「袋小路の男」
芥川賞受賞作の前作に当たるのかな? 川端康成文学賞受賞作だ。
女主人公は高校生時代から酒とタバコに溺れ、大学でそれなりの経験を積んでいるんだが、こと、高校の一学年先輩「袋小路の男」とは、指一本触れない関係が12年も続く。

「小田切孝の言い分」は続編だ。
知り合って18年間の二人の関係。純愛は続く。友情を越えてはいるが結婚の意思なし。男女の関係を抜きにした恋愛の姿。

この二編を通じて、純愛のひとつの姿が、それも人生の姿が突きつけられる。

若いうちに好き勝手やっておいて、言い寄る女を手元に残し、定職にも就かず夢を追う男。浮気しながらも、決して報われることのない愛に生きる女。順調に家庭を築く周りの友人とは違った人生を歩むこと。それはもう、辛辣だ。

「アーリオ オーリオ」
30代理系独身男と、姪っ子中学生の手紙のやりとりが微笑ましい。ケータイメールではなく、手紙。片道3日間の距離は姪っ子の想像力をかき立てる、安心して読めた。

袋小路の男
著者:絲山秋子、講談社・2004年10月発行
2009年9月14日読了