バブル騒ぎに参加できず、凄まじい受験競争に晒され、就職は超氷河期。いざ実社会に出てみたら、平成大不況で下流社会の仲間入り。自然と目線は下向きになり、内向き志向と悲観論が世代の共通認識となる。イチローや中田は、特別な存在……。

団塊ジュニア世代に多く見られる、消費欲の減退(他の世代と比較して)、生きる目標の喪失感、内向き思想とその反動である超越志向等が、精神医学の現場に携わる著者の視点から分析されます。
団塊ジュニア世代の関心がマイホームとマネーだけに向かい、自分の狭い趣味に埋没するのではなく、社会全体の問題に目を向けさせるためには、何をすればよいのか……。

あと、夏目漱石の「こころ」の友人Kと先生。その決意と行動(自殺)に対し、男子学生と女子学生の受け取り方に大きな隔たりがある件は、興味深かったです。

貧乏クジ世代 この時代に生まれて損をした!?
著者:香山リカ、PHP新書・2006年1月発行
2006年9月15日読了