時代と場所を縦横に巡り、戦争を正当化する権威と進歩的理論、ローマ時代の「良心的兵役拒否」にはじまる平和を追求する人々の希求が、あくまでも学術的に記述される。

自民族中心主義が限度を超えると、戦争に雪崩れ込んでゆく。時代ごとにそれを克服する努力がなされ、幾多の人柱が犠牲になってきた。

国と国、もっと言えば人と人の交渉こそが重要であり、ここ数十年の国連にしても、主体はあくまでも国家と地域であり、あくまでも国連は「場所」にすぎないことを、つい忘れがちになる。

戦争犯罪に対する考えも変遷し、第二次世界大戦までは正当な戦争行為とされてきたことも、昨今では人道に対する罪、「戦争を始めた罪」として国際刑事裁判の対象とされるようになりつつある。(抵抗する某自由主義大国の姿がみっともなく映る。)

で、平和の条件とは何か?
資本主義社会の実現では不十分。民主化を達成しても十分ではなく、ナショナリズムの克服こそが重要である。当たり前のようだが、本書を読んで再認識した。

岩波講座 世界歴史25巻
戦争と平和 未来へのメッセージ
著者:油井大三郎、最上敏樹、長崎暢子、大久保桂子、他
岩波書店、1997年12月発行、2006年4月19日読了