政治・経済が表面だけの改革に終わり、前例と慣例に従う官僚主導のまま、世界の動きから取り残された日本。財政赤字だけでなく貿易収支も赤字となり、さらに全企業収益も赤字に陥る2017年の日本。資源・食料危機に翻弄され、円安を背景に一人当たりGDPがシンガポールや台湾に劣る「中進国」となった日本を舞台に、産業情報大臣となった織田氏の大改革が進められようとしていた……。

1980年代に代表される「過去の日本の栄光」を知る者(僕もそうです)にとっては実に辛い「没落街道まっしぐらの日本」と、その流れを変えようとする「新世代起業家兼政治家」の奮闘する姿が、好意的に描かれます。

「職縁社会が崩壊しても血縁社会や地域コミュニティが生まれるでもない。二十一世紀の日本人はみな、孤独なんだ……」

「国の重要な選択が、国民の選挙で決まると考える官僚はいない。官僚の発想では、選挙の結果はせいぜい、行財政がやり易いかやり難いかの違いだけである」

主人公の高級官僚・木下課長をはじめ、登場人物のほとんどが戦国武将、特に織田信長とその家臣のパロディとなっており、ニヤリとさせられる場面もあったりします。
15年以上前に読んだ「黄金の日々」よりも面白かったです。

平成三十年(上) 何もしなかった日本
著者:堺屋太一、朝日新聞社、2002年7月発行
2006年4月23日読了

平成三十年(下) 天下分け目の「改革合戦」
著者:堺屋太一、朝日新聞社、2002年7月発行
2006年4月29日読了