決して景況感の良くない日本が、なぜ発展途上国とその国民に援助を行う必要があるのか? 高い税金を払っているのだから我々に還元するべきなのに、外国の援助を行うのは何故か? 本書はこれらの問いに簡潔に、そして説得力を持って答えてくれる。
援助の目的。それは慈悲や愛からではなく、日本の国益のためだ。日本の国益とは「相対的に自由な世界経済体制の維持であり、そのためには、発展途上国の持続的成長の確保が必要」であり、それが「第三世界の安定につながり」長期的に見て日本国民の国益になると著者は説く。
また、ODAの金額ばかり増やしても片手落ちで、農産物の輸入障壁を撤廃する、あるいは低減する等の政策が伴わないために、政策一貫性の無い自己満足の世界に陥る危険性も指摘される。
「日本国内の既得権益をこわしても自由貿易体制の進展に日本は血を流すべき」であり「公正なグローバリゼーション・日本モデルを打ち出すべき」との主張には拍手を送りたい。

著者は、長期的視野に立った国益に基づく援助こそ中心にするべきで、積極性な人道的援助は得策ではない、との立場だ。日本の政治的能力と影響力が貧小であることがその理由だ。そして憲法解釈上・能力上の問題からPKO、国連平和維持活動への参加には反対の立場だ。唯一、この点だけが不満に思った。
たとえ能力で劣っていても、積極的に参加するべきだと僕は思う。経験の積み重ねが貴重な財産となり、やがて政治的能力に転化することに望みをつなぐために。

日本の国際貢献
著者:小浜裕久、剄草書房・2005年11月発行
2006年11月26日読了