男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2019年03月

明治開闢以来の150年間、外国人は何を求め、日本人は何を披露したがったか。その「魅力のギャップ」と外国人の「再発見」を含めて日本観光の近現代史を俯瞰し、今後の観光立国を考える一冊。
・幕末から外国人が愛した「古き良き日本」の姿は、明治中期に急速に失われてゆく。富国強兵なのだから仕方ないが、他に方法はなかったのかと今では思う。
・明治期の二大外国人別荘地、日光、箱根の開発に際しては地元民間人の志の高さが目立つ。「日本人ではなく外国人から金をとる」と言い切るホテル経営者がいれば、自分たちで道路建設を行い、当時無きに等しかった水力発電所や火力発電施設まで自前で整備したのか(p94)。
・吉原遊郭の記述に関しては日本側の視点(『公認東亜案内』)、アメリカ人の視点(『テリーの日本帝国案内』)、現在の視点(『ミシュランガイドJAPAN』)それぞれに違いがあり、なかなか興味深い(p140)。
・いまでいう観光立国、クールジャパンの推進に政府が乗り出したのは1930年(国際観光局」設立)とかなり遅かったんだな(p163)。
・昭和12年の時点で「訪日外国人のリピーターに何を見せるか、あるいは体験させるか」「湘南に外国人向けカジノを設けるべし」等の有識者見解が飛び出し、まるで昨今の観光立国政策をみているようだ(p186)。歴史は繰り返す?
・O・MO・TE・NA・SHI。金谷ホテルのサービスが例として挙げられるが、確かに外国人に感動を与える親切さだ(p188)。
・第8章「現代の観光立国事情」には、増え続ける外国人旅行者とその趣味趣向(人気スポット)の分析が行われ、今後の打ち手が明確に提案される。国ごとに異なる人気度、訪問率(広島平和記念資料館等が顕著)、観光地としての魅力(気候と治安、文化・歴史、食、「自然」:p244)、外国人の考える「日本食」を踏まえての泊食分離、江戸城〇〇計画、日本人として観られること、観光公害への対応、マーケティング戦略等、観光立国・日本の実現に向けての多大なヒントが述べられる。

「日本人が外国に見せたいもの」と「外国人が日本を深く識るために見たいもの」のギャップは、明治の世から現代まで確かに存在する。また外国人旅行者の増大に伴って、日本人が知らなかった日本の良さを外国人が発見する事例(遠くは軽井沢、近年では佐賀)も増えるだろう。僕もときおり街で外国人旅行者を見かけるが、もし請われたら「相手の興味」に寄り添って、わが日本を案内するようにしよう。

外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史
著者:内田宗治、中央公論新社・2018年10月発行

英語再勉強! でも目的がないと……。ロンドン旅行に向けてぴったりの一冊を見つけました。
専用WEBページから音声データをダウンロードし、リーディング&リスニング開始です。

・バッキンガム宮殿、グリニッジ天文台、セントポール大聖堂、大英博物館、タワーブリジ等の観光地から、劇場、音楽、競馬、フットボール、骨董市、サザビーズ、ハリー・ポッター、地下鉄、クラブ、紅茶、植物園など、幅広い分野にわたってロンドンが紹介される。
・自分の好きなテーマから取り組むことができるのはうれしいところ。
・音声データの再生スピードはネイティブそのもの。初心者にはキツイかも。
・音声データのダウンロードには15分を必要とした(ADSL)。100円高くても良いから、CD-ROMを付けてほしかった。
・巻末の「アメリカ英語とイギリス英語の違い」は実に参考になる。学校で習ってきたアメリカ英語とは発音がずいぶん異なるんだな。

