いまの若い人にとって大国とはアメリカ合衆国であり、それに中国が続く、と理解して良いのでしょうか?冷戦まっただ中に多感な(?)十代を過ごした僕の世代では、ふたつの超大国=米国とソ連邦のガチンコ勝負の世界観が、いまも根強く残っています。だから望むわけではなく、"新冷戦"としての米国v.s.中国、あるいは米国v.s.中国・ロシア連合の構図が現実的に感じられるのでしょう。

かつて分不相応に米国と覇権を争い、そして歴史の舞台を降りたソビエト社会主義共和国連邦の歴史的意義を問う著作です。

"情報開示"の少ない時代のことです。スターリン、ベリヤが引き起こす無慈悲な処刑と強制移住と裏腹に、華々しい宣伝と社会主義の理想像は、"打倒されるべき汚れた資本主義社会"の一部住民と第三世界諸国に希望を与え、そのことが米国をして徹底的なソ連との対決に向かわせます。
結局、レーガン・ブッシュの強行路線とソ連内部の深刻な経済・社会崩壊がゴルバチョフを「新思考外交」路線に走らせるわけですが、福祉国家的な政策が資本主義国家に与えた影響だけは、ソ連の残した功績と言えましょう。

余談ですが、現在の陸上自衛隊の九〇式戦車(MBT:主力戦車)はソ連のT72に対抗するべく設計・製造されたものであり、その運用も北海道に限定されたもののようです。(違う見解も存在しますが、本土への運搬手段、支援車両の配備状況からも、北海道限定と割り切って良いでしょう。)現在の南西方面重視の点から、早いとこ新型戦車への転換を進めて欲しいものです。

歴史の中のソ連
著者:松戸清裕、山川出版社・2005年12月発行
2006年7月13日読了