氷山、海氷、氷棚、南極の生態系、特異な自然現象、昭和基地と基地を支える観測隊員、南極を冒険した過去の偉人たち……。国立極地研究所の監修によって南極観測50周年ならびに国際極年に向けて2006年に発行された本書は、7700円もした大型本だけあって、カラーページの写真は他に類を見ない迫力をもつ。また、専門分野をわかりやすくかみ砕いた解説は、興味を抱く初心者が「極地の謎」を垣間見るにあたって、しごく適当なレベルにあると思う。
・「(南極)観測を支える輸送」(p24):すでに1920年代(!)に南極での航空機輸送が行われていたとは知らなかった。
・「地球上でもっとも空気がきれいな南極」(p50):都会の空気の1/1000以下のエアロゾル粒子。おいしい空気なんだろうなぁ。
・「氷床コアは語る」(p94):過去34万年に及ぶ気候の変化を観測できるとは驚きだ。
科学的解説にとどまらず、南極探検歴史、日本の観測史と研究機関、南極探検人名録などの資料も豊富。南極に興味がわいたら、まず手にするべき一冊といえよう。
ENCYCLOPEDIA OF ANTARCTICA
南極大図鑑
監修:国立極地研究所、小学館・2006年10月発行
2019年12月25日読了