英語学習のみならず、ロンドンのガイドとしても活用できます。買って正解でした。
DSCN4191


財閥の三男坊と貧乏女優の恋物語。ベルの可憐さに魅了され、二人のなかなか進展しない関係にワクワクしながら、大正期の生活風俗と豊かな文化の薫りを存分に愉しめます。

・ベル、紫太郎(したろう)、㐂代(きよ)、伊之助だけでなく、他の登場人物のファッションも気になるところ。観劇する市井の人たち、デパートに集う若い男女、横浜と帝都を闊歩するモダン・ガール(この表現はまだ早いか)。大正中期~後期の「時代の粋」が伝わってくる。
・豆腐を使った「洋食」には笑わせてもらった。
・枠外下の「貧乏ベル飯」(笑)シリーズが、哀愁あって良し。
・”幕間”のコラムと舞台衣装の紹介が楽しい(髪型と帽子、女学生スタイル、戦前の女性の職業、松井須磨子のカチューシャの唄、ラムネ、シュークリーム、ハガキ、等々)。

ただ、貧富の絶望的な格差、小学校中退→セル人形色塗り稼業→女優(㐂代)、女性の識字率の問題など、この時代の負の側面を隠すことなく物語に盛り込み、愉しく華やかな世界観に昇華させていることは特筆されるべきと思います。
それにしても、作中に盛り込まれた大正時代のうんちくがすごい。作者は何者!? ツイッターを見ると……1922年生まれでしたか (^_^;)
続巻も楽しみにしています!
DSCN4186

帝国主義とその崩壊が残した歴史的風景。帝国主義の時代~ブルジョワジー自由主義と革命の世紀~を反芻することで、現代社会を考察する一助とする。
中産階級の価値観と思想、女性の進出。文化と科学技術。革命と戦争。2巻では、ブルジョワジーの世界を中心に帝国主義時代の諸相を描き出す。

・ブルジョワジーの勢いは古くからの貴族を警戒させるほどに。1900年から20年間に創設された159の爵位のうち66件が実業家、34件が専門職に授けられたという(残りは地主と軍人)(p9)。
・社会価値の崩壊を未然に防止することが期待された社会科学だが、革命と戦争は雪崩をうつように到来したのだった。
・南アフリカ戦争では45万人を派兵し、うち4万5千人が戦死または病死したという(p188)。
・列強を第一次世界大戦に引き込んだのは何か。戦争を利益と考えた資本家か? 否(p201)。資本主義的集中のもたらした巨大軍需産業か? 否。ましてや道徳的・政治的判断の所産である「敗戦国の戦争犯罪」などではない。結局は、列強を軍備競争に駆り立てた国際情勢そのものであった(p193)。ドイツ対フランス。対するフランスとロシアの同盟。ハプスブルグ帝国への全面的な協力に関するドイツの決意、多民族国家ハプスブルグ帝国の崩壊の危機。そして国際外交ゲームの拡大とルールの変更(p200-207)による、予想しえなかったイギリスのフランス・ロシア陣営への加担。これらが実にスマートに記される第13章は秀逸だ。日英同盟と日露戦争のもたらした影響=イギリスとロシアの宥和は無視しえないものだったんだな。
・その上で、「中央・東ヨーロッパ社会において、民主主義諸勢力が軍国主義分子に対する統制力を確立するに無力だったこと」(p210)が1914年6月のヨーロッパの悲劇的な崩壊の主な原因であると、著者は結論付ける。ハプスブルグ帝国の軍事的ギャンブルはまさしく悲劇的だったのだ。
・第一次世界大戦により、自由主義世界システムと19世紀的なブルジョア社会は崩壊し、民主主義、あるいはファシズムの胎動へとつながる。

「ナショナリズム」のイデオロギーは大小問わず、あらゆる民族集団に国民国家の概念を使用可能とした(21世紀には東チティモールまで)。非ヨーロッパの政治がナショナリズムに同化された限りにおいて「帝国の時代」の遺産は存在し続けるというわけか。

THE AGE OF EMPIRE 1875-1914 2
帝国の時代1875-1914 2
著者:E.J.Hobsbawm、野口健彦、長尾史郎、野口照子(訳)、みすず書房・1998年11月発行
2018年1月24日読了
DSCN3317
帝国の時代 2――1875-1914
E.J.ホブズボーム
みすず書房
1998-12-09


「片渕須直監督、特別監修」ってことで表紙買い。精巧に作られた模型で世界観を再現しながら、作品の魅力が深く語られます。総力特集、実に65ページの大ボリューム!
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の新規追加シーンの一部が紹介されます。本邦初公開?

