1910年夏のロンドン滞在記。全編ウィットに富んだ文章が嬉しい。
良く見て、良く歩き、好奇心の塊となって「なんでも見てやる」姿勢が、3か月の滞在で500ページ弱の記録を育んだ。
漱石がヴィクトリア女王の大葬を目撃したのは有名だが、その息子エドワード7世の大葬に新聞記者として臨んだ如是閑は、より詳細な記録を残している。
・1910年に開催されたJapan-British Exhibition(日英博覧会)のことがところどころで触れられる。エドワード7世崩御のために開催が危ぶまれるなど、あまり記録が残っていないだけに貴重な記録だろう。
・ウェストミンスター橋を往来する路面電車。牧野義雄の1907年の作品「ウエストミンスター橋:春もや」には現れていないが、1910年の写真にはおびただしい数が現れている。この間の発展著しいってことか。
・omnibus、乗合馬車が姿を消すことに如是閑は失望を隠さない。
「やはり文明の風は何処を吹くという超時代の顔をしたデクデク肥った御者」を乗せた乗合馬車のほうが乗合自動車に勝ると言う。
「極端に走る進歩主義と、頑として動かぬ保守主義と、撞着しつつ旋回しつつあるのが、英国の空気であるとともに倫敦の色彩である」とし、1911年8月に乗合馬車の営業が終了することに対しては「倫敦の凡化である」と厳しい。(p221)
・日露戦争を勝ち抜いて国威揚々たる祖国と大英帝国。その彼我の文明観の差異が浮き彫りにされる様は、重心低く研ぎ澄まされた観察眼と独特のみずみずしい感性との成せる技と言えよう。
・カフェと「街の女」の英、仏、独の比較が面白い。ロンドンとパリを決定的に差異つけているものがカフェの有無であり、すこぶるその色彩を異にするとある(p249)。
・神戸の市電と舗装道路が比較対象とあげられるのは個人的に嬉しいところ。
・大英帝国最盛期とはいえ、その繁栄を驚かすドイツ人やアメリカ人に向けるイギリス人の敵意の強さを特筆している。
日本への帰路は日本海軍の軍艦とP&O客船、日本郵船客船を乗り継ぎ、インド洋航路を渡って帰国の途に就く。
軍艦"生駒"に乗艦してプリマス港を発し、ビスケー湾を経てジブラルタルへ。地中海の入口を制する英国の力量を嘆賞し、ナポリへ往く。快速たる最新軍艦の機関室でウヨウヨと火夫の立ち働く様を見て如是閑は記す。
「大いなる文明の底には大いなる野蛮がある。堂々たる軍艦の底にはこの地獄がある」(p434)
ジブラルタル、ポート・サイード、スエズ、紅海、アデン、コロンボ、マラッカ海峡、シンガポール、そして香港。ナポリを除く停泊地と航路のすべてが英国支配下にあることに言及して後、「平和というものが強者に依って保たるる事は有史以前の社会も今日の社会も変りはない」(p472)のだから、欧州の英国、南北アメリカにおける合衆国のごとく、東洋で覇権を握り、平和を確立することこそ日本の使命である、と如是閑は説く。
1910年の新聞記者の意見からしてこれだ。そりゃあ世論も力を信奉するベクトルが働くわけだ。
外交に安定をもたらすのは力の不均衡であり、それは強者の意思によって維持される。これは帝国主義時代を経て、現代においても変わらない究極の事実ではあるが、それをあからさまに肯定するのはどうだろうな。
倫敦!倫敦?
著者:長谷川如是閑、岩波書店・1996年5月発行
2017年5月27日三度読了
2017年05月
2017年4月 英領ジブラルタルとモロッコ・タンジェとロンドンの旅 その6 [男ひとり旅の美学]
タワー・ブリッジ
2017年5月3日(水)曇り
8時起床。午後は雨みたいだ。
朝食はサンドイッチ+クロワッサン+ジュース+ホットコーヒー。
9時45分出発。外気温は9℃。パーカーにして正解だ。
のどがムズムズするので、溝に少量のXXを吐いたところ、周りの白人からエラい剣幕で睨まれ、何か早口で言われた。
以降、気を付けます。
15系統のバスに乗り、ストランドを北東へ向かう。ここはバス街道だな。
10時34分、キャノンストリートで下車。(実はひとつ乗り過ごした。)
マンション・ハウス、ローヤル・エクスチェンジ、イングランド銀行の位置する「三角地」に立つ。なるほど、昔から交通の要所といわれるだけある。
マンション・ハウス(ロンドン市長公邸)
ローヤル・エクスチェンジ(王立取引所)の前庭にはウェリントンの騎馬像が。
次は、あそこへ向かうのだ。
なんということか。
キャノン・ストーリート駅前の向かい側、かつての「ロンドン・ストーン」を保管・展示していたスペースが、大工事によって取り払われてしまった。
でも、将来の展示に向けての希望は、まだあるな。
■閑話休題その3
他の大都市と違って、旅行者にとても優しいロンドンの特徴は、このような地図があちこちに設けられていることだ。それもよくある「お役所仕事」ではなく、現在地You are Hereを中心に記載された、その地に一枚しか存在しない地図が、200m間隔くらいで据えられているのは、本当に助かる。
■Monument 大火記念塔
大火記念塔はどこだろう? 地図によるとこの辺のはずなんだが……。
ビルの間から突然、姿を現したのには驚いた。
大火記念塔を離れ、ロンドン橋を渡る。タワー・ブリッジと巡洋艦が良く見える。
■The Shard シャード
ロンドン・ブリッジ駅を超えて、西ヨーロッパで一番高いビル、シャードの展望台受付を探す……あった。まずは地下へ潜るんだな。
受付で「The View from The Shard」の当日券を購入。30.95GBPは高いか、リーズナブルか……ヘリコプター遊覧(200GBP)に比べたら、安い!
