南北戦争が終わり、19世紀末から20世紀初頭にかけて急速に変貌するアメリカ社会を題材に、中産階級の台頭と、彼らがもたらした初期大衆消費社会の姿を描く。

まず驚いたのは、すでに1920年の時点で、アメリカ合衆国での自動車の普及率が50%を超えていたことだ。西欧でこの数字に達するのは1970年代であり、"車社会アメリカ"を印象づけられた。

19世紀最終期には、酒屋や雑貨屋といった小規模商店と「お得意様」の時代は終わりを告げ、企業広告・商品広告により、消費者と大企業が直接結びつく大量消費社会が到来する。
その原動力となったのが、安価な印刷が可能になったカラーポスターと、従来の高級文芸雑誌に代わる「大衆雑誌」の広範な普及とされる。

一方で、「企業の歯車」と成り果てた中産階級の男たち。彼らは生き甲斐を娯楽に求め、これが映画産業の発展に結びつく。女性の進出はメイドを激減させ、これが若い男女の交際に変貌をもたらした。いまでは信じられないが、19世紀後半まで=ヴィクトリアニズムの時代には、娘の自宅での、親の監視付き交際が当たり前だったそうな。今日の屋外でのデートは、メイドの減少が遠因と、なるほど。

家電製品の普及が女性の家事負担を増加させたのは、何とも皮肉で逆説的だ。また、それが離婚率の上昇をもたらしたのであれば、文明化は万能とは言えないな。

なんかまとまらないが、今日の我々の生活スタイルの原型が、20世紀初頭のアメリカ中産階級にあることは間違いなく、興味深く読むことができた。

世界史リブレット48
大衆消費社会の登場
著者:常松洋、山川出版社・1997年5月発行
2008年4月1日読了