男ひとり旅の美学

33の国と地域、南極を含む七大陸を踏破! 海外旅行歴28回の「旅の恥は書き捨て」です。愛車BMW M3と読書感想文も。

2021年10月

神戸は御影にある白鶴美術館「中国青銅器-円と方の協調美-」展を鑑賞すると、通常非公開の「旧乾邸」に御招待というので、晴天の下、出向いてきた。(2021年10月28日)

もよりの阪急御影駅に到着するも、美術館方面へのバスがない? タクシーで出向くことに……。
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地元の方によると「今日から急に観覧者が増えた。何があるんだろう?」とのこと。それはね、みなさん「旧乾邸」目当てなんですよ。

■白鶴美術館・本館
「中国青銅器-円と方の協調美-」展
ここは建物そのものが美術品といえ、細部に施主と建築家のこだわりが感じられた。
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個人的には渡り廊下と、この階段周りが気に入った。
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1階の展示室、特にその天井は素晴らしい造り(折上格天井)なのだが、撮影は許可されなかった……。
展示物こそ撮影できないが、饕餮夔龍文方卣(とうてつきりゅうもんほうゆう:重要文化財)など、古代中国の貴重な青銅器を鑑賞できたので、良し!

■白鶴美術館・新館
「アナトリア・コーカサスの絨毯 -多様なメダリオン-」展
19世紀~20世紀初頭に制作されたアルメニア、トルコの高級じゅうたんを展示。こういうのも良いな。
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■旧乾邸
白鶴美術館・新館から徒歩3分の場所にその邸宅跡はある。並ぶこと約10分。13時少し前に開門され、僕は9番目に入場できた。
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車寄せ(?)のデザインに圧倒された。
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吹き抜けの応接室には南向きの巨大な窓から日光さんさんと入り、階段、壁面等の意匠、調達品をみるだけで時間がたつのを忘れてしまうほど。いや、本当に素晴らしい!
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2階への階段を上ると、バルコニー状に突き出した部分が目に飛び込む。そしてこの天井! 憎らしい設計だ。
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美は細部に宿る。
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本当、次の公開日が待ち遠しくなるな。
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今回使用したカメラ機材は次の通り。
・カメラはSONY α7C
・レンズは2本。軽さは正義だと実感した。
 SONY SEL14F18GM(F1.8/14mm単焦点)→ほとんどこれ一本で撮影
 SONY SEL40F25G(F2.5/40mm単焦点)
うん、建築物の撮影は超広角レンズに限るな。

芸術に触れるのは小さな非日常。次回もまた来よう。

白鶴美術館
https://www.hakutsuru-museum.org/museum/
旧乾邸
https://www.city.kobe.lg.jp/a44881/kanko/bunka/bunkazai/estate/bunkazai/syokai/kyuuinuitei.html



ベルマージュ堺弐番館の二階に位置する小規模な美術館、堺アルフォンス・ミュシャ館へは1年ぶりの訪問となる。明石から大阪・堺まで出向いてきた。
(2021年10月23日)
1900年パリ万国博覧会をモチーフに、会場をグラン・パレ、プティ・パレに見立て「ミュシャのマルチなアート・ワークをジャンルごとに大公開」とある。期待できそうだ。
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■グラン・パレ
油絵、各種デッサン、作品のための下絵などを展示。1900年パリ万博でのチェコ館のポスターが印象的だ。どちらかと言えばチェコ時代のミュシャの側面強し。
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■プティ・パレ
こちらは実に華やか! リソグラフ・ポスター『椿姫』『ロレンザッチオ』や『四つの宝石』『一日の四つの時』『四芸術』などの連作、サラ・ベルナールのための宝飾品『蛇のブレスレッドと指輪』、著書『装飾資料集』抜粋、等々。彼の手になる彫刻『ラ・ナチュール』もなかなか。

■未来館
世紀末を超えて、1935年頃までの商業ポスターを展示。ジョルジュ・バルビエ、レオナール・フジタ等々。これは良かった。
また、現代の情報技術を活用したミュシャ作品の映像コンテンツが大々的に紹介されていたが、これはいいや。
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『四つの花』
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さりげなく展示された『桜草』も良いな。
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芸術に触れるのは小さな非日常。次回もまた来よう。

