1956年発行版を忠実に再現。戦後の混乱期を抜けつつも写真雑誌が稀少な時代、まだ遠い存在だった"巴里"の日常がモノクロ写真にて蘇る。
写真に添えられた文章がとても秀逸であり、写真集の粋を超越している。

・オルセー美術館の開館にも遠い時代、逆ピラミッドのないルーブル美術館は新鮮に見える。
・メトロに一等車、二等車の区分が残っていたとは驚きだ(p43 さすがに現在はない)。
・夏には夏の、冬にはその表情を最大限に魅せるパリ。世界中から観光客が集まるのも納得だ。

それにしても、パリの街にはコートがよく似合うな。

復刻版岩波写真文庫 田中長徳セレクション パリの素顔
岩波書店・2008年3月発行
2012年2月25日読了