「いますぐ登ることが可能」とのことで、長い行列を予想していただけに嬉しい。
で、別の案内係員に道を尋ねたところ、Do you speak English? と一蹴されて凹む。発音下手なアジア人とはいえ、いちおうお客様なんですけど。
それはともかく、専用エレベータでまずは33階へ。乗り換えて68階へ到着。
すぐに階段で、72階へ!
あいにくの天気とはいえ、テームズ川が、タワーブリッジが良く見える。
手前から、ロンドン橋、サザーク橋、ミレニアム・ブリッジ、ブラック・フライアーズ橋。小さくウォータールー(ワーテルロー)橋、ハンガーフォード橋。
遠くにロンドン・アイも見える。
セント・ポール寺院
エリザベス・タワー(ビッグ・ベン)
シティの高層ビル群
展望台の一角はオープン・スペースとなっている。
この展望台でのどに流し込むビール(5GBP)は美味だった。
ところで、展望室へ行く前に写真撮影されたが、記念写真として販売するようだ。お値段25GBP。買う輩がいるのか?
The View from The Shard! 30ポンドの価値ありと断言する。日本語ガイドもあり。13時5分まで長居した。
■Tower Bridge タワー・ブリッジ
昼食はロンドン・ブリッジ駅近くのカフェで、モカとクロワッサン(4GBP)。
Hay's Galleriaを超える。
テームズ川南岸を東へ歩き、タワー・ブリッジの精巧さに感嘆する。
ウエストミンスター橋に続き、ここでも韓国人新婚カップルがウェディングドレス姿で撮影会をしていた。邪魔はしないから、さっさとやってくれ。
(これまでもスイス、アムステルダム、キンデルダイク、パリで見かけた。風習なのかな?)
で、気が付けば、タワー・ブリッジが開いているぞ!
慌てて下へ降りて撮影を試みたが、すぐに閉まったみたい。残念!
しかたがないので、開口部を撮影しておこう。ここが開くんだな。
それにしても、タワーブリッジの美しさときたら……2014年12月に内部を見学したが、まさに至高の芸術と呼べる。
■Tower of London ロンドン塔
この血なまぐさい中世の城壁と最新建築のガーキンが共存するところがロンドンの魅力でもある。
さて、もう時間がないな。
帝国戦争博物館へ行きかけたが中止。大英博物館を最後の訪問先とした。
■British Museum 大英博物館
地下鉄Northern線を乗り継いでトーテナム・コートロードへ付いたは良いが、迷ってしまった。
ジョージアン様式は良いな。
15時45分、大英博物館へ到着。あれ、前回と違って荷物チェックが厳しくなっているぞ。
ロゼッタ・ストーン
古代エジプトで猫は神聖な動物とされていたんだな。
やはりエジプトのコーナーは見ごたえあり。
ウルのスタンダード。思ってたよりも小さかった。
アウグストス帝
よくわからない文字だな
人類の至高の宝の数々を、しかと拝んできた。17時35分、外は大雨だ。
■パブ「シャーロック・ホームズ」
地下鉄でチャリング・クロス駅へ。
17時58分、パブ「シャーロック・ホームズ」へ入店。かつてシリーズに登場したノーザンバーランド・ホテルの跡地で営業する「ホームズ」パブとあっては観光客のごった返すイメージなのだが、平日は予想に反して地元のビジネスマンの姿が多いことがわかった。
ビールと、サンデーローストと呼ばれる「Dr.Watson's Traditional」を注文。12.95GBP。
味のほうは……。
でも高給レストランと違って気軽に入ることができる点で、パブはひとり旅観光客にとって重宝だ。
■Les Miserables
ホテルで小休止。この点、チャリング・クロス~トラファルガー広場に近いホテルは地理的に有利だ。
おや、もう時間がないぞ。チャリング・クロス駅前からタクシーに乗り込み、Queens Theatreへ向かう。
19時15分、劇場に到着。
ニューヨーク、ロンドンと通算4度目の『Les Miserables』鑑賞となる。
土間席は前から4番目のD4。迫力ある席だった。
幕間の白ワインは6GBP。開演前と幕間の写真撮影もOK。
なんと終演は22時30分だ。幕間含めて3時間か。
22時50分にホテルへ戻る。いつものコンビニでサンドイッチ他を購入(3.2GBP)。
■帰国です。
2017年5月4日(木)曇り
5時30分起床、6時40分チェックアウト。
スーツケースをごろごろ転がしてチャリング・クロス駅へ。6時51分、地下鉄Heathrow Terminal4行きに乗る。ベーカールー線、ピカデリー線と乗り換える。
・ピカデリー線はEarl's courtを超えると、地上に出るんだな。
・手荷物を置く網棚がない。不便と思っていたら、背中側にスペースがあり、そこに置くのだと知った。でもほとんどの人が足元に置いている。そりゃそうだ。
・駅に到着し、ドアが開いてから「ここは○○駅。次の駅は△△です」とのアナウンス。不親切だな。
7時50分、ヒースロー空港ターミナル4駅に到着。
8時13分カウンターでチェックイン。「どうしてセルフチェックインしないの?」と嫌味を言われた。
8時32分、セキュリティをパス。スペイン、モロッコなどと異なり、ここはしっかりしている、
家族、会社の同僚へのお土産を漁る。
まだ時間があるので行き交う人を観察。
・イスラム女性。全身、いや、顔半分から下を黒い布で覆い、敬虔なムスリムなのだろうが、ナイキを履き、スマートフォンをせわしなく操作し、ハロッズのショッピング・バッグを掲げる姿は、なるほど、グローバル・スタンダードだな。
9時20分になって、やっとアムステルダム行きの搭乗口が提示された。55分にボーディング。
席の隣は、ドバイへホリディに行く若いイギリス人男性だ。毎年、日本の鈴鹿でガイドをして働いているという。
10時35分に離陸、ケーキとコーヒーが出る。
11時25分(オランダ時間12時25分)にランディング。
12時35分、アムステルダムに到着。
帰りはゆったりと過ごしたいので、ビジネスクラスにアップグレードすることにした。
KLMのカウンターで訊くと、40,000マイル+342ユーロをオファーされ、受諾。
14時5分、関西国際空港行きKL867便にボーディング。
あれ? 新鋭機787-9じゃなくて、旧型777-200ERなのか。まぁいいや。
シャンパンでのどを潤す。ビジネスクラスだからスリッパが提供される。
隣の中年女性は、なんと来日20回越えのオランダ人。九州を友人と2週間かけて廻るのだそうで。
彼女は日本語を話すので、会話が楽だった。
15時10分に離陸。7分で雲の上に上昇するが、横揺れがきつい。安全フライトで頼みます。
チーズと白ワインが出た。
機体はバルト海上空。往復で航路が異なるのだな。
ラトビアに入る辺り、海岸線がくっきり。
16時40分に夕食。コーン・スープが美味い。「スープは食べるもの」であることを認識させてくれる一品だ。
メインはアイリッシュビーフシチューを選んだ。赤ワインも○。
ケーキもうまく、前回(2016年8月)と違って、今回のディナーは合格点だ。
機内販売で紳士物を購入した。170Euro。
夜モードに入った長いフライト。機内ではウォークマンを聞いて過ごす。
24時45分、朝食の時間だ。いつものロールエッグが美味い。もう日本海上空だ。
8時25分、降下開始。
8時40分、無事にランディング成功。
9時5分に入国できた。
両替は155Euro(ユーロ)を18,445円と、105GBP(ポンド)を14,178円へ。
ほっとして小休止。ドーナツ+コーヒー(519円)
10時に三ノ宮行きバスに駆け込み乗車し、すぐに出発。11時5分でJR三ノ宮駅前到着、JRで戻る。
タクシーで12時過ぎに自宅へ無事戻る。
こっちは初夏の陽気に包まれて、ロンドンとは違った活気に満ち溢れている。
次は7月の旅行の準備だ!
