男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2019年07月

人が幸せになるってどういうことだろう。人生の分岐点を成功側に導く勇気。そんな勇気をあたえてくれるちょっとしたキッカケさえつかめれば……。
勇気を持てずにいる財務担当社員、不倫関係に悩む女流作家の卵、過去の人とみなされた調香師、それに変革に踏み出せないでいるブルジョワ男性。本書は、様々な境遇で悩ましき人生を送る老若男女が、ふとしたことから「黒いフェルト帽」を手にし、運命を切り開いてゆく様を描写する。
・きっかけは偶然の出来事だった。ブラッスリーで牡蠣にビネガー・ソースを数滴たらし、その男の声を聴く。「私は先週それをヘルムート・コールに言ったんだが……」隣接するテーブルに大統領がいる! ダニエル・メルシエの奇妙な運命はここにはじまり、
"置き忘れた"帽子は、ファニー・マルカンの人生をも劇的に変えてしまった。
・ピエール・アスラン。一世を風靡しながら、時代に忘れられたスター調香師の現在の姿はみじめだ。彼もまた帽子を手に取り、人生を変えてゆく。到来した偶然のチャンスを引きずり掴むその強さを、僕も持ちえたいものだ。
・後半に登場するはブルジョアのベルナール氏だ。古い価値観にしがみつき、晩餐会での左派を呪うお決まりの会話に、お決まりの食事、旧弊を美徳と思い込み、世に背を向けることで自分を正当化する一群の人々の中に、彼もまた埋没するのか。だが彼は時代と向き合うこと(p153)を知り、行動した。すがすがしいほどの共感を得られた気がする。

「……自分の運命に立ち向かい、果敢に行動していかねばならない」(p174) 仮に帽子を手にしなければどうだったのだろう。きっかけは何であれ、彼らはそれでも、チャレンジ精神を発揮していたと信じたい。
それにしても、ミッテラン氏の懐の広さは見事。そしてシーフード・プレートと白ワインの描写も見事。今度パリへ行ったときに試してみよう。

LE CHAPEAU DE MITTERRAND
ミッテランの帽子
著者:Antoine Laurain、吉田洋之(訳)、新潮社・2018年12月発行
2019年7月28日読了
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ミッテランの帽子 (新潮クレスト・ブックス)
アントワーヌ ローラン
新潮社
2018-12-26

2019年7月15日(月)6時30分起床、曇り

「松島佐勘 松庵」の和朝食は素晴らしかった。特に地方の魚「めぬけ」が美味だった。朝の松島湾の景色も良し。
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9時30分にチェックアウト。良いお宿でした。
松島海岸の駐車場へ。一日500円ならリーズナブルだろう。

■国宝 瑞巌寺

伊達政宗の菩提寺。
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本堂はこんな感じ。金箔の障壁画が見事だったが、ここも内部撮影は禁止だ。
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瑞巌寺の鬼瓦。迫力満点です。
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それにしても、東日本大震災で参道の杉並木が半分無くなってしまったのは実に残念だ。
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■松島島めぐり観光船 第三仁王丸

令和改元の記念で、乗船券が1,000円とある。さらに海の日で小学生以下無料だから、本日は大混雑。
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11時すぎに出港です。かもめも気分よく飛んでいる。
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仁王島、鐘島の近くでは速度を落とし、存分にみることが出来た。
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空も晴れ上がって、実に快適。
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11時50分に下船。良し、松島を堪能できた。
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■五大堂

ここは「松島の象徴」らしいが、こじんまりしていて、期待したほどではなかった。
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昼食は牛タン定食。リーズナブルで良かったぞ。
さて、レンタカーに乗って仙台市外へ向かいます。

■青葉城跡
仙台市外を見下ろせる場で、観光客がいっぱい。正宗は何を思うのだろうか。
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■瑞宝殿
参道はけっこうキツイ坂道。紫陽花がきれいだ。
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涅槃門
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正宗の霊廟、瑞宝殿。実に壮麗だ。
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これで今回の観光は終了です。
16時10分に仙台空港のレンタカー会社へ到着。空港まで送ってもらいます。

■仙台国際空港

機能的でよい感じの空港だ。
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お土産を買いこみ、ANAのラウンジへ。ドリンクは充実なるも、あいかわらずスナックはプアーだ。

ANA738便のプレミアムクラスは快適。17時35分に離陸。

夕食は白ワインに、牛タンのしぐれ煮とあなご飯。もう少し量を増やしてほしいなぁ。
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18時48分に伊丹空港へ到着。大阪城が良く見えた。

無事に21時に帰宅できた。
奥州・藤原氏の栄華に伊達政宗の"力"を観ることが出来た。

次はどこを旅しよう?