ある舞踏会で初対面の女性の肩に接吻し、その既婚女性=モルソフ夫人の居城を訪問し、それでも「自然な欲望を犠牲にして神の掟を守って」(p1027)愛情を示しあう子爵、フェリックス・ド・ヴァンドネス。フランス革命の反動の中、ルイ18世の側近として頭角を現わしてゆく彼は、しかしその若さの情熱からイギリス貴族女性との肉欲関係に惑溺し、それがモルソフ夫人の心に刻み付けた傷が、一刻一刻と化膿して……。
1831年、文豪バルザック36歳の雑誌連載作品。なお同年、彼はヴィーンでオーストリア帝国のメッテルニヒ宰相と会談しているんだな。
・猥雑なパリ(オスマン改造前)と違っての、クロシュグールド渓谷の自然の美しさ。彼の地におけるモルソフ夫人の美しさはまさに「谷間の百合」だ(p805、その表現力は卓越している)。かつて武勇を鳴らした貴族だが精神に問題を有するモルソフ伯爵、虚弱な長女と長男とも仲良く、彼の真剣で清廉な恋愛遊戯は7年にわたって繰り広げられる。まるで疑似親子愛のようだが、それでも男女の愛に変わりない。
・ダドレー侯爵夫人=無感覚で非情な(p1003)なイギリス女の描写には、なるほど、フランス人読者は満悦だろうなぁ(p954、1002等)。フェリックスとの別離のシーンは冷酷で厳しいし。いまの韓国、中国のエンターテインメント界における日本人の描写がうかがえそうだ。
・その「イギリス女」との関係がモルソフ夫人の知るところとなり、大人の対応を見せる夫人の心には、ある変調が生じ……。悲劇の始まり。「そもそも女性が、そんな愛にたいする大逆罪を赦したことなどあったでしょうか?」「愛情の深い女性というのは、恋人が他の女のおかげで幸せになるより、死の床で断末魔の苦しみを嘗めているところを見るほうが好きなのです」(p993)
・ラストのナタリー夫人からの手紙はなかなか辛辣だが、そう感じるのはフェリックス伯爵と同様、僕も男だからだろう。国際政治や宮廷内工作、ライバルの排除等よりも難解なるは、いつの世も女性心理であることを著者は提示してくれた。
・「矜持という、理性の結実」(p791)「目もそこでは、魂に平和な和みを伝える黄金色の繁みに憩うのです」(p805)「優しい情愛の独裁ぶり」(p812)「深遠に突き落とされてもまだそこから青空が望めること」(p827)「良心の声に耳をかさないことはできても、良心を黙らせることができるのか」(p841)「希望なしに愛するということもまたひとつの幸福です」(p851)「沈黙の中に無限のハーモニーを聞く」(p869)「自分の良心や公共の良心に反するようなことは何ひとつしないという原理」(p899)、「ですから意欲をお持ちなさい!(偉人たちのこと合言葉)」(p909)「ぼくならたった一日の幸福のためにも永遠を犠牲にします」(p947)「原因にも結果にも同じように脅えて、神を信じないくせにこの世のどこに神の摂理があるのかと問う人間のように」(p949)「真の情熱を感じることができるのは中年になってからだ(ルイ18世)、なぜなら……」(p997)「抱負だけが大きくて、現実は卑小であるというのが人生」(p1026)、人生に示唆を与えてくれるバルザックの言葉の数々。
・「精神的断末魔」(p1011)「窪んだこめかみやこけた頬が、顔の内側の輪郭を見せつけ」(p1012)は、僕も知っているだけに、読むのが辛かった。

純愛と嫉妬の苦しみが、魂と肉体の葛藤から混交を生み出す。人の心の機微、モルソフ夫人の「旅立ち」に至る経緯とその瞬間を描き切るバルザックの筆力に圧倒され、夫人の死後に開陳された「手紙」の内容に衝撃を受け……。ああ、読み継がれてきた古典はやはり一味違うのだと再認識した。

LE LYS DANS LA VALLEE
谷間の百合
著者:HONORE DE BALZAC、平岡篤頼(訳)、集英社・1990年9月発行
集英社ギャラリー[世界の文学6] フランスⅠ所収
2021年10月22日読了
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谷間の百合(新潮文庫)
バルザック
新潮社
2016-09-23





