「留学の金が足りない」とか、神経衰弱のことを文部省へ「告げ口」したのは〇〇らしい等の記述(p52)は研究不足と思えるが、それは著者が冒頭に明記している通り。本書は、漱石の『日記』『倫敦消息』『断片』等の作品や遺稿、妻夏目響子や友人への手紙、関係者の手記などをもとに、ロンドンにおける漱石の活動を絵日記風に仕立てた作品であり、漱石理解の一助として楽しめた。

倫敦の夏目漱石
著者:鞍懸吉人、企畫室澪・1987年5月発行
2021年3月7日読了
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