面白そうなので鑑賞に出向いた。最終日の日曜午後だけに、人でいっぱいだ。(2011年2月6日)

江戸は日本橋から京都の京師まで五十三の宿場を題材にした、歌川広重の55点の浮世絵全集がメインの展示だ。加えて五十三次名所図会、葛飾北斎の東海道五十三次と、大正時代の写真パネルで構成される。

冒頭の解説パネルによると、当時の浮世絵1枚の価格は幕府の統制から十六文(≒かけそば一杯の値段)とされ、現在の500円程度になるそうな。

で、本展示会は"当たり"だった。お気に入りは……
・『東海道五拾三次之内 日本橋』 暁の江戸。長い領地へと赴く大名の参勤交代の行列が日本橋を渡り始める。橋のたもとでは店員が問屋から野菜や魚を仕入れて小売店に持ち込むところか。構図が良い。超有名作だ。

・『東海道五拾三次之内 府中』 渡し人夫の表情が面白い。

・『五十三次名所図会 桑名』 桑名城を背景に上陸直前の大型船。船上には様々な表情の客が思い思いの姿でたむろする。側によってきた小舟には、物売りだろうか、親子二人の姿。小舟の中央には鍋。できたての"朝がゆ"の販売かもしれない。

・『東海道川尽 大井川の図』 三枚続きの錦絵大判。大井川を渡る大名行列の一行が大写しにされる。身分によって使用する"渡し"には差があるようだ。女性の乗る"渡し"は単なる平板から、持ち手つき、屋根と簡易椅子付きまで様々。槍持ちは二人で平板に乗るだけだし、一組の大名の籠を乗せた"大渡し"は30人で担ぐ壮大さだ。で、小役人は哀れ、肩車だ……。

大名行列を題材にした画も多い。下級役人の"あくび"や居眠りもハッキリと表現されている。

東海道ものではないが、ホラー画も面白い。葛飾北斎の『百物語 笑ひはんにや』はインパクトがあった。

東海道中膝栗毛の写本(?)もガラスケースに展示されていた。当時の文書を読めないのが悔しいが、挿絵だけでも、弥次郎兵衛と相方の珍道中ぶりがわかる。岩波文庫でも読もうかな。

明石市立文化博物館
http://www.akashibunpaku.com/