フルサイズ機(α7RⅣ)を長く愛用するに伴い、サブのAPS-C機(α6000/α6400)では満足できなくなってきた……。
もうすぐアナウンスされるであろうα7Ⅳは気になるが、高そうだし、同じ形状のもの二つは使いにくい。で、新サブ機としてコンパクトなフルサイズ・デジカメα7Cを購入しました。

単焦点レンズSEL40F25Gも同時購入。ふたつを組み合わせると、お手軽スナップ機の完成です。
"compact"とはいえα6000にくらべるとずんぐりしているが、これはこれで使い勝手が良いのです。バッテリーもα7RⅣと同じだし。
外部ストロボHVL-F28RMとも相性抜群!
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先日の旅行ではα7RⅣ+小型望遠ズームSEL70350G(70mmおよびAPS-Cクロップ105~525mm)で望遠撮り、α7C+SEL40F25G(40mm)で手軽にスナップ撮り、の2台使いを楽しみました。
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α7RⅣは基本ネックストラップ掛けでのファインダー撮影ですが、α7Cは小型&バリアングル液晶を活かし、背伸びショット/足元縦長ショット=ファインダーの枠を超えた「カメラならではの光景」も楽しめそうです。

超広角ズームレンズSEL1224GMの写りには満足しているが、旅行携帯時の大きさ・重さが気になっていた。そこで、F1.8の超広角14mm単焦点レンズSEL14F18GMを購入した。
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SEL1224GMとSEL14F18GMの大きさを比較してみる。
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α7Cに実装して小旅行に持ち出し、その軽さを実感。明るさと写りにも大満足で、これは手軽に持ち出せそうだ。
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「XDリニアモーター」の効果は絶大で、一瞬でオートフォーカスが決まる様は実に快適だ。
SEL1224GM同様、フィルターこそ実装できないが、レンズ一体型フードとレンズ前面のフッ素コーティングで安心感が持てる設計だ。だけど高いレンズだから、傷を付けないよう細心の注意が必要だ。撮影の合間にはレンズキャップを被せるよう習慣づけよう。



フランス文学界の重鎮とベストセラー『京都ぎらい』の著者によるビッグ対談。とてつもない「京都中華思想」とパリの意識、京おんなとパリジェンヌの尽きない魅力、ディープかつフェチな色ごと(これが本書のメインテーマ?)、大阪とローマに抱くコンプレックス等々、うんちく豊富かつ言いたい放題で実に楽しく、都市、人、くにを結ぶ文化論を読み進められた。
・洛中の人曰く「伏見や宇治は、京都ではありません」(p135)、東京都を見下す京都市役所(p4)、古都の中華思想はいまも健在なのは驚いた。
・パリ、京都、東京銀座の売春婦事情(p170)、京都の武力ならぬ美人力(と現代の銀座ホステスの力)が政治を動かす(p73)。そして『源氏物語』のすごさ(p100)は、なるほどだな。
・日野富子の力。大名を右往左往させ「金銭で戦争を解決」する手腕。中世に凄い女性がいたんだな(p40)。
・「応仁の乱」による都市破壊、ナポレオン三世とオスマン知事による都市改造。これらが都市の景観を劇的に変え、現在の観光都市の礎を築いたのか(p158)。

いやぁ、おもしろく読めた。それにしても、京都が観光に必死になりだした時期と理由の解説には目から鱗。「没落の自覚が観光を促す」(p195)。その姿がこれからの日本に重なることは、良いのやら、悪いのやら複雑な気持ちになるな。

京都、パリ この美しくもイケズな街
著者:鹿島茂、井上章一、プレジデント社・2018年9月発行
2021年10月8日読了
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京都、パリ ―この美しくもイケズな街
井上 章一
プレジデント社
2018-09-27



マツオヒロミさんの2022年カレンダー。今回はノートにブックケースと、付属品を従来よりシンプルにした分、価格的にも入手しやすくなっています。
カレンダー本体は縦型12枚で、例年にない凝った造りとなっており、美麗イラストを引き立ててくれます。
和装と洋装の混淆したレトロモダンの華やかな香りが部屋全体に拡がる気分。買って正解でした。
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マツオヒロミCALENDAR 2022 ([カレンダー])
マツオヒロミ
実業之日本社
2021-10-01


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