かつての勢いを無くしつつあるトニー・ブレア英国首相ですが、従来の社会主義の「良い部分」と自由経済の長所を生かそうとする政治手腕は評価できるものと言えます。1980年代のサッチャリズム、レーガノミクスに代表されるニュー・ライト、すなわち新保守主義路線からの脱却を説いた本書が、イギリス労働党に与えた影響が大きいとされています。

不平等の是正、すなわち資本主義をどう統御するかについては様々な議論が行われていますが、結局は野放しの自由経済は「弱肉強食」でしかなく、それが1990年代の経済危機(南米、ロシア、東アジア)を招いたこと、国別・地域別の貧富の差がますます拡大することは明白です。
本書では、資本主義の利点を生かしつつ、人間的に作り替えることが社会民主主義の目標の一つであり、魅力であることが明らかにされます。
第二次世界大戦終結後の政治の主流となった社会民主主義=高度福祉社会体制も、石油ショックを経て新自由主義に取って代わられます。冷戦の終結が社会主義を過去のものとしたこともあり、社会民主主義を立て直す議論が欧州で行われてきました。本書はその集大成とも言えます。

日本にも二大政党政治が根付くと期待されていますが、強者=自民党の政策を部分的に借用・改変し、あたかも自分たちの政策であるように振る舞う民主党=小自民党ではあまり期待できそうにありません。投票率の低下も納得できるというものです。
小沢さん、鳩山さんには耐えられないかもしれませんが、社会民主主義の考えを取り入れた政策を前面に押し出してはいかがでしょうか? 小泉さんに幻滅したサラリーマン世帯の支持率を確保できるかもしれません。

The Third Way : The Renewal of Social Democracy
第三の道 効率と公正の新たな同盟
著者:アンソニー・ギデンス、日本経済新聞社、1999年10月発行
2006年4月1日読了