本書は「女学生」「令嬢」「モダンガール」にスポットライトを当て、彼女たちの生態を多くの写真、雑誌記事、イラストレーション、コラムで紹介する、カラーページも多く楽しい一冊となっている。
・1911年、授業の一環として女学生たちが所沢飛行場を訪ねて伊庭中尉(搭乗員兼教員)からレクチャーを受ける写真が印象に残った。当時の飛行機と搭乗員は、いまでいう宇宙飛行士みたいな存在だったんだな(p19)。
・ブランド志向は当時から健在。「女学校選び、お茶の水高女人気の秘密」が興味深い(p34)。
・女学校の学費、卒業後の進路、結婚相手に臨む職業、女学生の赤裸々な日用語(美しくはない……)等々も楽しく読めた。個人としては礼儀正しく、集団となっての電車の中の傍若無人な態度なんか、現在と変わらないじゃないか。
・「ピアニスト・吉田ちか子嬢のお宅訪問」(p76)は理想的なお嬢様の記事だ。
・雑誌媒体などでは、普通の令嬢は「〇〇嬢」で、公爵家の娘に限っては大名家の名残よろしく「〇〇姫」と表記されていたんだな。
・モダンガールについては、彼女たちが登場した大正末期から、世にモボ・モガブームを巻き起こした昭和一桁時代の風俗を交えて解説される。時代の先駆けとなるスタイル。丸ビルを颯爽と歩く「タイピスト」や女事務員、電話交換手、女店員、「東京駅前で人気を集める女運転手」や「ガソリンを売る女」、女給、ダンサーに婦人飛行士(!)と、職業婦人と呼ばれるこれも尖端的な女性たちの活躍は、いま見ても実に溌剌としたものがある。
・『婦女界』に掲載された「職業婦人として成功する秘訣」が興味深い(p112)。
・第4章「大正ガールズ情報局」では、彼女たちが愛読した少女・女性誌と、その誌面に掲載された美容広告情報、竹久夢二による街角ファッションチェック、新聞紙に寄せられた乙女の悩み相談が紹介される。

100年前にタイムスリップし、大正ガールズの活き活きした姿を垣間見ることができた気分。
森伸之さんのイラスト集(全6ページ)も素晴らしい出来となっている。むしろこちらを表紙にしても良かったのでは?

大正ガールズコレクション 女学生・令嬢・モダンガールの生態
編著者:石川桂子、河出書房新社・2022年2月発行
2022年4月13日読了