データを突き付けられて唖然とする。そうか、世界はこんなにも変わっていたのか。「知っていると思いこんでいるだけで、本当は印象に流されている」(p38)だけの自分を発見する。著者(故人)は、事実に基づき、世界を正しくみることを、そして自分を批判的にみることを教えてくれた。
・「先進国と途上国」から「4つの地域と4つの所得レベル」の世界へ。まだ普及はしていないが画期的な分類方法だ。
・「最もコストパフォーマンスが良いやり方で、できるだけ多くの子供の命を救うこと」(p166)には考えさせられた。
・テクノロジー、国、社会、文化、宗教は刻々と変わり続けている(p237)。これらのこともつい忘れがちになる。気を付けないと。
・「ドラマチックな対策よりも、たいていは地道な一歩に効果がある」(p308)振り返ってみれば、その通りだと思う。
・ウィキペディアの情報の偏りについての言及がある(p155)。留意しておかないと。
・極度の貧困は克服されつつある。次は温暖化対策、テロ対策、疾病対策……。110億人全員が望んだ生活を送られるような、新しいテクノロジーの開発か(p281)。おおいに啓蒙されたぞ。
世界について、感情的な考え、あるいは自分勝手なバイアスがかかって考えていたことを思い知らされた。
頭にこびりついた思い込みをクリアにするのは容易ではないが、本書をヒントに常に知識をアップデートし、世界と自分のありのままの姿を直視し、そこから比較・相対化して判断・行動することにしよう。
FACTFULNESS
ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
著者:Hans Rosling、上杉周作、関美和(訳)、日経BP社・2019年1月発行