NHKクローズアップ現代「ロシアvs欧米 ~エネルギーを巡る攻防~(No.2270 7月18日放送)」を見た。
http://www.nhk.or.jp/gendai/   

EU諸国の天然ガス需要の実に25%を、ロシア国策会社が担っているそうな。それも1社独占で。さらにドイツ等の電気・ガス供給会社を次々と買収している。ウクライナ・オレンジ革命時の「ガス供給停止」事件を契機に、ロシアのエネルギー支配を懸念する声がEU諸国の議会で紛糾した。

で、対抗する米国は、採掘地のアゼルバイジャン・バクーからからグルジア・トビリシ経由でトルコ・ジェイハン港へと通じる原油パイプラインを完成させた。英国系BPが建設したが、その資金は世界銀行(=最大出資国は米国)から出資されている。完成式典での米エネルギー庁副長官の演説で、デカデカとプロジェクター投影されていた星条旗が、主体者が誰であるかを物語っているようだった。
2006年稼働開始予定で、一日当たり輸送量は100万バーレル。これで、ロシアの影響を排除したカスピ海資源を確保したわけだ。もちろん、グルジア(Georgia=缶コーヒーですね!)には米陸軍が駐留しており、プーチン大統領もおいそれと手を出せない。
さらに、チェイニー副大統領が訪問するなど、カザフスタンの資源の確保も目論んでいる様子。

日本の一日当たり石油消費量は540万バレル。米国のそれは実に2,070万バレルで世界一。世界第二位の中国はまだ600万バレルだが、2020年には1,200万バレルになると予想されている。
エネルギーを巡る大国の攻防は昔から変わらないが、将来は露骨な紛争になりそう。

[参考]
・Newsweek日本版2006年7月5日号
 「日本とアラブと石油戦争 中国とのエネルギー争奪戦に勝てるのか」
・宮田律「中央アジア資源戦略 石油・天然ガスを巡る地経学」時事通信社
・赤木昭夫「アメリカは何を考えているか オイルとマネー」岩波書店
・歌川令三「紛争の続くコーカサス三国」日本財団図書館
 http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00736/contents/0008.htm