正直、最初の数ページで違和感を感じた。いわゆる「神の視点」と第一人称の混在を感じたからだ。だが読み進めると、自然に世界に引き込まれた。
けむりづめ、醤油差しの注ぎ口など、小道具的キーワードの配置が巧みだ。
8月の最終日、主人公は清涼飲料水を自動販売機に詰めて回る。アルバイトだから正社員の女性ドライバーと一緒だ。その半日で、「心の病」を持つ妻との離婚話が語られる。明日の離婚日を控えての回想は淡々と続く。その日を境に異動する女性ドライバーの反応はドライで、クールで。
弱いものが持つ、元気。
第135回芥川賞受賞作か、なるほどなァ。
受賞第一作の短編「貝からみる風景」も同時収録だ。

八月の路上に捨てる
著者:伊藤たかみ、文藝春秋・2006年8月発行
2008年2月6日読了