部「芽」の絵コンテがある。かぐや姫に扮する巧美のシーンですね。
Dscn3827


hitotose最終話の「私たち展」で麻音の演出した物語、のこちゃんですね。
Dscn3831


旧式のラジオも良い。
Dscn3816

Dscn3819

協賛金200円。ありがとうございました。
Dscn3830

■普明閣
西方寺への階段を昇ると、竹原の「甍の海」を見渡せる。
Dscn3850

Dsc_2140

普明閣
Dscn3868

Dscn3870

Dscn3846


西方寺の境内
Dscn3873

Dscn3838

■サントリーとニッカ、マッサンとリタ

竹原市歴史民俗資料館では、竹鶴政孝生誕の地である竹原と、マッサンとリタの暮らした小樽、ニッカ蒸溜所のある余市に関する事物が展示されていた。
Dscn3864

Dscn3862

Dscn3852

なるほど、大日本果汁→ニッカ(日果)ウヰスキーなのか。


■町並み保存地区を歩く、歩く
江戸時代後期のお屋敷と町並み。製塩業と酒造業で繁栄したとある。
Dsc_2130

Dscn3890

本町通りの突き当りに胡堂。
Dscn3855

右手を昇ると、照蓮寺。
Dscn3854


中ノ小路を行く。藤井酒造、光本邸を経て、大小路。左手に復古館。
Dsc_2127

おかかえ地蔵。抱える勇気はないですが。
Dscn3865


お好み焼き「ほり川」で『ほぼろ焼き・極』をいただきました。
ハンバーグ入りお好み焼きは斬新でした。
Dscn3835

Dsc_2128

ぎゃらりい梅谷でクリアファイルを購入。
Dsc_2100

竹楽で、かぐや姫の竹人形をお土産に購入。
Dscn3867

■松坂邸
塩田で栄えた274坪の大邸宅。
Dscn3875

Dscn3882

Dscn3888

庭園から普明閣が見えます。
Dscn3886


一日目の観光は終了。竹原駅へ戻って荷物を回収し、ホテルへ向かう。

おお、グリーンスカイホテル竹原のロビーには『たまゆら』コーナーが設けられ、劇場版色紙などが展示されていた。嬉しいぞ。
Dscn3893


近傍に飲食店がない! 駅前にコンビニすらない(徒歩10分)ので、ホテルで夕食。
ステーキ&さしみ定食とビールとスイーツとコーヒーで5,000円弱、う~ん。

まずまず快適なホテルだったと思う。

続きます、なので。

パレ・ロワイヤルに鎮座するコメディ・フランセーズの礎を築いたモリエールの代表作を読んでみた。

自分に正直一徹なアルセスト。世間知らずと言えばそれまでだが、濁世においてなお誠実さを追及する姿勢は称賛の対象でもある。
その純真な青年が惚れたは若き未亡人、セリメーヌ。一枚も二枚も上手の彼女に振り回されながら、文学者志望の貴族を罵倒し、友人を言い負かし、侯爵を含む貴族との邂逅に……。おもしろい。

・つれない仕打ちの数々を忍び、溜息や涙の助けを求め~の件が気に入った(p51)。

・第三幕第四場、アルシノエとセリメールの舌鋒極めての罵りあいは中盤の山場だ(p56)。女の面と向かってのバトルの恐ろしさよ。

・アルセストの人間世界との断絶宣言。人間というやつぁ…みんなが自負心にとらわれて…(p87)は一考の価値あり。

本作の初演は1666年だが、舞台を現代日本に移しても違和感のない内容は、すなわち普遍性を持つってことだな。いつか本場で鑑賞してみたい。


LE MISANTHROPE
人間嫌い
著者:Moliere、内藤濯(訳)、岩波書店・1952年3月発行
2016年4月3日読了
Dscn4621

↑このページのトップヘ