最後まで拙文にお付き合いくださり、Thank you very much!
< The END >
2017年4月 英領ジブラルタルとモロッコ・タンジェとロンドンの旅 その5 [男ひとり旅の美学]
ナショナル・ギャラリーの「いいね!」
■London Transport Museum ロンドン交通博物館
初めての入館となる。え? 入場料17GBP(2,500円)って高すぎるだろう。
でも、それだけの価値は十分にあった。
地下鉄道(蒸気、電気)の発達。
そりゃぁ、地下鉄で蒸気機関車って、煙が大変だっただろうに。
で、電気機関車の登場です。
オムニバス(転じて、バスになる)は馬車、トラム、自動車。交通需要に合せて2階建て馬車が登場し、それが現代に引き継がれているんだな。
ダブルデッカー(2階建てバス)は1919年のものと1936年のものが興味深かった。
シフト・レバーは右側にあるんだな。
ここから新しいタイプ。
タクシーは、かたちは違えど、その機能はまったく現代のものに同じ(客席は5名、助手席が荷物置き場)だとわかる。
カフェでガス水(1.7GBP)を飲み、土産物を買う(Tシャツなど25GBP)。
ここは実に良かった。15時10分まで長居した。
ストランドを東へ歩く。トワイニングに入り、お土産(紅茶)を買う(17GBP)。
■Temple Church テンプル教会
『ダ・ヴィンチ・コード』を読んで気になっていたんだ。
■ヴィクトリア・エンバンクメントを歩く
このタイプの古いバスが好きだ。
クレオパトラ・ニードルが見えて来た。
■ナショナル・ギャラリー
トラファルガー広場の一隅に、その時々によって置かれるものが変わる台座が一基、存在する。
前回(2014年12月)は真っ青なオブジェだったが、今回はでっかい「いいね!」か。これも時代の趨勢かね……。
ここは上品な絵画が多くてお気に入りだ。
Canalettoの『Venice』(1740年)
ゴッホ『ひまわり』『蟹』
ピサロの息子なんです。
内装もお気に入りです。
今回もルノワール『雨傘』が展示されていない……。
係員に尋ねると、今年の5月には戻ってくるらしい。期待、大。
■The Phantom of the Opera
Her Majesty's Theatreで『オペラ座の怪人』を鑑賞。
これがロンドンで3度目の鑑賞となるが、やはり迫力あり。セリフはさっぱりだったが。
座席は土間席、前から5番目のF9。結構良い席だった。観客は半分がアジア系のようだ。
幕間に白ワインを求めるが、7.5GBPもした。
以前は開演前や幕間の写真撮影は黙認されていたが、今回は「No Photo! No Photo!」と規制が厳しかった。
22時10分に公演終了、明日の朝食を買い(7GBP)、22時25分にホテルへ戻る。グランド・ホテルはウエストエンド中心からも近く、とても便利だ。
明日は観光最終日。続きます。
2017年4月 英領ジブラルタルとモロッコ・タンジェとロンドンの旅 その4 [男ひとり旅の美学]
エリザベス・タワー(ビッグ・ベン)と国会議事堂
2017年5月2日(火) 晴のち曇り
8時15分起床。街中のホテルはやはり周りがうるさく、なかなか寝付けなかった。
朝食はチキンサンドとBLTサンドとジュースとホットコーヒー。これで十分だ。
9時25分出発。おや、ジブラルタルと違って寒いぞ。いったんホテルの部屋へ戻り、ジャケットを羽織って再出発。
■Trafalgar Square トラファルガー広場
僕は、ここがロンドンの中心だと勝手に思っている。ネルソン提督のトラファルガー海戦勝利記念柱と、チャールズⅠ世の像が印象的。その奥にナショナルギャラリー。ダブルデッカー(二階建てバス)はひっきりなしにやって来る。
この高みから、英雄ネルソン提督は何を想う?
