KEN-Vi 名画サロン第52回上映作品。内容は知らないが、ヴィクトリアン関連で興味が沸いたので鑑賞した。(2010年10月8日)

一言で表現するなら、ヴィクトリア公女/女王とドイツ・アルバート公子のロマンス、となる。一般国民と宮廷の狭間に立ち、理想と現実の乖離と自分たちの力量不足に苦悩する政治劇の側面を期待したのだが、少し違った。
二人の出会いと結婚、第一子を設けるまでの時代設定は不満だ。ヴィクトリア時代の最大イベントであり、アルバート公の才能が存分に発揮された第1回万国博覧会の開催まで続けて欲しかった。

ただ、外部からの視点=アルバートから見て英国宮廷のバカげたしきたりを次々と廃止、改革したことが盛り込まれたことは評価できる。女王の頭越しに内閣府と協議を進め、ヴィクトリアとの夫婦喧嘩を生じさせたエピソードも面白い。

政権変更にかかわらず、自由党の前首相メルボルンにベッタリで、保守党の首相ピールの言に耳を貸さないエピソードは史実通りだろう。議会での分狂の様子の面白かった。

ウェリントン公爵の存命中にヴィクトリアが即位したとは知らなかった。

アルバート公の肩書きは「女王の夫」であり、王国の公的な地位に就任しなかったらしい。それでもヴィクトリア時代に欠かせない存在だったはずであり、その聡明な側面をキチンと映像に表してほしかった。

女王に即位して間もない頃、民衆の生活改善を模索するも、メルボルンから必要なしと言われて若いヴィクトリアは黙り込む。数年後、民衆と国家の現状を知って改革を進めるべしとのアルバートの力強い意見に共鳴し、今度こそ自立した「君主」として統治に立ち向かうヴィクトリアの姿を描いたのは、まぁ評価できるか。

2009年英国・米国合作、102分。
監督はジャン=マルク・ヴァレ、主演はエミリー・ブラント、ルパート・フレンド。

映画『ヴィクトリア女王 世紀の愛』公式サイト
http://victoria.gaga.ne.jp/

兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/index.html

NPO神戸100年映画祭
http://www5e.biglobe.ne.jp/~kff100/