法律に則り、地方自治体どうしが互いに敵と見なし、計画的に戦争「事業」を遂行する。この突拍子のないアイデアを純文学スタイルに仕立てたのはスゴイ。
最初の方は違和感を憶えながらも読み進む。
知らぬ間にはじまり、終わる戦争「事業」。地元住民への形だけの説明会、役場の序列、お役人体質、条例、議会決議、役所独特の文書。

中盤の「査察」は圧巻だ。たった一夜の逃避行が、長く感じられる。恐怖と開放感。日常と紙一重の戦死。
後半は、定めた者たちの人生が随所ににじみ出る。会社の主任、香西さん、そして山道の地蔵。

第17回小説すばる新人賞受賞作か。映画化もされた。
"香西さん"の公務と私情の狭間で揺れる心情が、鎮守の森で、砂浜で、偵察分室で垣間見える描写には、何度もうならされた。

となり町戦争
著者:三崎亜記、集英社・2005年1月発行
2009年10月3日読了