西洋名画から選りすぐった裸婦画の傑作集。
ブグロー、デュバル、カバネル、ドミニク・アングル、ダヴィッド、ドラクロワ、マネ、ゴヤ、ルノワール、ベラスケス、クリムト、ティチィアーノ、ボッティチェリ、等々。

個人的には、エドワード・ポインター1884年の作品『ディアデーマを結ぶ少女』(p98)が、精細な背景画を含めて最も気に入った。厳格な性道徳を前面に押し出していた当時のイギリスで大論争を引き起こしたらしいが。

ブグロー『ヴィーナスの誕生』(1879年:p18)、バーン・ジョーンズ『運命の岩』(1876年:p50)、ボナール『光を浴びる裸婦』(1908年:p111)、ローレンス・アルマ=タデマ『お気に入りの習慣』(1909年:p111)も好みだな。

巻末の解説はわかりやすかった。
中世までは"人の女性の裸体"を描くことはタブーで、ルネッサンス以降も裸婦はモティーフに留まり、あくまでも、ギリシャ神話や聖書物語を主題に据えないといけなかったらしい。
宗教的な禁忌と抑圧が弱まり、市民階級が権力を高めるに至った結果として、裸婦そのものが絵画の主題となりうるのは、実に20世紀に入ってからのことか。

私見だが、ヴィクトリア朝時代からエドワード朝時代へ移り、堅苦しさ、あるいは建前論を掲げる必要性の薄れたことが、20世紀初頭イギリスでの裸婦画の許容に繋がった一因ではないかと思われる。またフランスにおいても、パリ市民の間でダンディズム、乗馬などの英国趣味を取り入れることが最新流行であったことを考慮に入れると、エドワード朝の"開放的な世相"が少なからず影響しているのではないか。(素人意見、御容赦のほどを。)

名画 絶世の美女 ヌード
著者:平松洋、新人物往来社・2012年1月発行
2012年3月16日読了