・冒頭、廣田恵介さんのイントロダクション「あなたには、この世界 どんな風に見えますか?」で、本気度がうかがえます。アニメーションの制作素材と模型のコラボ、期待できます。
・映画紹介に続く、大正14年から昭和21年までの「年表」がすごいです。世界と日本の動きと作品内の時間的推移がよくわかります。
・フィギュアを改造してジオラマ化。作品世界が再現されます。1/20北条家、台所、防空壕のみならず、「灰が峰沿いの段々畑」ってすごいぞ。
・戦艦「大和」、重巡洋艦「青葉」、広島の乗り物(廣島電鉄150形、200形、呉市交通局35形電車、等々)。深いです。
・片渕須直監督の仕事部屋。『名探偵ホームズ』で、学生でありながら脚本家って……。
・「荒野のコトブキ飛行隊」見どころ紹介は第3話。二宮茂幸さんと岡部いさくさんの誌上コメンタリーが面白いです。
・「艦これ」連載は「秋月」。他にSU-122-54、ワンダーフェスティバル2019冬、等々。

原爆ドーム、呉軍港、米海軍HELLDIVER編隊、B-29等が再現され、「カントク片渕の視点」として解説が加えられています。
「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」をさらに愉しめる内容。期待以上! 買って大正解でした。

DSCN4192




本書は、イギリスで1900年に刊行された写真集に、個別写真の具体的な説明、日本人向けの解説を加えたものである。著者は19世紀の建築史家で、105枚になる写真は1896年頃に撮影されたらしい。
・巻頭の出口保夫さんによる「悠久の都市ロンドンの2000年」では、ロンディニウムからルンデンウィック、そしてロンドンへの変遷とその繁栄の様相、生活・文化・芸術を含めて都市と人々の歴史を展望でき、近代・現代を含めるとローマをもしのぐロンドンの歴史の凄さがわかる。一読し、そのままヴィクトリア時代の光景へと誘われる感覚も心地よい。
・ウェストミンスター橋、ロンドン塔、国会議事堂、イングランド銀行、セントポール大聖堂、古代ローマ市壁……個々の大判写真には原著者の説明に加え、現在の視点からみての解説文が記される。よって19世紀の風景写真を眺めつつ、ガイドを受けながらロンドンを旅する気分が味わえる。
・いまでは失われたセシル・ホテルやクイーンズ・ホール、セント・トマス病院の古の建物の美しい姿を拝むことができる(p129)。
照明を落とし、ワインを味わいつつページを繰ると、かつて実在したロンドンの光景に足を踏み入れ、気ままに逍遥する気分に浸ることができた。(酔っただけ?)
確かに価格は張るが、それに見合う内容の豪華本。買って正解だった。

THE DESCRIPTIVE ALBUM OF LONDON
写真集 よみがえるロンドン―100年前の風景
著者:ジョージ・H・バーチ、出口保夫、柏書房・2005年11月発行
2019年3月1日読了
DSCN4188

写真集 よみがえるロンドン―100年前の風景
ジョージ・ヘンリー バーチ
柏書房
2005-10-01




自宅の車庫と鍵保管スペースが近いためにリレーアタックが心配。外出先でも気を抜けません。
「カーセキュリティ ブロッキングポーチ」を購入。
これは結構小型で、キーを入れたらよい感じのサイズにまとまり、バッグに入れても邪魔になりません。
試しにキーを収納して車両近くでドアの開閉を試みましたが、動作しません。電波を完全遮断。これで安心です。

↑このページのトップヘ