■White Hall ホワイト・ホール
官庁街。このみすぼらしい建物がダウニング街10番地の首相官邸。
日本国のように省庁の大仰な看板はなく、片隅に「○○省」と彫り込まれているだけ。
■House of Parliament エリザベス・タワー(ビッグ・ベン)と国会議事堂
ああ、ロンドンで最も好きな光景だ。ビッグ・ベンが朝の陽光に照らされて綺麗だ。
ロンドンタクシーのかたちが好きです。ロンドン・アイとロンドン水族館を背景に。
国会議事堂の内部を見学できる日は限られている。この日はダメだった。
ウェストミンスター橋と茶色に濁ったテームズ川。
■Tate Britain テート・ブリテン
ここは2010年3月に訪問して以来となる。
この絵画を観に来たんです。
夏目漱石の『三四郎』に出てくるJohn Everett Millaisの『Ophellia オフィーリア』(1852年)。
個人的にはこの絵に心惹かれた。
John Everett Millais『Mariana』(1851年)。
エクスチェンジ前の花売りか。
他にもお気に入りを何枚か。というか有名どころだな。
タクシーでホース・ガーズへ向かう。8GBP。
■Horse Guards ホース・ガーズ 近衛騎兵隊の交替式
近衛騎兵隊は、赤い軍服のライフ・ガーズと青い軍服のブルー&ロイヤルの2種類から編成され、毎朝11時に任務交替式が行われる。せっかくなので観ることにした。
11時と11時30分に交替式。バッキンガム宮殿の衛兵交替式のように、もっと派手かと思っていた。こんなもんか。
今夜の劇場の下見を兼ねてウエスト・エンドをうろうろ。
12時にCaffe' Concertoで昼食。
ラムシャンクとビールとケーキとカフェ・ラテ。実に美味だったが38.2GBPも請求された。
コベントガーデンでは、特に買いたい物はなかった。2010年には古雑誌の掘り出し物を買えたのになぁ。
まだお散歩の途中ですが、続きます。
2017年4月 英領ジブラルタルとモロッコ・タンジェとロンドンの旅 その3 [男ひとり旅の美学]
THE ROCK OF GIBRALTAR
2017年5月1日(月) 晴、今日はメーデーか
7時35分起床、晴れて良かった。
朝食はまた腹八分目を守れず、反省。
9時20分にホテルをチェックアウト。荷物を預けてジブタルタル最後の観光に出発。
ケーブルカーは9時30分からの運転だが、5分前で30人の行列だ。バスツアーの売り込みが喧しい。これを除けば、リゾート地らしく静かで気持ちの良い朝だ。
■ザ・ロックに登る!
9時35分に開場。チケットはケーブルカー往復とネーチャーリザーブを含む22GBPのものを選択した。が、復路ケーブルカーの代金が無駄になることを後で知る。
トータルで考えると、ツアーに参加する方が良かったのかもしれない。
15人くらいケーブルカーに乗り込み、いざ、頂上へ。
面白い船が見える。何かの実験船かな?
まずは北側の展望台から、ジブラルタルの街を見下ろす。
そして、ザ・ロック!
頂上はこんな感じ。
東側、朝日に輝く地中海
眼下の空港には着陸したばかりの民間航空機も見える。
この人間ばかりの展望台に、猿がやってきた。
そう、ここ、ザ・ロック=ターリク山は、実はイギリス軍に保護された猿たちの楽園でもあるのです。
ST.MICHAEL'S ROADを南へ歩く。
3匹の子猿が走り回り、キーキーとじゃれあっていた。かわいいもんだ。
きちんとお座り。
で、この急峻な岩山は、現役のイギリス軍の要塞でもあります。
O'HARA'S BATTERY。海峡を睥睨する旧式の要塞砲(複数ある)は、観光資源と化している。
坂を下ると、ST.MAICHAEL'S CAVEに行き着いた。
カフェでビール(3GBP)を飲み干し、洞窟に入ってみる。
う~ん。面白くなかった。やっぱり猿の方が良いや。
次はQUEEN'S ROADをひたすら北上するが、ここは何もなく、ただ歩き疲れる。
ジブラルタル空港を見下ろす。航空機の離発着の際は、こうやって人も車も待たされるわけだな。
ここは軍民両用空港。戦闘機も24時間待機ってわけか
やっと、THE GREAT SIEGE TUNNELSにたどり着いた……。
スペインからこの地を奪取したイギリスが掘削し、1779年に要塞化したとある。
中は大砲でいっぱいだ。
岩山の中だから、天井から水がひたひたと落ちてくる。中は水浸し。
要塞砲口から覗くと、こんな感じ。スペイン国境、ラ・リネアの街が良く見える。
中は博物館のようになっている。
ジブラルタル空港の滑走路は1942年に整備されたとある。
THE GREAT SIEGE TUNNNELSを出る。もう歩けないぞ。。。
WILLIS'S RDを下って街へ向かうことにした。
ケーブルカーの復路分の切符が無駄となった。
EU旗、ジブラルタル旗、ユニオン・ジャック。この地の位置づけが良く分かる。
途中、CASTLE RDの階段(これも急)を下り、GOVERNOR'S STに出られた。そのままMAIN STREETへ出る。
■ジブラルタルの休日
中央広場は土日とうって変わって、大変な賑わいだ。
メインストリートもこの通り。ここでフィッシュ&チップスとビールの昼食を摂る(12.5GBP)。
■ロンドンへ移動です。
ホテルへ戻り、タクシーを呼んでもらう。今度はすぐに来た(14時40分)。
14時50分にジブラルタル空港に到着(12GBP)。
あれ? まだチェックインできないぞ。15時20分から? それはないだろう。
スプライト(3.8GBP)を飲んで時間を潰す。ヒースロー空港もジブラルタル空港も無料Wi-Fiが充実していて良い。
15時25分にチェックイン。
フライトまであと1時間ある。
ジブラルタル旅行の締めは、ジブラルタルビールとドーナツにした。……おかしなチョイスだったか。
テラスで飛行機を待つ。風が心地良い。これが「ジブラルタルの風」か。
そうこうするうちにBA機が到着した。あぁ、ぼけっとしていて着陸の瞬間を撮影することができなかった。。。
16時47分、ボーディング。機内はいっぱいだ。17時10分に離陸。
さて、機内販売、と。水500mlが1.8GBPだと? ひどい値段だな。
ロンドンまでの3時間のフライトはひたすらウォークマンの音楽で過ごした。葉加瀬太郎は良いなぁ。
19時42分、降下開始。イギリス時間18時53分にランディング。
うおぉ、入国審査の行列が長い。19時35分にやっと入国できた。
日本から持参したオイスターカードに10GBPをチャージし、19時58分に地下鉄ピカデリー線に乗車。
休日(メーデー)の夜とあって、大声で騒ぐ酔っ払いが多いぞ。
20時50分、チャリング・クロス駅に到着(運賃3.10GBP)。
21時15分、うろうろしてホテルを探し当て、無事にチェックイン。
この「The Grand at Trafalgar Square」は、すなわち1880年の出版物にも掲載された「The Grand Hotel」であり、前々から宿泊したいと思っていたのだ。
夕食がまだだった。おや、小雨が降っているぞ。
近くのパブ「シャーロック・ホームズ」に出向くと「キッチンはclosed」とのことで、ビール1パイント(3.5GBP)を注文。ホテルからほど近いこのパブには、毎晩通うようになる。
近くのレストラン「GARFUNKEL'S RESTAURANT」でフィッシュ&チップスとビールを注文。17.5GBPは高いだろう。
コンビニ(なんでも屋?)で朝食のパンを購入(6.5GBP)し、22時40分にホテルへ戻る。
それにしてもよく歩いて、よくビールを飲んだ一日だった。
「自分の足でザ・ロックを歩く」目的は果たせたが、1km近いQUEEN'S RDの散策は無駄だった。
ザ・ロックに限っては、ツアーがベストだと断言できるな。
で、地中海の入り口を制するこのジブラルタル要塞をイギリスが手放さない理由は何か。冷酷な地政学上の理由によるもの? 帝国意識の残留によるもの? いや、猿がかわいいからに違いない!
