都市の自己イメージはいかに形成されるのか。神戸のそれが「海と山のある、ハイカラでモダンな近代建築の集まる港都」(p145)なら、その具体的な構成要素は何か。
本書は、明治・大正・戦前昭和の懐かしい「古き良き時代の」神戸の建築物を、絵葉書を題材に取り上げる。カラーページの少ない(6ページのみ)のが減点ポイントかな。
・神戸といえば、やはり山と海に囲まれた坂道、「異国情緒あふれる北野から山手」界隈に代表される街並みを思い浮かべる。六甲山脈から俯瞰して、居住地の山麓・異人館、生活の街、交易の居留地、憩いの海岸と、エリアの役割は明確(p9)。そして北野坂、ハンター坂、トアロードが縦につらぬき、これが神戸の特徴でもあるんだと改めて思わせてくれる第1章は読んでいて楽しい。
・「港町のランドスケープ」。大正期の神戸メリケン波止場を海上から撮影した写真は、当時の高層ビルの立ち並ぶ光景が上海の外灘(Band)を彷彿させる。そうか、当時は高速道路の高架橋がなかったから、これだけ「絵になる」のか(p46)。
・大正2年、日本国内初のアスファルト舗装ができたのが、居留地に隣接する元町界隈だったとは知らなかった(p55)。すずらん灯は有名だが。
・灘~東灘の阪神間モダニズムの建築も実に興味深い。御影公会堂は僕も好きだ。
・なるほど、昭和初期には、六甲山上を周遊するバスが営業していたのか(p130)。

雑誌媒体がなかった時代、絵葉書はドキュメンタリーの要素も持っていたんだな。なるほど、絵葉書を見れば当時の世相がわかろうというもの。
今度、カメラをもって山本通やメリケンパークを闊歩してみよう。新しい発見があるかも。

JAPAN'S WESTERN ARCHITECTURE IN KOBE
神戸のハイカラ建築 むかしの絵葉書から
著者:石戸信也、神戸新聞総合出版センター・2003年12月発行
2021年3月17日読了
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神戸のハイカラ建築 むかしの絵葉書から
石戸 信也
神戸新聞出版センター
2003-11T