ヴィクトリア女王、ウィリアム・モリス、シャーロック・ホームズ、ビートン夫人、コックニー、建築、アフタヌーンティー、食、シェリー酒、V&Aミュージアム。われわれ日本人になじみ深い事物も、あまり知らない事柄も、これらイギリスを知るキーワードはヴィクトリア女王治世下で出現し、瞬く間にアメリカ、そして世界に広まっていったことが、君塚直隆、東山あかね、新井潤美、小関由美をはじめとする執筆陣によって紹介される。
・ヴィクトリア女王のダイヤモンド・ジュビリーを記念したアルバムが現存するという(p62,65)。一度でいいから見てみたいな。
・ヴィクトリアン・スタイルの建築物。興味をそそられるその外観と内装の特徴は第6章に詳しい。「ヴィクトリアン・フロアスタイル」(p123)は現在の日本でも十分に通用すると思う。
・グレート・ゲーム。この言葉がキップリングのKIMから広まったとは知らなかった(p74)。
・あこがれのアフタヌーン・ティ。お茶を注ぐ瞬間のコミュニケーション(p147)。現存するヴィクトリア朝時代の邸宅を改造したホテル(p153)でいただければ、より楽しめそうだ。
・ヴィクトリア&アルバート博物館。万国博覧会のコーナー(p201)は僕も訪れ、当時の熱狂が目の前に甦りそうな体験に興奮したことを覚えている。本書によると、ここは世界で初めてレストランを併設し、これも世界初の瓦斯灯が設置された博物館であるという。モリス・ルームにヴィクトリア女王専用のトイレに、ヴィクトリア女王生誕200年を記念しての小冠(p8)……ここは何度訪れても新しい発見がありそうだ。

どの章もポイントがわかりやす記述され、良く知らなかった事柄も興味深く読み進めることができた。
巻末に、より深く理解するための関連図書も億録を付けてくれたらなお良かったんだが……贅沢か。
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