……との、現地を歩いての確信を得たところで、続きます。
2017年4月 英領ジブラルタルとモロッコ・タンジェとロンドンの旅 その2 [男ひとり旅の美学]
メディナは細い路地が延々と続く。
2017年4月30日(日) 晴
5時起床。朝食はルームサービスを頼んでおいた。
6時25分出発。外はまだ暗いぞ。
フロントでタクシーを呼んでもらい、じっと待つ。土日はタクシー予約すらできず、直接呼ぶしかないらしい。
7時6分になってやっと来た。「スペイン・ボーダー」まで12GBP。
で、ジブラルタル出国~スペイン入国を果たし、先日確認したタクシー乗り場を覗くと……1台もなし。昨日の話と違うじゃないか。
しばらく待っても来る気配なし。呆然とする、そして焦る。
ラッキーなことに、7時20分になって、ジブラルタルへやってきた客を降ろしたタクシーを捉まえることができた。
さぁ、出発!
■モロッコ・タンジェへ! ヤラ、ヤラ!(モロッコ語のLet's Go!)
アルヘシラスからはフェリーの本数も多く、こちらが主流ではあるのだが、いかんせん、到着するのはタンジェ新港。そこからはタンジェ旧市街からバスで1時間の移動をしなければならない。どうせなら旧来の「アルヘシラス~タリファ~タンジェ旧港」のルートを取りたい。アルヘシラス~タリファ間はシャトルバスが30分で運行されているし。
タリファ~タンジェ旧港のフェリーをWEBで調べると、適当なのがあった。往復70ユーロか。
そして迷いに迷い、ツアーにすることに。一般的な土産物屋巡りなし、ラクダ鑑賞あり、昼食付きの少し高い商品を選んだ。それでも63ユーロ。フェリー往復より安いし、お奨めです。
どうせ個人で渡航しても「自称ガイド」が付きまとって、ゆっくり観光できないだろうし。
Tangier Cultural 1 day
http://www.frs.es/en/tours-to-morocco/tours-to-morocco/excursions-1-day/tangier-cultural-1-day/
上記ツアーは本当に土産物屋へ寄らないので、買い物する時間が必要な人はこっちかな。
http://www.frs.es/en/tours-to-morocco/tours-to-morocco/excursions-1-day/tanger-basic-1-dia/
タクシーは飛ばす、飛ばす。20分足らずの7時40分にアルヘシラス・フェリーターミナルへ到着。料金は35ユーロだったが、奮発して40ユーロを支払った。
フェリーターミナルのFRS社ブースを訪ねると「バスを待て。Eチケットをドライバーに見せて乗車しろ」とのこと。
7時55分、無事にタリファ港行きのFRS社シャトルバスに乗車することができた。
おや、シートベルトがないぞ。
8時に出発。乗客の半分はイスラームのフード(ヒジャブ)を被った女性で、アジア人は僕ひとり。
車窓からスペイン・アンダルシア地方の光景を愉しむ。晴れてきて良かった……あぁ、タクシーに帽子を忘れて来た。1週間前に3,000円で買ったばかりなのに……。
タリファに近づくと巨大な発電用風車が見えて来た。実に壮観だが、半分くらいは稼働していないぞ。
左手にアフリカ大陸(のはず)も見えて来た。
8時30分、タリファ港へ到着。フェリーも待機している。イスラムの城塞が残る町だ。
窓口でEチケットを乗車券に交換したまでは良いが、セキュリティチェックの列が異様に長かった。
セキュリティチェックを受けてスペイン出国審査を終了すると、9時25分。フェリー出発時刻(9時)を大幅に過ぎているが、他の全乗客の審査が終わるまで待ってくれるみたいだ。
フェリー乗り場でツアーアシスタントが接触してきた。「必ず、船中でモロッコの入国スタンプを受領すること。重要」とのこと。もとよりそのつもりだ。
乗船後、船内のモロッコ入国審査の待ち行列の最後尾へ。10時40分出航。
結局、航海中の景色を楽しむことはできず、1時間ものあいだ、立ちんぼのままとなった。
そうこうするうちに船はタンジェ旧港へ入港。で、まだ、入国審査の列は続く。
結局、僕の審査が終了したのは9時55分(モロッコ時間10時55分)、下船は11時00分となった。
下船して入国係員がパスポートを調べるのに並ぶ。スタンプを探す……あれ、ない……なんと、パスポートの見開き最終ページに押されていた。なんてことするんだ!
