2005年9月11日、衆議院議員選挙が終わった。小泉マジックによる参加型「観劇」と呼ぶべきか、あるいは「郵政民営化法案の国民投票」と称するべきか迷うところだが、結局は主力野党、民主党の大敗北に終わった。民主党は再建を試みることを表明しているが、結局は目論見かなわず、いずれは自民非主流派との連衡合従が行われると予想する。

郵政ではなく、年金、財政が国民の関心事であることは明らか。野党はこの点をつくも、あきらかに準備不足だった。
結局は、郵政民営化法案も財政問題に繋がるわけだから、「国民の財産をどうするのか」を論点に持っていければ良かったのだが……。

開票日翌日のNHK夜の番組で、自民幹事長、それに各党の党首の討論番組が放映された。
社会民主党は今度の選挙で全滅すると思っていたが、どっこい、生き残った!
ここのマドンナ党首は、魔法の言葉「憲法」が大好き。なにをいまさら、護憲もないでしょうよ。
1999年の段階であれば、その主張も傾聴するに値した。だが同年のガイドライン関連法の成立により、すでに憲法九条は唱えるも悲しい念仏と化した。九条堅持・護憲の社会民主党は「死に体」といえる。
「何を言ってんの?」と思われる御仁へは「憲法と戦争」(ダグラス・ラミス著。晶文社刊)の御一読をお奨めする。

それにしてもこの選挙結果です! 祭りが終われば、現実が待っているのです。これからは政権与党の「やりたい放題」が可能ですね。
郵政民営化の次は何でしょうか? 「財政再建」と銘打って、消費税率大幅アップ、社会保険料率「改正」、医療費受益者負担の増額等々、官僚に優しく生活者に厳しい政策のオンパレードですかね? おそらくは軒並み、実行に移されるのでしょう。マスコミも今度は、政府と「こんな政府を選んだ国民」に対し、批判めいたことをだらだら報道するのでしょうか。
文字通り、あとの祭りです。
民主主義に万歳!

ちょっと中曽根さん! 中曽根弘文さんってば! 民意にしたがって信念を曲げ、今度は郵政法案に賛成するのですか? すなわち「民意で保身」ですか? 恥ずかしくないですか? 国会の先生方は「たとえ民意がそうであれ、間違っていると判断したから、信念を持って民衆を導く」選良だと信じていた私がとんでもなくバカだったのですか?
そもそも、あなたが最初から賛成しておけば、今回の面倒な解散・総選挙はなかったハズで、よけいな経費もかからなかったのですよ! 自民党もここまで議席を増やすことはなかったのでしょうね。
なるほど、小泉首相閣下の戦略でしたか。わざと参院で否決させて衆院を解散させる、と。邪魔な派閥領袖の権力を削ぎ、野党の数を減らし、自らの権勢をこれまでに無いほどに高める。そのために、わざと反対に回った……そうですね? 大成功でしたね!
法案を可決した衆院をなぜ解散したのか不思議でしたが、そういう事情があったのですね。
そして先生は、重要閣僚ポストをゲットする、と。英明たる大臣閣下の御成りです!
なるほど、失礼ながら、御尊顔は若いときの父君の方が精悍そうでしたが、知略では一歩も引けを取らない。そういうことですね?
権謀術数というより、魑魅魍魎の世界。
民主主義に万歳!

さてさて、外に目を向けます。最重要にして唯一の軍事同盟国、アメリカさんは歓迎してくれているようですね。「ますます自分たちの思い通りになる」と。可及的速やかに解決せねばならないのは、米軍再編にともなう基地問題と、太平洋軍司令部(?)の日本国内設置ですね。まるで自国領土のような扱いですが、占領軍なのだから「当然のこと」なのでしょう。
さて、お次は何でしょうか? おそらく、ガイドラインで想定された「米日合同軍のグローバルな規模での作戦行動」をスムーズに実現するための、「日本の改造!」ですね。
具体的には、米軍にとって邪魔でしかない「九条の完全な抹殺」と、自衛隊の「軍」への昇格といったところでしょうか。
いまの自民党政権なら、憲法改変も現実味を帯びてきますね!
民主主義に万歳!

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憲法の改変には反対です。刻々と変化する国際情勢に対峙するにも、これまで通り「九条の解釈改憲」で臨機応変に臨めば良いのです。現実主義は大切ですが、何も理想をかなぐり捨てることはありません。

あまり注目されない憲法前文ですが、要するに「恒久の平和を念願」し、「平和を維持」し、「国際社会において名誉ある地位を占めたい」われわれ日本国民は、「全世界の国民がひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認」し、「全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを」誓っているのです。

たしかに九条では「戦争を放棄」していますが、憲法のエッセンスとも言える前文の目的を達成する手段として、堂々と自衛隊を活用すればよいと考えます。
ただし、自衛隊は国際平和の実現への「ひとつの手段」です。他の手段として、日本国・日本企業の持てる技術を利用できれば……。
いまこそ、日本国民の一挙手一投足が注目されています。
(言うは易し、か。……無い知恵を絞らなければ!)