駄文にお付き合いくださり、ありがとうございました。

2019年7月14日(日)6時55分起床、雨

■杜の都、仙台へ

「平泉ホテル 武蔵坊」の朝食は和食中心のバイキング。おいしいけれど、もう少し種類を増やしてほしいなぁ。
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9時35分にチェックアウト。平泉駅までの送迎は本当にありがたい。
「平泉水かけ神輿」が開催とあって、街はにぎわっている。観られないのが残念だ。

10時24分、東北本線に乗車し、32分に一ノ関駅へ。新幹線「やまびこ42号」を乗り継ぎ、11時22分に仙台駅へ到着した。
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雨の中を少し歩き、ニッポンレンタカーへ。マツダ・デミオは初めてだ。

さぁ、仙台観光をはじめよう。

■仙台市博物館

12時に到着。無料駐車場は嬉しい。ガイドブック「おとな旅プレミアム」によると、国宝を含む貴重な資料は必見だそうで、実に楽しみだ。入場料もリーズナブル。
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伊達家、仙台地方の歴史と文化がわかりやすく展示されている。
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仙台城って、明石城や金沢城と同じく、天守閣はなかったんだな。
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それにしても伊達政宗の肖像画を前に思う。渡辺謙の精悍なイメージとずいぶん隔たりがあるな。いや、スゴイ武将なんだろうけれど……。
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ひとつだけ気に入らなかったことは、秀吉の朝鮮出兵をわざわざ侵略と表記していたことだ。どこの差し金かな? 教育委員会に半島シンパでもいるのかな?
13時45分、鑑賞終了。おなかが空いてしまった。もはや外で飲食店を探す気力はなく、博物館内のレストランへ。
で、ここのレストラン「三の丸」は個人的に当たり! チーズのよく効いた「もち豚のボローニア風カツレツ」は実においしかった。
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時刻は14時20分。すっかり遅くなったが、松島へ向かおう。
高速道路も一般道路も時間は変わらない。一般道を採るルートを選ぶ。
仙台は東北地方第一の都会だということがよくわかった。
15時35分、松島海岸に到着。

■観瀾亭
伏見桃山城の茶室を移築した建物だそうで、確かに豪華絢爛。眺めも良し。隣接する博物館は改築中だった。残念。
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う~ん。今夜のお宿「松島佐勘 松庵」までは距離があるぞ。
16時30分にホテルへチェックイン。

■松島佐勘 松庵


ここは部屋数わずか11のこじんまりとした、高級路線の期待通りの旅館だ。
駐車場へ車を入れると、すぐに仲居さんが雨の中を走ってきてくれた。この「おもてなし」が、滞在中ずっと続くことになる。
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14畳の部屋からは松島湾が見渡せる。まぁ思ったほどではなかったが。
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18時30分より夕食。グルメ万歳! と言いたくなるな。
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唯一の残念な点は、温泉ではないことだ。場所柄やむをえないか。ただ、大浴場は快適だった。

昨夜に続いてビールでほろ酔い。続きます。



世界遺産、キンピカの中尊寺金色堂をぜひこの目で見たい。仙台と松島海岸も散策しよう、というわけで2泊3日の小旅行を敢行した。

【参考データ】
往路便
 2019/7/13土 伊丹空港9時発ANA733便、仙台空港行き
復路便
 2019/7/15月 仙台空港17時35分発ANA738便、伊丹空港行き
宿泊先
 2019/7/13土 平泉ホテル武蔵坊(平泉、1泊)
 2019/7/14日 松島佐勘 松庵(松島、1泊)

今回も旅のテーマを決めていない。のんびりと旅情を愉しむのだ。

■平泉へ

2019年7月13日(土)

5時10分起床。不安定な梅雨の空を眺めながら、バスとJRを乗り継いで三ノ宮駅へ。
6時50分、三ノ宮駅より伊丹空港へ向かうバスに乗る。
7時30分に伊丹空港へ到着。だ~、三連休だけあって朝からすごい人混みだ。キャリーケースを預ける際に、カメラのバッテリを入れたままだったことに気づく。あわてて取り出して再検査。とほほ。
伊丹空港はリニューアル工事中で、お気に入りのパン屋さんがなくなっていた。しかたがないのでコンビニサンドイッチで腹を満たす。

ゲ-ト9Aから連絡バスに乗り、8時45分に搭乗開始。昨年7月以来の小型プロペラ機は満席御礼だ。

9時ちょうどに離陸。わずか1時間で仙台空港に到着した。おおきく揺れたなぁ。
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バゲージを確保し、すぐに空港連絡線のホームへ向かう。時間がギリギリだったので、ICOCAの便利さをありがたく思う。
10時39分仙台空港駅を出発した空港連絡線は、いくつもの駅に停車しながら、11時3分に仙台駅に到着した。
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人生初乗車となる東北新幹線は「やまびこ45号」。いいデザインだ。11時36分に仙台駅を出発。
12時28分に一ノ関駅に到着。二両編成のローカル線に乗り換える……って、これが東北本線? 驚いたぞ。
12時36分、JR平泉駅に到着。コインロッカーに荷物を預ける。
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世界遺産のある観光地にしては、ずいぶんと寂しい駅前だ。
昼食は「泉屋」でざるそばをいただいた。供されるまでえらく時間がかかったが、その分おいしかったぞ。
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駅前からタクシーに乗車し、中尊寺に向かう。