街はいかにもモロッコっていう感じだ。そして地中海の風が心地良い!
10時15分、観光バスに乗車。
ツアー客は28人。あとから12人が追加(ピックアップし忘れたみたい)され、総勢40人のツアーとなった。
僕を除き、ヨーロッパ人とアメリカ人だ。
ポーランド人は「祖国は平地ばかりなので、起伏のあるこの地はとても興味深い」と言っていた。
陽射しがキツイ。帽子を失くしたのは痛いが、サングラス(メガネくん用のオーバーサングラス)は正解だった。
■タンジェの街を巡る、巡る
ツアーは最初に海岸線を走り、やがて起伏のある丘を登る。途中、大西洋~ジブラルタル海峡~地中海を望む展望台で小休止。
ラクダとの楽しい撮影会。感染症が怖いので乗らず。
Kasbah カスバ
旧王宮はモロッコ博物館になっている
メディナと呼ばれる旧市街は、細い路地が延々と続く。
スーク(市場)
レストラン シシカバブが美味かった。ビール2本で5ユーロはリーズナブル。
ミントティーはまぁまぁ。
14時10分にバスに乗り込み、ツアーは終了。アラブとスペイン文化の融合を感じさせてくれる面白いツアーだった。
急いで出国審査を受け、14時30分にフェリー乗船。
このフェリー、本来は14時発なのだが、フェリー会社主催のツアーでもあり、待っていてもらったみたいだ。
40分に出航。2階席に座っていたら「ここはプレミアムクラス」ということで、追い出されてしまった。
15時30分(スペイン時間16時30分)にスペイン・タリファに到着。35分に入国完了。
まじめに入国審査しているのかね?
アルヘシラス行きのシャトルバスはすぐにやってきた。
17時7分にタリファを出発し、17時35分にアルヘシラス港に到着。
インフォメーション窓口で、ラ・リネア行きのバス・ステーションの位置を問い合わせると、簡単な地図をくれた。
ついでだから、アルヘシラス~ラ・リネア間バスの時刻表も掲載しよう。
次の便は18時30分だ。2階のカフェテリアでカフェ・ラテとタルトを食す。5ユーロ。
歩いて15分、バス・ステーションに到着。ここアルヘシラスはお世辞にも美麗な街とは言えない。
カウンターで「チケットは直接、バス運転手から買え」と言われ、1番乗り場へ。すでに乗車が始まっている。
代金2.45ユーロを支払う。往路のタクシー35ユーロとはえらい違いだ。
ここのバスは手荷物しか座席に持ち込めないようで、大きめのリュックですら、車体下部へのの持つ預けとなっていた。出し入れも自分で行うみたい。
定刻18時30分に出発。車窓から見るアルヘシラスは、やはり全体的にみすぼらしい印象をぬぐえない。
ザ・ロックが見えて来た、
19時2分、ラ・リネアのバス・ステーションへ到着。
■閑話休題その2
タリファの入国審査場でのこと。
入り口で、モロッコ人のおばあさんが転倒した。すると、審査に並んでいた二人の別々の白人男性が、間髪入れずに駆け寄り、おばあさんを助け起こした。自分の荷物をほったらかしてのことだ。
このシーンが、本日のモロッコ小旅行で一番の鮮烈な印象として残った。
■ヨーロッパ・ポイント、絶景かな!
徒歩でジブラルタルへ入国。
タクシーを捉まえて行き先「ヨーロッパ・ポイント」と告げる。
EUROPA ROADではなく、東側のSIR HERBERT MILES RDを走ってくれた。違った光景が見られて良い。
DUOLEY WARD TUNNELでは水浸しになった。
EUROPA ADVANCE RDは下り坂。運ちゃん「あれがヨーロッパ・ポイントだ」とのことで、期待、大。
灯台のそばで降ろしてもらう。12GBP。
ヨーロッパ・ポイント! ジブラルタル海峡を望んで絶景なり。ザ・ロックを背景に、ユニオンジャックと大砲とがジブラルタルの位置付けを象徴する。
地中海、ジブラルタル海峡、大西洋を一望できる。
HARDING'S BATTERY
TRINITY LIGHTHOUSE
SIKORSKI MEMORIAL
20時10分、ジブラルタル最果てのバス乗り場から2系統のバスに乗り(1.5GBP)、街の中央広場へ。
パブでビール(2.5GBP)を注文。のどを潤した後、メインストリートを歩いてホテルへ向かう。途中、別のパブでフィッシュ&チップスとビールを注文(12.4GBP)。美味い!
おおっ、郵便もイギリスのローヤルメールなんだな!
徒歩でホテルへ。やはりEUROPA ROADの上り坂はキツイなぁ。
21時25分にホテル到着。
思いきってタリファからタンジェに向かうルートを選択して良かったと思う。
スークの雰囲気を回想しながら、就寝です。
明日はいよいよ、ザ・ロックへ上るぞ。
期待に胸を弾ませて、続きます。
2017年4月 英領ジブラルタルとモロッコ・タンジェとロンドンの旅 その1 [男ひとり旅の美学]
昔の日本人の欧州旅行記を読むと、必ずと言ってよいほど地中海の西端に位置するイギリス領、ジブラルタル要塞に関する記述が多く出てくる。どんなところなのか知りたくなり、近郊の北アフリカ・モロッコのタンジェと組み合わせて出向くことにした。
ジブラルタルへの飛行機はイギリスからしか出ていないので、久しぶりにロンドンへも訪れることにした。
6泊8日の男子ひとり旅です。いざ!
旅のテーマは次の三つ。
■英領ジブラルタル。今後もイギリス本国と同調するのか、かつての自治国カナダやニュージーランドなどと同様、独自の世界観を築き、発信する立場をとるのか。よく見る。
■最近興味を抱いた1920年代の街を想像しつつ、最先端のロンドンを歩く。
■モロッコの風を感じ、異文化に自分をさらけ出してみる。何がみえてくるか?
