1990年代後半に盛り上がったIT(情報技術)ではない。
本書はI、インターネットとチープ革命、そしてオープンソースが引き起こす「情報」そのものに関する革命的変化を解説する。特に、物理的なインフラを含め、ネットの「あちら側」に基軸をおいた革新的な企業、グーグルの哲学とその戦略には、本書を読んで舌を巻いた。
「世界中の情報を組織化し、誰からでもアクセス可能にする」ことを実現するため、30万台ものコンピュータシステムを自製し、ネットのあちら側に全ての情報を蓄積し、広告料だけで運営する。そして、ユーザはすべての機能を無料で利用できる。社内のすべての情報が開示された環境で、複数の博士号集団による絶え間ない開発と競争が行われる世界。人間を介在させず、すべてをコンピュータが処理するシステムを目指すテクノロジー集団。
ヤフーや楽天でさえ時代遅れであるような印象を抱く。
「パソコンに情報を記録する」行為すら時代遅れになるのも、すぐ目の前か!

それにしても、この世界の加速はすさまじい。
ブログ、ソーシャルネットワーク……WEB2.0。ウィキペディア、ユーチューブの登場と発展でさえ、もはや驚かなくなってしまった。

そして、総表現社会。何かを表現したいアーティスト予備軍には、無限の可能性が開かれているわけだ。
でも、そんな予備軍も無限に増殖する。ケータ小説のように、同じようなコンテンツとその表現者が無数に存在するわけだから、抜きん出るにはよほどの才能が必要だ。やはり"研ぎ澄まされた感性"と容易にまねのできないアナログ"な"熟練技術"がクローズアップされるんだろうな。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
著者:梅田望夫、ちくま新書・2006年2月発行
2008年8月20日読了