アンヌ・カペスタン。離婚したばかりの37歳はパリ司法警察の凄腕女性警視正……だった。左遷された先はデスクすらない古ぼけたアパルトマンの一フロア。自らを筆頭に新しく組織されたばかりの「特別捜査班」は、まともに出勤する部下を片手で数えるだけの問題児の吹き溜まり。それでも義務感は頭をもたげ、廃棄された事件の段ボール箱から、彼女たちは未解決の二つの殺人事件を見つけ出す。
それは未解決の強盗殺人事件なのか? 故意の迷宮入り事件なのか?
第26章のラストで二つの事件が接触し、第28章で一気に加速する様子はゾクゾクする。そして流れるように収束する終盤は、意外な人物にフォーカスが当たり……。
・まぁ、これだけ個性的な人物を集めたものだと感心するような、とんがったメンバーたち。でも腕は確か。だから掃きだめに寄せられたのかも、と思わせて……。なるほど、フランスでベストセラーになっただけのことはある。
・作家兼警部は、なるほど、煙たがれるだろう。彼女のしぐさも言葉尻も、そして愛犬も、楽しくて良い感じだ。死神と恐れられた男も、カペスタンと組むことで徐々に変わる様子がほほえましい。
・第42章のカーチェイス(?)はなかなか。パリの中心街でこれをやられたら始末書ものか、あるいは勲章ものか……。
・事件解決後のどんちゃん騒ぎもまた楽し。犬の思いは、パーティ参加者の思いでもあるのか。

最終章。「彼」の涙は、その息子にどう映ったのだろうか。犯罪者であっても理由と理性と愛は確かにそこにある。新しい人生への道があるなら、それはどんな色とかたちを示すのだろうか。その道が彼に与えられることを願って、本書を閉じた。
続編も発売されるようで、実に楽しみだ。

POULETS GRILLES
パリ警視庁迷宮捜査班
著者:SOPHIE HENAFF、山本智子・川口明百美(訳)、早川書房・2019年5月発行
2020年9月6日読了
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