【旅程】
4/28金 日本を出発、ロンドンLHR空港近傍に宿泊
4/29土 AIRでジブラルタルへ移動、ジブラルタル観光、ジブラルタル泊
4/30日 早朝、ラ・リネアからアルヘシラスへ。シャトルバスでタリファへ、船でモロッコ・タンジェへ、タンジェ観光。逆ルートで戻り、ジブラルタル泊
5/1月 ジブラルタル観光、AIRでロンドンへ、ロンドン泊
5/2火 ロンドン観光、ロンドン泊
5/3水 ロンドン観光、ロンドン泊
5/4木 帰国へ
5/5/金 日本へ到着
【参考データ】
往路便
2017年4月28日 関西空港10時20分発KL868便、アムステルダム行き
2017年4月28日 スキポール空港17時35分発KL1031便、ロンドン行き
移動便
2017年4月29日 ヒースロー空港10時40分発BA492便、ジブラルタル行き
2017年5月1日 ジブラルタル空港17時10分発BA491便、ロンドン行き
復路便
2017年5月4日 ヒースロー空港9時55分発KL1008便、アムステルダム行き
2017年5月4日 スキポール空港14時40分発KL867便、関西空港行き
ロンドン・ヒースロー空港宿泊先:Renaissance London Heathrow Hotel(1泊)
ジブラルタル宿泊先:Rock Hotel(2泊)
ロンドン宿泊先:The Grand at Trafalgar Square(3泊)
ジブラルタル・ロック
■2017年4月28日(金) ヒースロー空港で一泊、ひたすら飛行機を観察
5時起床。JR三ノ宮駅前より7時の空港行きバスに乗車。7時55分に関西国際空港へ到着。55分は最速記録じゃなかろうか。
チェックイン後、いつもの海外旅行保険を申し込んだ。死亡5千万円で10,480円なり。
両替は29,793円を240EUROと69,883円を460GBP(ポンド)へ。ユーロはほとんど使わなかったな。
9時20分に出国。GWだけあってセキュリティ審査の行列も長い。出国審査場では「搭乗まで時間がない」との理由から最前列に割り込み、出国カードを書かずに出国しようとする夫婦がいた。当然出国を拒絶され、カードを書き直しにフェードアウト。なんて間抜けな。
シャトルバスも満員で一本見送って乗り込んだのは良いが、信じられんことに、車内で座り込んで缶チューハイを飲む女がいた。何でもありだな。
10時6分、新鋭航空機787-9にボーディング開始。エコノミーコンフォートの12Kは窓側でエンジンの真横だ。
隣は空席、その隣は感じの良いフランス・ブルターニュ人の男性B氏。来日6回は嬉しいですぞ。
で、この12K席、暖機の間中、天井から水がぽたぽたとしたたり落ちてきた。設計の欠陥なのか、製造上のミスなのか……。害は無いが嬉しくない。
10時30分に離陸。上空から神戸空港、明石海峡大橋を見下ろす。
Boeing 787-9 Dreamlinerは、窓が電子ブラインド。ボタン操作によって、段階的にグレースクリーンになるのだ。明度の調整もできる。またエコノミーコンフォート席は777型機よりリクライニング角が大きい。ACコンセントも各席に装備され、スマホ充電が可能だ。
11時50分に昼食。ハンバーグに赤ワイン。まぁまぁだが量的に少し物足りないなぁ。
長野の山がきれいに見えるぞ。
メガネがすぐに汚れるのは、機内がほこりっぽい証拠と言える。その意味でも機内でマスクは必須だ。
13時30分に照明が暗くなるなか、ロンドン旅行の大凡の計画を立てた。大英博物館はやはり外せない。
16時30分までハイレゾ・ウォークマンで音楽を楽しみ、その後は映画『四月は君の嘘』を鑑賞。
「違うよ、音楽が自由なの」「AGAIN」「どこまでできるかわからないけど、前に進む」
宮園かをりと有馬公正の役もぴったりだ。実に良かったぞ。
18時40分、バレンツ海に到達。あと3時間。機内のJAZZを聴く。「Vivaldi Avi Avital」が良い。
19時30分、スウェーデン上空。池も河もみな凍っている。シベリアもそうだが、こんなところでどうやって暮らしてゆくのだか。
20時15分(現地時間13時15分)に昼食が出る。チキンパスタ+白ワイン。
14時38分、降下開始。雲のなかへ突入する瞬間はいつ見ても良い。『ラピュタ』の一シーンを思い出す。
14時52分にランディング。今回はブレーキがキツくて大きく前のめり。もっと上手く操縦してほしいなぁ。
B氏と別れの挨拶を交わす。「パリに停めた自家用車で『たった300km』を運転してブルターニュの自宅へ向かう」そうな。Bon Voyage!
トランスファーへ。15時35分にセキュリティをパス。1時間以上あるのでカフェオレ2杯とケーキ2個を平らげる。……こんなことしているから痩せないんだな。22ユーロは高い。隣のテーブルでは姉妹4人がかまびすしくおしゃべり。古今東西、この光景は変わらないか。
17時10分、ロンドン行き737-700にボーディング。787-9に比べるとやはり狭い。
軽食はチーズサンドイッチとクッキー。昔より美味くなっている。
18時20分、イギリスに入国完了。僕の入国審査官(黒人女性)は面と向かって審査中、2回もデッカイあくびをした。あのなぁ。
スーツケースを回収して、さて、どうやってホテルへ向かうかな? 「空港から近い」から歩く? ないな。タクシー乗り場へ。当たり前だが「鉄道駅から近い」と「空港から近い」とでは訳が違う。10分近く乗車し、14.5ポンドもした。
ホテルのロビーは航空関係者でごった返している。19時にチェックイン。
部屋の窓の外は……おぉ、滑走路が目の前だ!
とりあえず写真を。
これも当たり前だが、近くにコンビニなどあろうはずがなく、夕食はルームサービス。ハンバーガーと白ワインと水で30GBP(ポンド)もした!
