古風な文体を匂わせる明治三〇年を舞台にした幻想奇譚。
奈良県十津川村をさまよう青年詩人。毒蛇に噛まれるも一命を取り留めたのは、一人の僧のおかげ。山中深い庵に静養のために留まるが、時間の流れの異様なことに気付く。
しかし、夢に現れた月下の女との時間は、何者にも代え難く……。
日本文学の王道を往く、ただ者ではない文章力。情熱的なラストシーンへ向けて一気に読ませてくれます。

一月物語
著者:平野啓一郎、新潮社・1999年4月発行
2006年10月1日読了