■世界遺産・中尊寺

有名な「月見坂」は上りが大変だそうで、金色堂近くの駐車場まで行ってもらうことにした。
13時55分、中尊寺に到着。讃衡蔵にて拝観券を購入、820円なり。

いざ、金色堂へ!
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内部は写真撮影禁止とある。ケチだなぁ。
瓦(木製)を除いて、天井から壁から柱、床から、床下の基礎となる柱まで金箔が貼り付けられている。その上に施された螺鈿の繊細できらびやかな美しさよ!
……国宝第一号だとは知らなかった。中世奥州芸術の代表作を満喫した。

ここを訪れた芭蕉の歌碑が残されている。「五月雨の 降り残してや 光堂」
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讃衡蔵は宝物殿となっており、中尊寺の歴代の仏像や、国宝な美術品が展示されていた。で、ここも撮影禁止か。

経蔵、旧覆堂を巡る。
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中尊寺・本堂。ここも良かった。
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月見坂を下る。今日は晴天だから良かったものの、雨の中じゃ滑りそうだ。
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あれ、7月なのに紫陽花が満開だ。
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中尊寺を出た少し先に、武蔵坊弁慶のお墓を発見。
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タクシーで次の観光地へ向かう。

■世界遺産・毛越寺

在りし日は金色堂に負けないくらいの栄華を誇ったという毛越寺。消失した痕跡のみを遺して、後世の想像に任せるというわけか。
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「夏草や 兵どもが 夢の跡」
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蓮の花はまだ開いていない。代わりにアヤメが見ごろ。
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本日の観光はこれにて終了。あれ、巡回バス「るんるん」の最終便が出てしまった後だ。しかたがない。平泉駅まで歩きます。テクテク。

■平泉ホテル 武蔵坊

平泉駅にて荷物を回収し、ホテルに迎えに来てもらう。17時にチェックイン。12畳の部屋は実に快適。窓外の景色は語るまい。
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場所は毛越寺の近く。昭和時代の観光ホテル、といった感じだが、機能的には十二分だ。お風呂が心地よかった。
食事は夕食、朝食とも価格相応といったところか。
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明日はあいにく雨みたいだ。予定を変更して博物館を中心に巡ることにしよう。

ビールでほろ酔い。続きます。



ハートフルな物語が13編。どれも気楽にサクサクと読み進められる。
内容の濃さではボリューム的にも『アンサンブルコンテスト』(p278、質量を持った達成感!)だが、心に響いたのは、最終章の『飛び立つ君の背を見上げる(D.C.)』だ。卒業式の朝の"ほろ苦さ"と"友情への感謝"。手紙に託す思い。涙は語るためにある。喜びを語るためにある。
そして冒頭の『飛び立つ君の背を見上げる(Fine)』を再読すると、みぞれの笑顔の意味の深さがじんわりと伝わってくる、素晴らしい仕掛けとなっている。
「ほんまアンタら仲ええなあ」(p19)そう、彼女たちのこの関係が長く続くことを願って、本書を閉じることとしよう。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話
著者:武田綾乃、宝島社・2018年4月発行

魅力あふれる「響け!」シリーズの集大成。これで最後かと思うと読むのを躊躇するが、ああ、それでもページを開かずにはいられない。フィナーレに向かって一行一行を大事に読み進めます。
・みぞれの通う音大でのコンサート会場。「いいよ。わたしはこのままで」と、首を横に振る希美の姿がとても切なかった(p84)。
・関西大会出場前のオーディション選考結果発表は地獄絵図。自身の結果にうろたえるヒマもなく、「百人分の喜怒哀楽」(p123)を背負って、久美子は部長としてすべてを受け止めなければならない。彼女の、部内に芽生え始めた不協和音を吹き消す様はみごとだ。
・宇治川の堤防を眺めながらの麗奈との口論は、久美子にとってどんな意味を持つのだろう(p186)。このシーンはきついなぁ。
・「手のひらににじむ汗」(p231)、関西大会の終盤、全国大会出場三校の発表の場での緊張感は尋常ではない。ここは僕も手のひらに汗を感じた。
・「正しい人」(p322)、僕もこうありたいな。
・久美子のメッセージは群を抜いており、感動的ですらある(p325~)。後悔をしないという選択。そして、最高の舞台へ……その先へ……。

瞼の裏で涙をぬぐう。そんな青春を超えて未来へつながるハーモニー=久美子たちの物語に最高の称賛を送りたい。著者様に感謝の思いを込めて「金賞」です。

響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章・後編
著者:武田綾乃、宝島社・2019年6月発行

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