良くワインを飲んだ日だったな。
2017年4月29日(土) 曇り
6時起床。良く寝付けず何度も起きた。生活リズムが狂うと良くない。
なるほど、飛行機の発着は6時からなんだな。(24時間空港ではない。)
6時30分に朝食。イングリッシュ・フル・ブレックファストは久しぶりだが、これで10GBPならリーズナブルだと思う。
あぁ、中国人の中年団体客がペチャクチャとうるさい。朝からげんなり。旅情が削がれるというもの。
この巨大ホテル(360部屋)に日本人は3人しか見ていない。
朝日に輝く機体が次々と滑走路へ降りてくる。関空では見られないA380も数種類を見ることができた。
8時前にチェックアウト後、シャトルバス(5GBP)で空港ターミナル3へ。8時15分着。45分にセキュリティをパス、時間が余って仕方がない。早いが免税店でロンドン土産を購入。
10時10分、初のBA機にボーディング。A320は満席に近いが隣が空席なのはラッキーだ。
アジア人の乗客は僕ひとりみたいだ。
11時8分に離陸。ANA国内線と同じように、この路線の飲食サービスは有料で、ビーフサンドイッチとビールが8.7GBPもした。
欧州系の機体路線らしく、ICカードチップ付きのクレジットカードしか受け付けてくれない。
僕のメインカード(磁気ストライプ)はダメで、サブカードで支払いるハメに。
■閑話休題その1
アムステルダムからロンドン行きの機内でもそうだったが、この地のエコノミークラスでは、誰もシートをリクライニングさせない。暗黙の了解事項なんだろうか。数年前は狭い座席でのリクライニング賛否が話題となったが、こうやって決着? こういった点では、ヨーロッパは洗練されていると思う。
■ジブラルタルへ!
せっかく、空からジブラルタル・ロックを撮影しようと思っていたのに、ジブラルタル全域が深い霧でおおわれている。
機体は降下して着陸を試みるも、再噴射して急加速上昇。機長アナウンスによると、もう一度着陸を試みるとのこと。
14時、無事にランディングに成功。機内は一斉に拍手。僕も拍手。
滑走路を横断する車と人の列
機体を下り、歩いてターミナルビルへ。
審査はチョチョイと終わり、14時10分に入国完了。
スーツケースがなかなか出てこない。サーフボードが多いな、
やはりアジア人は僕ひとりだ。
で、タクシーが全然こないぞ。10人待ち。土曜日曜休日のジブラルタルではタクシーを捕まえるのが大変だと、後でホテルマンから知らされた。
時計を一時間遅らせる(イギリスから1時間遅れ。スペインに同じ)。
15時30分にタクシーに乗車。おお、英領なのに左ハンドル・右側通行なんだな。
40分に有名な「ロック・ホテル」に到着、坂道の途中にある。
フロント周りは昔のホテルといった感じ。ロビー前の階段は、年配の客には厳しそう。
部屋は綺麗し眺望も良いが、金庫が壊れているぞ。
現存するヨーロッパ最後の植民地、スペイン南端の英領ジブラルタル。ジブラルタル国旗に並んでホテルに掲揚されるはユニオン・ジャックだ。
16時20分にお散歩へ出発。ロビー横のカフェ・バー兼カジュアルレストランでビール1パイントを注文。美味しいぞ。
50分にホテルを出発。長い坂道を下りて「ザ・ロック」へのケーブルカー乗り場へ。
なんと、「強風のため運行停止」とのこと。残念!
しかたがない、スペインへ向けてメインストリートを歩く。
ジブラルタル政庁
ジブラルタル総督の邸宅
教会
土日はどこの店も休業で、閑散としている。やる気あんのか。
まぁ、海辺の街にイギリス風味が加わって、なんか良い感じだが。
ロンドンと同じ赤いダブルデッカーが右側通行なのも、新鮮。
寿司とカレー? 無いな。
CASEMATES SQUARE中央広場を抜けて、スペイン国境方面へ。
■ジブラルタル空港を歩く。
一度歩いてみたかったジブラルタル空港。ここって世界で唯一、滑走路を人や一般車両が横断できる場所として有名だ。狭い領地に無理やり空港をねじ込んだ結果とはいえ、面白い。
■スペイン国境越え
徒歩で国境に到着。写真撮影は控えて、しずしずと審査場に入室。出国と入国合せても1分? 拍子抜け。
国境を超えるとスペインの地方都市、ラ・リネアだ。ジブラルタルと違って、見るからに寂れた感じは否めない。
国境を超えてすぐ右手にタクシー乗り場があり、客引きに忙しい様子だが、ここはまた後で。
で、少し歩いてアルヘシラス行きのバス・ステーションを探し当てる。
窓口でアルヘシラスまでの料金を訪ねると、2.45ユーロ。さて、バスのチケットを購入しようかなって、ユーロを忘れた! 財布の中にはポンドのみ! われながら阿呆だ……。
しかたないので、時刻表をもらう。
え? アルヘシラスのバス・ステーションへ30分で行ける7時発の直行バスは平日だけ? 土日のバスは45分もかかる?
アルヘシラスではバス・ステーションから港まで歩き、8時のフェリーに乗らなければならない。間に合わないぞ。
しかたない、さっきのタクシーステーションを訪問し、料金と時間を問い合わせる。
20分で35ユーロとのこと。タクシー運ちゃんたち「See you tomorrow」と期待させてくれる。こっちで良いか。
そして翌朝、この期待は 見 事 に 裏 切 ら れ る こととなる……。
18時30分、再入国
よく歩いた。ジブラルタルでは、本当にタクシーを捉まえられない。タクシー乗り場も少ないし。
20時15分、パブ「ピカデリー」で夕食。ビーフステーキ(量多すぎ)とビール1パイントで25GBP。
この地ではジブラルタル政府発行のポンドだけでなく、イギリス中欧銀行発行のポンドがそのまま使える。
上がジブラルタル政府発行のポンド。気のせいか、女王の顔が若い。
外はまだ明るい。QUEENWAYを散歩。
明日は5時起きなので、24時に就寝するところで続きます。